「産業医として働く」ということで言いますと、大まかに言って、一つの企業で常勤の専属産業医として働くのと、非常勤で嘱託産業医として働くという2つの形態があります。
簡単に言ってしまえば、「常勤」ですと雇われている企業に出勤してそこで働くことになるわけですが、非常勤ですと「月1回、開業医の医師が企業に安全衛生委員会や職場巡視のために訪問する」といったイメージです(中には、いくつもの企業を掛け持ちして、産業医の仕事を専業とされている方もいます)。
認定産業医になるための単位集め
まず基本的なところからですが、産業医になるためには「医師免許」だけではダメです。産業医になるための要件があり、一般的な勤務医の方を想定して言いますと、最も現実的な方法は「日本医師会認定産業医」になることです。
よって、現実的には「認定産業医」なることをひとまず目指しましょう。この認定産業医になるためには、指定の講座を受講して
・前期研修:14単位以上
・基礎研修会 実地研修:10単位以上
・後期研修:26単位以上
=合計 50単位以上
「50単位」が必要になります。この50単位を取得する上で、最も効率的な方法は次に示すような「集中講座」を受講することです。
こちらの記事や、私のXアカウント(村上文春@産業医になろう)に随時、受付日時やスケジュールなどについて情報を更新していきますのでチェックしていただけますと幸いです。
勤務しながら、この集中講座のスケジュールを捻出するのもまた大変です。私の場合、後期研修医の貴重な夏休みをこの集中講座に当てました(悲)。集中講座の予約が取れたら、すぐに医長などに相談してスケジュールを確保するようにしましょう。
認定産業医になるための申請
受講が終わって50単位を集めたところで、それだけでは認定産業医になることはできません。単位を全て集めることができたら、最寄りもしくは所属する医師会に、「認定産業医になるための申請」を行いましょう。
申請については、以下のことが必要です。
1) 以下の所定の書類を集める。
・認定産業医新規申請書(医師会にあります)
・医師免許証の写(医師会員は不要)
・50単位分のシールを貼った産業医学研修手帳(Ⅰ) or 産業医科大学産業医学基本講座修了認定書、産業医科大学産業医学基礎研修会集中講座修了認定書2) 印鑑(書類作成のために必要) を持って、所属もしくは最寄りの都道府県医師会に行き、所定書類の提出、登録料(1万円)を支払う。
なお、日本医師会のHPによりますと、「単位」にも有効期限があり、「基礎研修最終受講日から5年以内に1回限り申請できます。ただし、50単位修了後、出来る限り速やかに申請して下さい」と記載がありますので、集めたらできるだけ早めに申請を行いましょう。
転職活動を開始する前に
転職活動においては、「悩む」ことの連続であると思います。実際、私も転職活動を始める前においても、「本当に転職をしていいのだろうか?」「どんな転職をすればいいのだろうか?」「今後のキャリア形成はどうしよう…」などといったことを延々と悩み続けました。
ですが、転職をするにしても、やめるにしても、いずれにせよ踏ん切りをつける必要があります。この章では、転職活動を始めるにあたって、どのようなことを考えるべきか、どのようなことを確認するべきかといったことをお示ししたいと思っております。
若手医師の内に転職しておくことのメリット
「産業医は年とってからもできる。若い今の内に、臨床医としての経験を積んでおくべきだ」という意見をいただくこともあります。
「常勤産業医は、勤務医が定年間際にやるもの」というイメージもあってか、若手医師は転職を躊躇う傾向にあるでしょうし、私自身も悩みました。実際、後期研修医の時に転職した私としては、以下のようなメリットがあると考えています。
・「未経験+高齢」での転職の難しさ:産業医未経験の場合、他に産業医がいて指導できる、教育体制があるところの方が勤務しやすいと言えると思います。しかしながら、ベテラン医師を雇う場合、「統括産業医の方が年下」「指導する側が年下」ということも起こり得ます。
採用する企業側も、「既に勤務している産業医や保健師」との相性や関係性を気にするので、やはり既存スタッフとの「年齢差」があることで採用見送りということも起こりうると思います。
・ベテラン医師の年収問題:平たく言ってしまえば、企業側の考えとしては、「産業医の年収=コスト」ということになります。本音で言えば、「コストはあまりかけたくない」というところであり、そうした観点で考えれば、年収が高くなりがちなベテランドクターは採用を見送られる傾向にあります。
・採用コストの問題:産業医を雇うにもコストがかかります。その点、「一度雇ったら、長く働いて欲しい」という希望が企業側にはあります。至極簡単に言ってしまえば、「年齢が高い医師=勤続年数が短くなる」ということになりやすく、その点で言えば「若手産業医の方を雇いたい」という希望が企業側にはあると思います。
・社員の年齢との兼ね合い:ベテラン医師が産業医になる場合、やはり雇う企業の社員側からすると、「仕事を頼みづらい…」「相談したいけど、気軽に声をかけていいものなのだろうか…」と思う可能性もあります。若手医師の方が「気軽に相談しやすい」という傾向にはあると思います。その点、若手の方が採用されやすいと言えると思います。
