産業医未経験の医師が「一社目の壁」を超えるために必要なことまとめ

苦労して50単位以上を集め、医師会に申請してようやく認定産業医になった…としても、常勤産業医にすぐなれるかと言いますと、そうではありません(ちなみに、認定産業医の資格取得方法は以下の記事をご参考にしていただけますと幸いです)。

認定産業医になるための方法ー単位集めから申請までのまとめ
産業医になるための方法産業医になるためには、にも書きましたが、「医師である」だけではダメで、労働安全衛生法第13条2項、および労働安全衛生規則第14条2項に定める通り、以下の要件のいずれかを満たさなければなりません。1.労働者の健康管理等を...

「産業医未経験」ということになりますと、採用率は経験者に比べて低く、「一社目の壁」を超える必要があります。その方法について、当サイトで何回か触れてきましたが、今回はその方法をまとめてみたいと思います。

医師の大手人材紹介会社に登録

まずは求人情報がなければ話になりません。自分で産業医募集中の企業を調べる、あるいはコネで入職する、医局から派遣される…といった他の方法もありますが、情報・コネなどがない私のようなタイプは、人材紹介会社に頼らざるを得ないと思います。

私は3回の転職の中で、いわゆる大手の人材紹介会社から、比較的小規模な人材紹介会社まで登録したことがありますが、基本的には「大手の人材紹介会社で事足りる」と思っています。また、大手の方が、レスポンスや企業への対応に関して、転職エージェント自体の質も良いと思っています。

ですので、リクルートドクターズキャリア[PR]エムスリーキャリアにだけ登録しておけば問題ないと思います。

なお、私の産業医になるまでのドタバタとした経緯は、

私が臨床医から産業医になるまでに失敗していた理由と成功に至るまでの経緯
私は内科系のとある科で、後期研修医として勤務していました。ですが、体調不良と上司との関係悪化を理由に、後期研修を途中でドロップアウトしています。詳しい経緯につきましては、をお読み下さい。また、この経験を元に、「臨床医をやめる」選択をとる上で...

にまとめておりますので、一読していただけますと幸いです。

なお、「非公開求人」という文言につい惹かれて、色んな人材紹介会社会社に登録してしまいがちですが、実際は

医師の人材紹介会社にある「非公開求人」が、あえて公開しない理由3つのパターン
医師の人材紹介会社で、「ウチは非公開求人がこれだけあるんですよ」と謳っている場合があります。それは、ネットで公表している求人だけでなく、「公開していない求人もあるので、ぜひ登録して相談してね」ということの「誘い文句になっている」のだと思いま...

にもあるような求人がほとんどですので、基本的には信頼のおけるリクルートドクターズキャリアと、エムスリーキャリアの二社だけで大丈夫だと思います。

求人の選別方法、「求人がない」への対処法

良い求人があった場合は、このステップは不要と思いますが、多くの方が「求人票も見慣れてないし、どれがいいのか分からない」「あんまり良い求人がない…」「求人自体が少なく、選びようがない」といった状態になっているのではないでしょうか。

求人票の見方があまりよく分からないという時には、まずは

産業医未経験のドクター向け「産業医求人票」で押さえておきたいチェックポイント【医師転職】
私も臨床医から産業医になるときには、産業医未経験の上に転職が初めてときていたため、リクルートドクターズキャリアの転職エージェントさんに「こちらが求人票になります」と見せていただいたときにも、「え?どう見ればいいわけ?」と思って戸惑ったのを覚...

をご参考にしていただき、どのようなチェックポイントで求人票を見ていったらいいのかを覚えましょう。

1 まずは勤務地と年収で比較

2 勤務日数・時間、副業可能かどうかをチェック

3 支社・子会社の担当有無、診療所が併設しているか否かをチェック

という点については、少なくとも見ておきましょう。こうしたポイントで求人票を比較すると、なんとなく特色が掴めるのではないでしょうか。

次に、「あまり良い求人がない…」という場合、希望条件の見直しが必要なことがあります。

未経験の状態で臨床医から産業医への転職を成功させるためのポイント【医師転職】
私も後期研修医として勤務していた病院を退職し、産業医への転職を行った内の一人です。ですので、当然ながらその時は「産業医未経験」でした。既に病院を退職してしまっていながら、転職は上手くいかず、数ヶ月バイトで食いつなぐ日々でした。今思うとぞっと...
「産業医未経験」の臨床医が手っ取り早く産業医になるための3つの方法
産業医の求人で言いますと、完全に「買い手市場」です。求人数がそもそも少なく、その一方で希望者は多いです。さらには「経験者求む」というところが多いため、なかなか未経験者が産業医になることは難しかったりもします。 常勤産業医の転職市場は、「買い...

