「ドロッポ医(泥医)か、産業医か…」とか迷っているなら、産業医になるべき5つの理由

こちらのサイトに、「ドロッポ 産業医」という検索ワードで来られる方がいらっしゃいます。この検索キーワードから推察するに、「ドロッポ医になるか、産業医になるか…」ということで迷っておられるドクターがおられるのかな、と思われます。

この二択だったら、間違いなく「産業医」になることをオススメしたいです。私自身もいわば後期研修をドロップアウトし、しばらくのドロッポ経験を経て産業医になっているため、「ドロッポ医気質」はとても多く持ち合わせている人間です。

その私が産業医を10年近く続けられているという点からも、オススメはできるのではないか、「ドロッポ医と産業医、親和性があるのではないか」と思っている次第です。

そこで今回は、「ドロッポ医(泥医)か、産業医か…」とか迷っている方なら、産業医になるべき5つの理由について書いてみたいと思います。

なお、「ドロッポ(ドロッポ医、泥医)って何よ?」ということでしたら、

「ドロッポ医師」が誕生するまでの3ステップ-きっとあなたはまだ踏み止まれる
常勤勤務医から「ドロップアウト」して、非常勤・スポットバイトなどで食いつないでいく医師のことを、「ドロッポ」「ドロッポ医師(ドロッポ医)」「泥医」などと呼ぶそうです。 「フリーランス」とは異なり、常勤医がそうした医師を呼ぶ際の蔑称、もしくは...
今後増えるであろうと考えられる「新時代のドロッポ医(泥医)」とは【医師転職】
ドロッポ医とは、「常勤勤務医からドロップアウトして、非常勤・スポットバイトなどで食いつないでいく医師」と定義できると思います。 一般的には専門医資格取得前の医師であり、専門医資格取得している医師ですと「フリーランス」と区分けされます。初期研...

といった記事をお読みください。

産業医のQOMLは抜群

以前、「産業医になることのメリットとデメリット、産業医の立場からぶっちゃけます」という記事にも書いたことですが、産業医のQOMLは臨床医と比べて抜群に良いと思います。

勤務医が産業医に転職する「メリット」と「デメリット」とは
産業医をやっておりますと、勤務医の友人からは「残業もなく定時で帰れるんでしょ?」「当直やオンコールもないし、土日祝日も休める。最高じゃない」と、若干の皮肉まじりに言われることもあったりします。 たしかにそうしたメリットは享受できているという...

というのも、当直、オンコール、深夜呼び出しはありませんし、時間外の電話も本当に数えるほどだからです。残業をしたことも本当に数えるほどで、社員さんとの面談が少々長引いたから、程度です。

ですので、基本的には「時間外勤務はない、土日祝日はフリー」とお考えいただければと思います。就業時間内だけ真面目に働けば文句はない、ということになります。

私は臨床医時代、当直やオンコール、深夜の問い合わせや深夜呼び出し、時間外に始まるカンファレンスが非常にストレスで、それがイヤで「勤務医から一刻も早く逃げ出したい」と思っていました。

ですので、同じ理由でドロッポ生活に至った、という方でしたら、産業医はとても働きやすいと思います。QOML重視でドロッポ医になったということでしたら、産業医はオススメです。

産業医は週3~4日勤務求人がザラにある

産業医の求人は、週3~4日勤務求人が多々あります。実際、私が勤務した3社の産業医求人は、週4日勤務、週4日勤務、そして現在は週3日勤務となっています。

私ももう週3日産業医+週1日外来バイトの生活に慣れきっているため、もう週5日勤務に戻るは大分しんどいと思います(笑)

この点、「たとえ残業や当直がなくても、週5日勤務は無理だよ…」という方にとっても働きやすい条件ではないでしょうか。また、「バイトでも稼ぎたい」という場合も、平日や土日のいずれかでバイトを入れれば、十分に稼げると思います。基本的には「バイト兼業OK」という企業が多いので、この点は問題ないと思います。

産業医は基本的に臨床医としての経験・資格不問

上記の通り、私も後期研修を途中でドロップアウトしているため、専門医資格がありません。そのため、もし臨床医を続けていたら、採用面接で「なんで専門医資格とってないの?問題ある人なの?」と思われていたかもしれません。あるいは、入職後も専門医を取得している同僚などから軽く見られる可能性もあります。

その点、産業医であれば基本的には入職時に認定産業医の資格があれば、臨床の専門医資格は不問であり、むしろ臨床以外の「常勤産業医としての経歴」が重視されます。

そのため、私を含めて臨床で挫折している人にとっては「リスタート」する上でとても都合が良いのではないでしょうか。

中には「臨床医時代の経歴も重視する」という企業もありますが、そうした企業ばかりではないので問題ないと思います。

産業医はまだまだ稀少

産業医はまだまだ稀少であり、特に「常勤産業医の経験がある」ということは他のドクターと差別化を図る上ではとても役立つと思います。

実際、クリニックの常勤医募集で「外来業務と一緒に、産業医の業務もお願いしたい」というような求人もあります。また、健診医+産業医という求人もあったりしますので、今後また転職する際には、応募できる求人の幅が格段に増えると思います。

もちろん、企業の産業医求人でも、未経験か経験者かでは大きな違いがあります。その点、産業医の経験を一度でもしておりますと、「他の応募者と差をつける」ことができる点でもとてもメリットがあると思います。

加えて、労働衛生コンサルタント資格を取得しますと、「それなりに産業医をちゃんとやってるんだな」と思ってもらえるので、産業医転職では有利です。

今までの人生経験が役に立つ

私が産業医として社員さんと面談をする際に、「私も上司と関係が悪くなって退職したんですよ」「私、転職を3回もしちゃいましてね」「人間関係に悩む辛さ、分かります」などと言って、自己開示をして社員さんの話を引き出すことがあります。

産業医の仕事では、こうした仕事や人間関係に悩む社員さんの相談に乗ったりすることはとても多いです。挫折や仕事上の失敗、人間関係での悩み等、人生経験が多い人ほど、社員さんの悩みを理解・共感しやすいのではないかと思っています。

もし私と同様に、やむなく臨床医を辞めて、臨床を続けることができずにドロッポ生活…となった方には、その人生経験をぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。

以上です。
もちろん、産業医は「今日から俺は産業医になる」と言ってなれるものではなく、(一般的には)認定産業医の資格を取得してから、企業の採用面接を受けてようやくなれるものです。

この点の苦労については、

勤務医が産業医に転職する「メリット」と「デメリット」とは
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私が臨床医から産業医になるまでに失敗していた理由と成功に至るまでの経緯
私は内科系のとある科で、後期研修医として勤務していました。ですが、体調不良と上司との関係悪化を理由に、後期研修を途中でドロップアウトしています。詳しい経緯につきましては、 をお読み下さい。また、この経験を元に、「臨床医をやめる」選択をとる上...

にまとめておりますので、ぜひお読みいただければと思います。ですが、「ドロッポ生活をもうやめたいなぁ…」と思われる方にとっては、産業医になることはとても良い足がかりになると思います。

ぜひ、

産業医になる(常勤産業医として働く)ために必要な流れと押さえておきたいポイント
臨床医から「そうだ、産業医になろう」と思っても、すぐになれるものではありません。そこにはいくつかのステップがあり、ある程度の「壁」を超えていかねばなりません。 この記事では、産業医未経験の方を対象に、「常勤産業医として働く」ために必要な流れ...

をご参考にしていただいて、産業医になることを目指してみてはいかがでしょうか。

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