・ライフステージの問題:結婚をして、子供が生まれるというライフステージの変化に伴い、やはり「転職」、特に家庭内において「勤務医から産業医へ」という転職の理解を得ることはハードルが高くなります。この点、中高年医師よりも若手医師の方が転職をしやすい、という傾向にあると思います。
産業医転職で乗り越えるべき「3つの壁」
産業医に転職をする際、私も実はなかなか上手くいかずに後期研修医として勤務していた病院を退職後、しばらくバイトで食いつないでプラプラする期間がありました。
ですが、その頃のことを振り返ってみると、あまりに産業医転職の実情を知らず、そしてポイントとなるところを押さえることができていなかったことが問題だったと思います。その3つの壁とは、次のようなものです。
・1つ目の壁 求人の少なさ:まず1つ目の壁としては、勤務医の求人と比べて産業医の求人が少ないという点があります。特に首都圏以外の田舎ですと、求人数は極端に減ります。
常勤産業医を雇う企業が集中しているのは、やはり東京23区・横浜・名古屋・大阪などになってくるため、「求人が多いエリアに通勤可能エリアを広げる」といったことが必要になるわけです。
・2つ目の壁 未経験ゆえ:企業としても、「産業医の経験があって、即戦力のドクターを雇いたい」という希望がある傾向にあります。そのため、未経験ですと応募できる求人がさらに少なくなってしまいます。つまりは、未経験ということで「ハンデ」を負った状態となってしまうわけです。
そのため、産業医が複数名在籍していて指導・教育ができるという企業を選択する、あるいは、希望条件を見直すことによって、「経験を積む」ことを優先するようにするといったことが対策として必要になります。
・3つ目の壁 転職活動の経験値:産業医の転職の場合、「書類選考→一次選考→二次選考」といったステップを踏み、やはり勤務医の転職活動とも異なります。また、「転職自体が初めて」という方もおられるでしょう。
転職活動もまた、「経験値」というものがあります。他の採用候補者と比べると、産業医未経験ということですと、転職活動の経験値としても少ないことがハンデとなってしまう可能性があります。未経験であれば、以下の記事内容をご参考にしていただき、「準備」「対策」に力を入れる必要があると思われます。
常勤産業医の年収事情
常勤産業医のバイトを除いた本業単体での年収は、次の要素によって変わってきます。
・「週4日勤務」なのか「週5日勤務」なのか(中には週3日勤務もあります)。
・1日の終業時間はどの程度なのか
・統括産業医か否か。
・外来診療を担当するか否か、またそのコマ数
・支社、子会社の担当数
しかしながら、求人票を見ていますと、基本的には「1000~1300万円」の幅に収まってくると思われます。常勤産業医のみの年収で言いますと、やはり勤務医よりは下回るように思われます。
一方、「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によりますと、常勤医師のバイト込みの平均年収は「1461万円」とのことです。では、ここからバイト代を含んだ形での試算を行いたいと思います。
割の良い外来診療バイトであれば、無理なく8~9万円は稼げるはずです。8万円だとすると、年間384万円になります。常勤産業医の年収が1000万円だとすると、1384万円であり、勤務医平均と77万円差。常勤産業医で週4勤務であっても、1050~1100万円は無理なく狙える範囲ですので、勤務医と遜色のない年収となるのではないか、と思われます。
たまにスポットバイトを追加することでも、上乗せは狙えます。勤務医のように、「毎日の業務だけで疲労困憊」あるいは「呼び出しや病棟からの問い合わせがある可能性もあるし、なかなかバイトできない」ということもあまりないですから、スポットバイトも入れやすいのではないか、と思われます。
「病院でもう働きたくない」という希望について
私自身、「もう病院で働きたくない」という希望もあって産業医になりました。もし同様の希望から産業医になろうとしておられるならば、次のようなポイントについてはご認識いただておいた方がよろしいかと思います。
・「勤務医」との働き方の違い:勤務医としての働き方に、私はとにかく「合わなかった」人間ですので、産業医になって働き方がガラリと変わったことは非常にありがたかったです。
特に、夜間や休日に「電話がかかってくる」、場合によっては「呼び出しがある」というストレスがなくなったので、安心して眠れるようになり、不眠症がすっかり改善し、穏やかに休日を過ごせるようになりました。
・産業医として求められること:コミュニケーションを積極的に自分からとろうとする、そして関係各所に報告・連絡・相談を欠かさない。こうした、社会人としては最低限必要なことですが、私はしっかりと身につけることなく産業医になってしまい、当初は苦労しました。
こうした社会性があまり身についてないとなりますと、「学び直し」が必要になります。相談事、仕事を依頼された時に、「相手は何を求めているのか」ということをしっかりと把握し、それに応えるといった姿勢は産業医として求められるということは認識しておいたほうがよろしいかと思います。
・「柔軟性」が必要なことも:産業医として対応する際、常に画一的に「こうすればいい」「これが正しい判断」ということにはならないこともあります。様々な立場の社員さんがいますし、また企業側の対応もまたそれぞれのケースで異なることがあります。