にも書きましたが、

・希望勤務エリアの見直し(地元ではなく、関東であれば東京などの大都市圏での勤務を検討)

・「経験すること」を優先させて、年収や勤務日数などの希望条件について妥協する、もしくは希望条件とある程度の乖離があっても「未経験者可」と謳っている求人に応募する。→2~3年経験後、2社目以降で希望条件に近づける。

・常勤ではなく、まずは嘱託産業医を経験してみるのも一考する。

といったことを検討されてはいかがでしょうか。

未経験者にオススメな求人とは

産業医未経験者も受け入れているような企業の特徴としましては、

「未経験でも応募可」である産業医求人のよくある3つのパターン
産業医の求人票を見ていますと、企業側の希望として・経験者のみ募集・経験者優遇・未経験可といったものがあります。産業医の経験がなく、「これから常勤産業医として転職したい」という場合、「未経験可」の求人に応募をする方が内定をもらえる可能性は高く...

にも書きましたが、

・産業医が複数人いて、仕事を教えられる。

・ベテラン保健師がおり、産業医の業務が既にある程度マニュアル化されている。

・産業医の業務がマニュアル化されており、なおかつ企業側が「あまり他社でのやり方に染まっていないドクター」を希望するケース

・「メンタル疾患を抱える社員が多く、精神科的なアプローチで休職者を減らしたい」「メタボな社員が多く、内科的なアプローチでこの問題に積極的に取り組んでくれるドクターを希望したい」など、臨床的な知識・経験を重視するケース

などのいずれかのパターンに該当している可能性が高いです。

中でも、未経験者にオススメであるとすれば、「産業医が複数人いて、仕事を教えられる」という企業だと思います。

やはり経験豊富な産業医は学ぶべきところが多く、なおかつ複数人の産業医がいるところは自ずと超大手企業であり、業務もマニュアル化されていて覚えやすいです(たとえば、休職→復職のプロセスなどもしっかりマニュアル化されています)。おまけに福利厚生もしっかりしており、その恩恵に預かることもできると思います。

「落ちるのは当然」というスタンスで

実は、それなりの産業医経験者であっても、採用面接で落とされることもザラです。

「産業医未経験」の臨床医が手っ取り早く産業医になるための3つの方法
産業医の求人で言いますと、完全に「買い手市場」です。求人数がそもそも少なく、その一方で希望者は多いです。さらには「経験者求む」というところが多いため、なかなか未経験者が産業医になることは難しかったりもします。 常勤産業医の転職市場は、「買い...

にも書きましたが、

産業医の場合、書類選考→一次面接→最終面接を経て、ようやく採用となります。その中で勝ち残っていかなければいけないため、ある程度は「落ちるのは当然」と思っておいて、受け続けるというスタンスが必要になると思います。

ただ、落ち続けてしまった時には、

常勤産業医の求人に「何社応募しても内定がもらえない、落とされる」場合にやるべきこと
常勤産業医の採用は、「書類審査→1次面接→2次面接」というプロセスを経て行われます。つまり内定を得るためには、「2次面接まで残り、最後の1人になる」まで勝ち残る必要があるわけです。内定が得られず、次々に落ちてしまう…ということもあります。実...

にも書きましたが、

・面接対策の練り直し

・求人数が増える11月~1月まで転職活動を休止してみる。

といったことも検討してはいかがでしょうか。

なお、採用面接対策については、別サイト

https://dr-mensetsu.com/

にもまとめておりますので、ご参考にいただけますと幸いです。

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