勤務医から産業医へ転職した時に、「臨床医を辞める」というきっかけを与えてくれたもの

最近、産業医として若手の女性社員さんの面談をすることがありました。活躍を期待されており、結構な有望株の方でしたが「もう退職するという決断をしている」という話をされていました。

きっかけは顧客から怒鳴りつけられたことであり、顧客から「詰められる」ことがが立て続けに起こって、今後のことを考えて「退職する」と決意されたそうです。このことを知った上司の方々は「そのようなことばかりではない」「一度、そうしたことが起きたぐらいで退職するのはまだ早い」といったことで引き止めようとしましたが、考えは変わらなかったようです。

実際、面談結果を伝えたところ、上司・人事ともにそのような反応で「理解できない」といった反応でしたが、私としては以下のような理由で「そういうことだよな」と妙に納得できました。

彼女が退職する理由

「一度や二度、怒鳴られたぐらいで辞めるなんて…」という時代ではもはやないのは承知の上です。それでもたしかに「そんなことで辞めるなんてもったいない」という思いを抱く上司たちの考えも分かります。

しかしながら、面談の時に女性社員の方からの話を聞いた時のことを考えると、「そうか、こんな思いをしてまで続けたいという仕事ではないんだな」ということなのかと私としては思いました。

つまりは、「怒鳴られたから辞める」という短絡的なことではなく、「今後もこのように顧客から詰められ、時には怒鳴られ、そこまでしても続けたいと思えなかった」という方が退職理由としては大きいのだと感じました。それまで仕事のこと、将来のこと、今後のキャリアのことなどを考えていて、その中でその一件があった。最後の最後でそのダメ押しの出来事があったからやめたのではないか、と私としては思うわけです。

仕事に必要な資格(結構な難関です)もしっかりと取得しており、決して不真面目ではなく、優秀な彼女だからこそ、「イヤなことがあった→もうやーめた」ということではないんだろうな、とも思うわけですが、「仕事を今後も続けていく理由」が見当たらなくなってしまったということなのではないでしょうか。

私が後期研修医をやめた理由

私も、そもそもは後期研修医として働いていた当時、あまり好きではない仕事を続けながら、常にイライラ、心がササクレだっているような状況でした。そんな時、幹部の患者さんへの対応が悪かった、ということで医長ともども呼び出しを受けて謝罪させられる、というようなことがありました。

どう考えても私が悪いわけですが、そこで病棟へ戻る帰り道、医長から「君は臨床に向いてないね。検査科に行くことを考えたらどうだい?」と言われたことがありました。それまでも、自分自身で「臨床を向いてないよな」と思っている中で、その一言を言われて、「あ、そうだよな」と改めて自覚しました。

臨床医をやめようか、どうしようかと考えていた中で、最後の最後にその一言があって、「あ、やめよう」と思えたわけです。ただ、その事情を知らない人からしたら、「単にその一言でやめたのか」と思われたかもしれません。

ですが、それまでのプロセスがあってこそ、何らかのきっかけで「やめよう」と思ったりするものなのではないか、と思うわけです。そこから退職をして、私はリクルートドクターズキャリア[PR]のキャリアエージェントに相談をして転職をするに至りました。

今、振り返ってみればということにはなりますが、あの一言があって退職をすることになり、「臨床以外の道に進もう」と思えたことは私にとってよかったのではないか、と思っております。

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