・キャリアの「リスタート」:産業医を始めるにあたって、やはり今までの臨床経験とは異なり、「これからリスタート」と考えていただいた方がよろしいかと思います。
「自分はある程度、経験を積んできたドクターだ」という変な自負があったりしますと、プライドが邪魔をして、わからないことや対処が難しいこともごまかしてしまったり、不遜に思われてしまうということもあると思います。このあたり、「イチからリスタートだ」としっかり認識した上で、積極的に学んでいく姿勢は必要になるのではないでしょうか。
転職活動STEP1 求人紹介会社選び
認定産業医の申請を行い、その資格が認められるまでには時間がかかります。そのため、もし常勤産業医に転職予定ということでしたら、申請したと同時にぜひ転職活動も平行して行いましょう。ちなみに、私も認定産業医の登録が済む前に転職活動を行い、入職するまでに登録番号は分かっていましたが、証書はまだ届いていない状態でした。つまりは、その状態でも転職は可能です。
コネもなく、かつ産業医未経験の方が自力で求人を見つけて入職するのはほぼ不可能です。実際、私もやろうとしましたが当然できず、なんとも無駄な遠回りをしてしまいました。
産業医未経験の方が転職活動をするなら、迷わず求人紹介会社に登録して、転職エージェントのサポートを受けるべきであると思います。医師の側は無料で利用できますので、まずは相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
もし「おすすめはありますか?」と相談されたなら、私は「リクルートドクターズキャリア[PR]」を迷わず挙げます。
大手で母体となる企業がしっかりしており、なおかつ求人数も多く、転職エージェントも非常に相談しやすく、問い合わせにもすぐ対応してもらえました。
実際、私は3回の転職を経験しておりますが、内定がもらえたのはほとんどこのリクルート経由です。その信頼もあり、毎回リクルートドクターズキャリア[PR]に求人紹介を依頼しています。
私の転職活動での失敗 「自力」の限界
私の場合、地元で産業医の求人がないか探そうとしていました。そこで、「(地元のエリア)+産業医+求人」などでキーワード検索を行い、求人探しをしていました。
ところが、今なら分かりますが、そのような北関東の田舎の地域では常勤産業医の求人はほとんどなく、ようやく求人がヒットしても「経験者のみの採用枠」とのことで書類選考にすらたどり着けませんでした。
そのため、「やっぱり未経験な上に、コネもない私が産業医になるのは難しいのかな…」と思って半ばあきらめてしまいました。結論から言えば、「少し通勤エリアを広げれば応募できる求人数は増える」わけですが、そのことに気づけませんでした。
こうした時間と労力の無駄をしないためにも、「自力で求人を見つけよう」などとは思わない方がよろしいかと思います。
求人紹介会社への相談で医師側には「デメリットはない」
医師が求人紹介会社に相談をして、求人紹介を受けることでの料金は発生しません。さらに言えば、求人紹介から採用面接のサポート、求人先との折衝・交渉、雇用契約書のやりとりまで面倒を見てくれます。
こうした求人紹介会社への相談を躊躇う人の意見として、「こちらの希望条件や意向を無視して、しつこくゴリ押しされるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくともそうしたゴリ押しを私は受けたことはありません。
また、「しつこく連絡してくるのでは?」という人もいますが、基本的にはメールでのやりとりで、電話での相談というのもほとんどありません。また、自分のペースに合わせてくれるので、仕事が立て込んでいる時に煩わしい思いをしてしまうということもないと思います。
ですので、思いつく限り転職を考えている上で「メリットはあれど、デメリットはない」ということではないかと思います。もし転職をお考えということでしたら、真っ先に「まずは求人紹介会社に相談してみる」のが私としてはおすすめだと思います。
信頼できる転職エージェントの見極め方
求人紹介会社の転職エージェントの方も、大変失礼ながらピンキリであり、「信頼できるなぁ」と感じる方もおられれば、「うーん…ちょっと合わないかもなぁ」と思う方もいます。
そこで、私が「信頼できるなぁ」と感じた転職エージェントの方の特徴としては、次のようなポイントがありました。
・ポイント1 レスポンスの早さ:登録してからの連絡、求人についての問い合わせに対する返信の早さなど、やはりレスポンスの早さは重要な要素だと思います。
・ポイント2 「提案力」がある:希望条件に沿った求人だけでなく、少し条件を変えることで、より好条件な求人がある場合もあります。そうした提案をしてくれることも大事です。
・ポイント3 「欠点」も伝えてくれる:求人の良い面ばかりではなく、悪い面も伝えてくれて、しっかりと判断材料を与えてくれるということです。
・ポイント4 停滞期での対応:転職活動が思うようにいかず、停滞している時に連絡が途絶えるのではなく、寄り添ってまめに連絡をくれる転職エージェントはやはり信頼できます。
・ポイント5 ミスやトラブルでの対応:ミスやトラブルで、誤魔化すのではなく事情を説明してくれるなど、真摯な対応をしてくれるかどうかも大事なポイントです。
「産業医の転職に強い」は本当か?
