産業医になる(常勤産業医として働く)ために必要な流れと押さえておきたいポイント

臨床医から「そうだ、産業医になろう」と思っても、すぐになれるものではありません。そこにはいくつかのステップがあり、ある程度の「壁」を超えていかねばなりません。

この記事では、産業医未経験の方を対象に、「常勤産業医として働く」ために必要な流れと、押さえておきたいポイントについて書いてみたいと思います。

この記事を読めば、産業医になるための大まかな流れを掴むことができると思います。

なお、「産業医って興味あるけど、よく分からない」「実際のところ、産業医になるってどうなの?」と思っていらっしゃるということでしたら、まずは

勤務医が産業医に転職する「メリット」と「デメリット」とは
産業医をやっておりますと、勤務医の友人からは「残業もなく定時で帰れるんでしょ?」「当直やオンコールもないし、土日祝日も休める。最高じゃない」と、若干の皮肉まじりに言われることもあったりします。たしかにそうしたメリットは享受できているというの...
「ドロッポ医(泥医)か、産業医か…」とか迷っているなら、産業医になるべき5つの理由
こちらのサイトに、「ドロッポ 産業医」という検索ワードで来られる方がいらっしゃいます。この検索キーワードから推察するに、「ドロッポ医になるか、産業医になるか…」ということで迷っておられるドクターがおられるのかな、と思われます。この二択だった...

で、産業医になることでのメリット、デメリットを知っていただくのがよろしいかと思います。その上で、以下の記事をお読みいただければと思います。

認定産業医になるための単位集め

産業医になるためには、「医師である」だけではダメであり、所定の要件を満たす必要があります。臨床医から産業医になる場合、一番現実的なのは「日本医師会認定産業医制度指定研修会を受講し、必要な単位を集めて認定産業医になること」だと思います。

詳細は「認定産業医になるための方法ー単位集めから申請までのまとめ」に書きましたので、お読みいただければと思いますが、講習会に参加して

・前期研修:14単位以上
・実地研修:10単位以上
・後期研修:26単位以上

を集める必要があります。開催予定の講習会については、「産業医のスキルアップ(研修会検索)」に掲載されており、コツコツと参加して単位を集めていくことができます。

「もっと短期間に、まとめて取得したい」ということでしたら、産業医科大学もしくは自治医科大学などが開催している集中講座があります

産業医科大学では、「研修・セミナー・学会・シンポジウムのご案内」から、自治医科大学ですと、「自治医科大学附属病院からのお知らせ」に開催予定などが掲載されています。

ただ、集中講座は非常に人気で、予約をとるのも結構大変です。募集期間を逃さないように定期的にチェックしておきましょう。

認定産業医の申請

上記の単位が取得できたところで、所属もしくは最寄りの都道府県医師会に申請を行うことになります。「認定産業医になるための申請・登録方法」のように、

・認定産業医新規申請書(医師会にあります)
・医師免許証の写(医師会員は不要)
・50単位分のシールを貼った産業医学研修手帳(Ⅰ) or 産業医科大学産業医学基本講座修了認定書、産業医科大学産業医学基礎研修会集中講座修了認定書
・登録費用:1万円

を揃えることで申請は可能です。

人材紹介会社への登録・求人への応募

さて、ようやく認定産業医になれたところで今度は「雇ってくれる企業を探す」必要があります。ただ、自力で求人情報を集めることも至難の技ですし、さらに言えば未経験の状態で「雇ってください」と言いに行っても、なかなか雇ってはもらえないのではないでしょうか。

そこで、やはりオススメの方法は人材紹介会社への登録を行うことです。登録を行いますと、求人紹介だけでなく、転職エージェントが担当者となって、最初から入職までを全て無料でサポートしてくれます。

ただ、どこへ登録するか迷ってしまうということでしたら、「リクルートドクターズキャリア」と「エムスリーキャリア」がおすすめです。

リクルートドクターズキャリア

エムスリーキャリア

私自身も、転職で何度となくお世話になっており、まずはこのいずれかにご登録してみてはいかがでしょうか。求人数も多く、転職エージェントのサポートも手厚いため、産業医未経験の方には間違いないと思います。

なお、「非公開求人」という文言につい惹かれて、色んな人材紹介会社会社に登録してしまいがちですが、実際は

医師の人材紹介会社にある「非公開求人」が、あえて公開しない理由3つのパターン
医師の人材紹介会社で、「ウチは非公開求人がこれだけあるんですよ」と謳っている場合があります。それは、ネットで公表している求人だけでなく、「公開していない求人もあるので、ぜひ登録して相談してね」ということの「誘い文句になっている」のだと思いま...

にもあるような求人がほとんどですので、基本的には信頼のおけるリクルートドクターズキャリアと、エムスリーキャリアの二社だけで大丈夫だと思います。

採用面接から入職まで

産業医の採用は、書類審査→1次面接→2次面接が必要になり、場合によっては3次面接を実施するところもあります。採用担当者は数々の社員を見てきた採用に慣れた人物であることが多く、しっかりと面接対策を行わないと内定を得るのは難しいです。

産業医の採用面接で質問されやすいこととその回答のポイントについては、「産業医の採用面接で聞かれやすい質問と回答のポイントまとめ」にまとめておりますので、そちらを参考にしていただければと思います。

「なぜ産業医になろうと思ったのですか?」「なぜ弊社を希望されましたか?」などの志望動機、産業医として働くにあたってのスタンスなどはほぼ必ず質問されると思いますので、ぜひ用意しておきましょう。

転職エージェントは、1次面接ぐらいまででしたら同席してくれるので心強いです。また、個別の企業の採用面接対策も事前にアドバイスしてくれます。

なお、産業医に限らず医師の採用面接に必要なことにつきましては、

https://dr-mensetsu.com/

に書いておりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。

「内定が出ない…」ことへの対処法

産業医未経験の時には、やはり「一社目の壁」があり、なかなか内定が出ないことも稀ではありません。ちなみに、経験者でもよく落とされますので、それだけ産業医の採用面接突破は難しいと思っていただければと思います。

「内定が出ない…」という時には、まずは「産業医未経験の医師が「一社目の壁」を超えるために必要なことまとめ」をご参考にしていただき、求人選びのコツなどをご参考にしていただければと思います。

求人が出てくるまで、じっと待つ時間も必要であり、これが転職の辛いところでもあります。あらかじめしっかりと転職エージェントに希望条件を伝えた上で相談しておいて、あとは焦らずに待つことも大事です。
タイトルとURLをコピーしました