求人紹介会社の中には、「産業医の転職に強い」「産業医の転職を専門でサポート」と謳っているところもあります。
実際、私もそのような求人紹介会社に登録して、求人紹介や転職サポートを受けたことがあります。その結果どうだったのかと言いますと、「他の会社と変わらない」というのが正直な感想でした。
まず求人の数や内容ですが、これも他の大手の会社と変わりありませんでした。その理由は、企業の産業医採用担当の立場で考えれば分かると思います。
企業の産業医採用担当の社員みんなが、「産業医の転職に強い」ということで求人紹介会社を選ぶとすれば、求人に偏りがあるはずです。ですが、現実はそうはなっていません。それは、採用担当がそうした謳い文句を鵜呑みにするのではなく、「大手で安心な会社だから」「費用を他社と比較した結果」などの理由で利用する会社を選定しているからだと思います。
こうした理由から、求人に差はないわけなので、転職エージェントの在籍数や質を重視して、大手の求人紹介会社であるリクルートドクターズキャリア[PR]などにまずは登録をしておくことをおすすめします。
「非公開求人」は本当にある?
「非公開求人が多い」と謳っている求人紹介会社もあります。「非公開求人」とは、一般的にホームページなどで紹介していない求人のことを指すと思われますが、今の時代、「たとえ企業名は伏せても、ネットなどで公開募集はしないでくれ」という会社はほとんどないのではないでしょうか(秘匿する意味がないでしょうし)。
また、言ってしまえば「非公開求人」だとしても好条件であるとは限りませんし、結論としては「ウチは非公開求人、多くありまっせ」という謳い文句で「登録しておこう」と思う必要はないと思います。
一方で、「非公開求人」は全く存在していないとは言いません。新着の求人で、転職エージェントが「ネットに公開する前に、担当しているドクターにだけ先に教えておこう」という求人は実際にありまし、私自身、教えてもらったことがあります(その求人が、今、私が入職している企業です)。
いずれネットで公開するわけですが、「とりあえずのところ今は非公開となっている求人」という意味の非公開求人はあると思います。そうした求人をいち早く教えておいてもらうためには、転職エージェントとしっかりコミュニケーションを事前にとっておく必要があると思います。
転職活動STEP2 転職エージェントに相談
転職エージェントに希望条件を伝えることで、求人紹介をしてもらえるわけですが、その相談では
・転職の目的(勤務医から常勤産業医への転職)
・どのような企業への転職を希望するのか(企業の業種、規模など)
・今までの経歴
・通勤可能圏(自宅からどの範囲か)
・希望年収
・週の勤務希望日数(週4日や5日など)
などを質問されることがありますので、事前に考えておくとスムーズに相談が可能であると思います。
なお、「通勤可能圏」は結構重要です。常勤の産業医を置かねばならないような大企業は基本的には大都市圏に偏っておりますので、関東近県だったら「東京への通勤」などを考える必要もあります。
また、「産業医未経験」ということですと、エントリーできる企業の幅が狭まるのはたしかです。そのため、希望条件を優先するよりは「まずは経験を積む」ことを優先する必要がある可能性もあり、その点はある程度覚悟しておかなければならないと思います。
転職エージェントとの面談前にすべき準備
転職エージェントとの最初の面談・打ち合わせは、求人紹介の方針を決める大事な話し合いになります。ですので、医師側もあらかじめ、しっかりと要点をまとめて転職エージェントに伝えることが必要となってきます。
そこで、面談前の準備として以下のポイントを押さえておくといいと思います。
・転職の目的→希望条件の順に考える:まずはしっかりと転職の目的を決めましょう。「何を目的とした転職なのか」を決めておかないと、軸がブレてしまいます。その軸となる目的が決まったら、その目的に沿った「希望条件」を考えていきます(年収、勤務日数、当直やオンコール回数、外来担当コマ数など)。
・希望条件の優先順位を決めておく:全ての希望条件を兼ね備えた求人というのはほぼありません。そこで、それぞれの条件について、「マストの条件」「あったら嬉しい条件」「あまり優先順位の高くない条件」などに分類して、濃淡をつけて取捨選択をすることが必要となります。その優先順位を転職エージェントに話すと、伝わりやすいのだと思います。
・先入観はNG:「こんな条件の求人はないだろうな」「まだ若手だし、好条件な求人なんか無理だろうな」という先入観はNGです。まずは現実問題、求人が存在しているかどうかに関わらず、上記の目的・希望条件をしっかりと準備した上で、まずは転職エージェントに伝えてみましょう。「思ったより好条件な求人がある」という感想を持つことも稀ではありません。
私の転職活動での失敗 「本心」を隠すことの無意味さ
私はついつい転職エージェントに「本心」を隠してしまい、腹を割って相談することがなかなかできませんでした。
転職の目的や希望条件などについて、「これを伝えたら、『若いくせに…もっと働けよ』『そんな求人あるわけない、世の中を舐めてるんじゃないの?』なんて思われるんじゃないか」などと、ついつい思ってしまって本音の部分は隠して相談をしていました。
ですが、その結果「ピントがズレた求人の紹介」になってしまいました。それはそうです。私が伝えている希望条件が本心ではないため、私の希望とはズレるのは当然のことです。
ですので、それからは私が希望条件を伝える際には、「週3~4日勤務、年収は1千万円以上、都心のこのエリアで駅チカ」など、具体的に言うようにしています。「ハッキリと希望を伝える」というのは、相談する上でとても大事なことです。
実は「0次面接」である点にも注意
転職エージェントとの相談は、対面、オンライン面談、電話などのケースがありますが、基本的には「メールのみ」ということはありません。
というのも、やはり求人紹介会社の側も「一体、この先生はどういう人柄なんだろう?」というところを知りたいはずです。人柄に問題のあるドクターを、求人を出している企業に紹介はやはりしたくないわけです。
もし転職エージェントとの面談などで、横柄・礼儀を欠くような態度や言動をしたような場合、「求人を紹介してもらえない」可能性もあると考え、礼節をわきまえ、服装も社会人として恥ずかしくない格好をしていきましょう。
つまりは、「企業の1次採用面接の前の0次面接」と考えて転職エージェントには接するようにしておいた方がよろしいかと思います。
転職活動STEP3 求人選び
希望条件などを伝えた上で、求人を紹介してもらうと、その希望条件に該当した「求人票」が複数メールで送られてきます。その「求人票」の中から、応募したい求人を選ぶことになります。
基本的には、産業医未経験であっても応募できる求人がそこには記載されているはずです。ただ、求人票を見ても基本的、最低限のことしか書いていないことがほとんどで、初見だと「どの求人に応募すればいいんだろうか…とりあえず、年収の最も高いここか?」といったことになりがちです。
そこで求人選びでは、以下の6つの点を順に見ていくことをおすすめしています。
1) 年収・昇給の有無
2) 雇用契約は嘱託?正社員?
3) 勤務日数・時間・社会保険
4) 交通費支給
5) 産業医・保健師の人数
6) 「求人票」に表れにくいポイント
詳しい説明については、以下の記事
に記載しておりますので、ぜひお読みいただければと思います。
勤務医の転職活動と異なる「産業医独自」の求人選びでのポイント
勤務医の転職活動と、産業医の転職活動は大きく異なる点があります。特に求人選び、求人票でチェックすべき内容については違いが大きいと思います。
そのチェックすべき内容とは、以下の3点だと私としては思っています。
・社員数、産業医、保健師:企業の社員数や、自分の担当する社員数は業務量にも関わってきます。また、その企業の社員数を反映するように、産業医と保健師の数は増減します。さらに、産業医、保健師の数の多さによっても人間関係という面で働きやすい環境か否かは変わってきます。
・担当する支社、関連会社の数や位置:担当している支社や関連会社に、安全衛生委員会出席や職場巡視で出張しに行くことになります。この場所や担当する会社の数によっても移動の大変さは変わってきます。入職前にこのあたりはぜひチェックしておきたいところです。
・給与制度:入職した段階から給与が固定となっている企業もあれば、毎年昇給していく企業、あるいは「働きぶりを評価」することで給与が変わってくる企業もあります。それぞれメリット・デメリットはあると思いますが、このあたりはしっかりと意識した上で入職しておく方がよろしいかと思います。
「未経験でも応募できる」産業医の求人とは
企業の多くは「産業医の経験のあるドクターを雇いたい」という傾向にあると思いますが、中には「未経験でも大丈夫」という求人もあります。
なぜ未経験でも可能なのかと言うと、次のような3つのパターンの理由があります。
・複数の産業医が在籍している:最もよくあるのが、複数の産業医が在籍しているような大きな企業で、「他の経験豊かな産業医から指導できる。だから、未経験でも雇える」というパターンです。
・マニュアル化+ベテラン保健師の在籍:以前に産業医が在籍している企業で、産業医の業務がマニュアル化しており、なおかつベテラン保健師が在籍していてサポートできる、というような企業ですと、「未経験でも可」というところはあります。
・企業のニーズ:企業側のニーズにより、「産業医というよりは、臨床医としての経験が豊富なドクターを雇いたい」というケースも存在します。また、産業医に対して要望することのレベルがさほど高くなく、「最低限、法定業務をしっかりやってくれれば結構ですよ」というようなケースでも、「未経験であろうとかまいませんよ」となる可能性はあります。
産業医の求人選びで重要な「難易度」
産業医の仕事と一口に言っても、実は企業によってその仕事の「難易度」は異なっています。その難易度は、基本的には「企業が産業医に求めること=期待値」が大きいか小さいかによって異なっています。
「法定業務だけをお願いしたい」という、期待値が小さい企業もあれば、「積極的にどんどんと安全衛生について意見をしてもらい、健康経営に関わってもらいたい」という期待値が大きい会社もあります。
ちなみに、期待値の小さい方から順に並べていきますと、以下の6段階に分かれていきます。
・第1段階「法定業務」:安全衛生委員会への出席、健康診断の就業上判定といった法律で定められている業務
・第2段階「個別ケース対応」:体調不良・メンタル不調者の対応、休職者の復職支援などの業務
・第3段階「システム構築」:休職~復職のプロセス、健康経営のための中長期的な計画立案や推進など。
・第4段階「産業保健部門の管理」:所属職場の産業保健業務自体をマネジメントするといった業務
・第5段階「産業保健領域全体の統括」:経営理念や方針を踏まえ、活動の優先順位をつける、あるいは後輩の育成業務など。
・第6段階「共有部分への参画」:産業保健の枠を超え、企業価値を高める活動を行う。
産業医が複数在籍していて、「先輩産業医の仕事を見て学ぶ」ということであれば、企業の求める期待値の高いところで勤務するというのもありでしょうけども、「産業医一人体制」で、期待値が自分にとって高すぎるところ勤務するとなると大変です。
なので、このあたりの期待値が自分に釣り合うところなのか、ということで企業を判断するということもまた、求人選びでは重要なポイントです。もちろん、このあたりは採用にあたって企業側も厳しく産業医を見てはいると思いますが、応募する側においても、その「難易度」を考えてから応募するということもまた、大事なことであると思います。
「フィードバック」の重要性
転職エージェントから求人票が送られたきたら、ひとまずその求人票を見た感想についてフィードバックをしましょう。なぜそのフィードバックが必要かと言いますと、主な目的は「希望条件に対する自分と転職エージェントのズレを修正する」ことにあります。このズレは、複数ある希望条件の中で、「優先順位」が双方で異なっていると起こりやすくなります。
ですので、「私の希望としては、このA社の求人が最も近いです。ただ、年収1千万円以上、週4日勤務という条件はマストであり、週5日勤務という点が異なっています。また、通勤時間は最寄り駅から45分程度としたいと思っており、この点もやや異なっています」といった形で、フィードバックしましょう。
さらに、こうしたフィードバックを行うことで、転職活動への「本気度」を伝えることもできます。冷やかしでないと分かれば、新着求人があった場合、優先的にネット掲載前に教えてもらえることもあります。
フィードバックは、「あんまり良い求人がないなぁ…」という時こそ重要です。食指が動かない求人ばかりということですぐ「別の求人紹介会社に乗り換えよう」というのではもったいないです。フィードバックをしてみて、その反応がどのようなものかというのを見てからでも、他の求人紹介会社にアプローチするのは遅くないと思います。
産業医転職で気をつけたい「落とし穴」
私が産業医での転職をした際、「失敗したなぁ…」「入職前に調べておくべきだった…」と思ったことがあります。いわば求人選びでの「落とし穴」となる部分ですが、産業医の転職経験がないと、なかなか気付けないものです。
以下の点については、しっかりと転職する前に調べておいた方がいいと思う部分です。
・産業医の在籍人数:企業の規模(社員数)によって産業医の在籍人数はそれぞれ異なります。それによって業務負担も変わってきますし、特に未経験者だと「先輩産業医に相談できる環境かどうか」というのは、求人選びで大きなポイントとなります。
実際、私も産業医一人体制の企業に初めての転職で入職しましたが、やはり勝手が分からず苦労した部分も多かったです。
また、「医師年数≠産業医経験年数」であることにも注意しましょう。「年配の先生で、産業医経験も多いんだろうな」と思いきや、「実は定年間際に産業医になったんだよね」という人もいますので、特に未経験のドクターの場合は求人選びで注意した方がよろしいかと思われます。
・社会保険の有無:企業によっては、「社会保険 無」ということもあります。それはつまりどういうことかと言いますと、割高な「国民健康保険に加入しなければならない」ということになります。
週3勤務で、なおかつ勤務時間が短いという場合はこのようなこともあり得るので、注意が必要です。「社会保険は必ず加入させてもらえるもんだろ」と思っていたところ、実はこのようなこともあるため、まさに「落とし穴」となるわけです。
・祝日、土曜出勤、研究日:祝日も工場が稼働している企業ですと、「祝日も勤務」というところがあります。その場合、産業医も出勤する必要が出てきます(工場カレンダーというものがあり、出勤はそれに従う、という説明がされているところもあります)。
他にも、土曜出勤をしなければならない企業(代わりに平日休みがあったりもしますが)もあり、注意しておく必要があります。
あと、週4日勤務で「平日の1日は研究日がとれる」となっていたとしても、他の産業医が研究日をとる兼ね合いで、金曜での研究日を希望していても、「木曜と金曜以外で研究日をとってください」と指定されることもあったりします。
・支社・関連会社訪問について:本社勤務というだけでなく、支社や関連会社へ月1ペースでそれぞれ訪問するということも求められることはあります。その場所が近隣であったり、あるいは交通の便が良い場所にあればいいのですが、「電車、バスをいくつも乗り継いでいく必要がある」「意外と歩行距離が長くて大変」という場所の支社・関連会社に行かなければならないということがあったりします。
産業医の転職で重要な「3つの軸」の人間関係
産業医の転職において、人間関係は「3つの軸」で捉えておくことが重要であると思われます。この「3つの軸」とは、次のようなものです。
・産業医同士での人間関係:そもそも産業医一人体制であればこの人間関係に悩まされることはないでしょうけども、複数人体制ですと、統括産業医と平産業医、そして先輩・後輩といった人間関係があり、場合によっては悩ましい人間関係となりうることもあります。
産業医として未経験や経験が浅い内は、先輩産業医がいることで相談できたり、あるいは企業からの相談事や厄介事を引き受ける「盾」になってくれることもあり、できれば複数人体制の企業の方がおすすめだとは思いますが、その一方で人間関係に悩まされる可能性もあります。
・保健師との人間関係:産業医・保健師との人間関係もまた、こじれると厄介なこともあります。このあたり、保健師さんのキャラクターや経験年数(ベテランかどうか)、自分との相性にもよる人間関係となります。
・人事労務担当者との人間関係:面談を依頼されたり、あるいは面談後のフィードバックを行うなど、人事労務担当者との関わりは多く、また人事の課長や部長が「実質的な産業医の評価を行う上司」となりうるケースも結構多いと思います。そのため、このあたりの人間関係がどうか、ということも働きやすさに大きく関わってくると思います。
転職活動の具体的な流れ
さて、ひとまず応募する求人が決まったとします。その意向を転職エージェントに伝えますと、「では、まず書類選考に応募します」という流れになります。
産業医の選考で言いますと、
1) 書類選考
↓
2) 1次面接
↓
3) 2次面接
というステップになります。履歴書を送り、書類選考を通ったら採用面接に臨む運びとなります。
採用面接については、
こちらをご参考にしていただければ十分に対策できると思います。ポイントとしては、
・「一次面接と二次面接の違い」を理解
・産業医の採用面接でよく4つの質問対策
・「履歴書・職務経歴書」で自分の弱点を洗い出す
・個別の企業対策
となっています。
想定質問・回答集を作るとしたら、
こちらの記事をご参照していただけますと幸いです。
採用面接のポイント1 重要な「協調性」
求人票を見ておりますと、希望する産業医像のところで「人事や保健師と協調性をもって勤務できる方」「社員や保健師とコミュニケーションをしっかりととっていただける方」といったことが記載されていることがあります。
企業にとって、「人間関係が原因で仕事が上手く回らない」ということは困ってしまうわけです。もっと言えば、「雇った産業医が原因で、引っかき回されたり、振り回されることは御免被りたい」というのが本音のところだと思います。
そのため、保健師や人事労務担当者と「関係性をしっかりと築いて、コミュニケーションをとって働ける人物かどうか」というところは採用側も注意深く見る傾向にあると思います。
採用面接のポイント2 医師としての「特別意識」をなくせるか
企業側としては産業医に、平たく言えば「色んなことを頼みたい」「困った時に助けてもらいたい」という希望があるわけです。ところが、「社員ではなく医師」ということで距離感、隔たりを感じてなかなか「頼めない」ということもあるようです。
そのため、「良い意味で、医師としての特別意識がなく会社の一員になってくれる人物」であるということもまた、重要なポイントだと思います。
つまりは、「二つ返事で会社のために仕事を引き受けてくれる、困った場面で助けてくれる」という印象を持ってもらえるかどうかということが、面接での成否を分けてくるのではないでしょうか。
採用面接のポイント3 なぜ産業医になりたいのか?
必ず採用面接で聞かれる質問が、「なぜ産業医になりたいと思ったのですか?」というものです。この質問には、「なぜ臨床医ではなく、産業医なんですか?」「産業医になって、どのようなことがしたいのですか?」「産業医になるのに、どれほどの熱意を持っているのですか?」といった意味合いが実は含まれています。
ですので、「こんな理由で、産業医になりたい」とアピールする上で格好の質問となっています。逆に言えば、その質問で「空振り」してしまうと、採用のチャンスを失ってしまうことにもなりかねません。
だからこそ、その重要な質問に対して、しっかりと回答を練っていかないのはみすみすチャンスを捨てているようなものです。他の質疑応答の内容を用意するよりも先に、まずは「なぜ産業医になりたいのか」について話をまとめておくべきであると思います。
採用面接のポイント4 「棚卸し」の重要性
今までのキャリアを振り返り、どのような仕事をしてきたのか、どのような経験を積んできたのかということを整理しておくことをキャリアの「棚卸し」と言ったりします。
採用面接の場で、この「棚卸し」をしっかりしていたかどうかで大きな差が出てきます。自分のことを紹介する際、あらかじめまとめておかないと十分にアピールできない可能性があるわけです。
また、臨床医から産業医になる場合、「今までの臨床医としての知識や経験が、どのように産業医として活かせるのか」という視点で見直しておく必要があります。ですので、採用面接前には、「棚卸し」をしっかりとしておくようにしましょう。
採用面接のポイント5 おすすめな「企業情報」の収集方法
採用面接を受けるに当たって、「初めて知った企業」ということもありえます。その場合、「少なくとも企業のホームページぐらいは見ておこうよ」となるわけです。
「弊社のことをご存知ですか?」「弊社の仕事内容はご存知ですか?」と質問されることもあります。また、その他の質疑応答においても、「企業側が求める回答」を考える上でも、企業情報は重要です。
そうした企業情報を入手するため、私としては以下のようなところは少なくとも見ておくべきであると思います。
・(企業のHP)企業概要と事業内容:少なくとも、どのような企業であり、業種は何なのか、事業内容(何で儲けているのか)というのはチェックしておきましょう。また、どのような規模(社員数、グループ会社の有無、支社数)の企業なのかということも、入職してからの業務量に関わってきますので、ぜひチェックしておきたいところです。
・(企業のHP)トップメッセージ:企業のトップのメッセージは、「どのような理念を持っているのか」「今後、目指すものは何なのか」といったことが語られていると思います。そのようなことを覚えておき、「弊社を志望された理由は?」と質問された時に、「◯◯という理念に共感をしたからです」といった形で利用することもできるので、ぜひチェックしておきましょう。
・(企業のHP)IR情報:投資家向けの情報であり、その企業の経営状況・財務状況・業績動向などの情報が掲載されています。「ウチはこんな魅力がある企業なんですよ」というアピールしている情報でもあるわけで、その点も採用面接での情報として使えると思います。
・(企業のHP)採用情報:企業のホームページには、「こうした人材を歓迎したい」という採用情報を掲載していることもあります。「求める人材」は、「社風」を反映している部分もあり、産業医として応募する上でも「社風に自分が合っているのかどうか」という指標にもなると思います。また、採用面接での質疑応答で、「こういう人材が欲しいんでしょ」とアピールすることにもつなげられると思います。
・就職、転職口コミサイト:こうしたサイトには、退職者が「企業のネガティブな面」を書いていることもあります。それはつまり、「退職者を出してしまう、企業の悩みどころ」を反映したコメントでもあるわけです。企業が現在、どのようなことに困っているのか。それに対し、産業医としてどのように関わることができるのか、ということを考える上で有用であると思います。
採用面接のポイント6 質問・回答集の重要性
私自身、採用面接を10回以上受けているわけですが、その面接のたび、直後に「どのような質問をされたのか」ということをスマホにメモしています。
もちろん、面接によっては「上手くいかなかった…」「反応、あんまり良くなかったなぁ…」と思うこともありますが、そのような時、「反省せずに改善をする」ことを心がけ、質問集にメモしては「次はこう答えよう」という回答を考えていました。
こうした質問・回答集を作り、また次回の面接直前に見返すと落ち着いて臨めると思います。さらには、1次面接と2次面接で答えた内容に齟齬があると問題であるので、ぜひ2次面接前には、「どのようなことを1次面接で答えていたのか」という点は確認しておきましょう。
転職活動が上手く行かない時は
私は1回目の転職の時は、そもそも「転職活動の常識」があまりよく分かっておらず、結果的に遠回りをすることになってしまいました。
2回目の転職では、ある程度その常識が分かってきたつもりではいましたが、前回の入職による失敗で自信喪失状態になり、今度は「どの求人にエントリーしても失敗しそう…」という状態になってしまいました。
3回目の転職になり、ようやく「転職活動ってこういうものだよな」と割り切って取り組めたように思いますが、それでも「自分にとって好条件の求人がない」という時期は結構長かったように感じていました。
3回の転職の中で、それぞれ「上手くいかないポイント」を経験したわけですが、そんな時に避けるべき行動としては、次のようなものがあると思います。
NG行動1 求人紹介会社に登録しまくる
応募したいと思う求人がない時、「他の求人紹介会社ならいい求人があるのかも」と思って、登録しまくってしまうものです。私自身、産業医の転職が上手くいかなかった時は、5社近くに登録していたと思います。
ですので、私としては「リクルートドクターズキャリア[PR]などの大手に依頼して、あとはエージェントと密にコミュニケーションをとって一早く希望条件に合った求人を紹介してもらう」という作戦がベストなのではないかと思っています。
NG行動2 大幅な妥協をしてしまう
「なかなかいい求人がないから」と、当初の転職目的や、希望条件とは大幅に異なる求人へ応募したりしてしまうことがあります。
焦った上で、ついついそのような行動に出てしまいがちですが、それはたとえ内定がもらえたとしても、転職自体に不満や後悔が残る可能性があると思います。そのような残念な思いをするのだったら、焦って転職してしまうよりは、「いい求人が出てくるまで待つ」ということも大事なことだと思います。
NG行動3 意味のない反省
採用面接での質疑応答など、「次はこう言おう」といった対策をする上での反省は必要なことだとは思いますが、一方で、「だから私はダメなんだ…」「そもそもこんな経歴で雇ってもらえるところなんかなよな…」など、ただ単に転職活動において邪魔になるだけ、士気を下げてしまうだけの反省を繰り返すことはNGです。
ついつい失敗が続く時には、「自信なさげ」に見えるものです。だからこそ、諦めず、そして「気分を切り替えて採用面接に臨む」ということが大事です。