こちらのサイトに、「ドロッポ 産業医」という検索ワードで来られる方がいらっしゃいます。この検索キーワードから推察するに、「ドロッポ医になるか、産業医になるか…」ということで迷っておられるドクターがおられるのかな、と思われます。
この二択だったら、間違いなく「産業医」になることをオススメしたいです。私自身もいわば後期研修をドロップアウトし、しばらくのドロッポ経験を経て産業医になっているため、「ドロッポ医気質」はとても多く持ち合わせている人間です。
その私が産業医を10年近く続けられているという点からも、オススメはできるのではないか、「ドロッポ医と産業医、親和性があるのではないか」と思っている次第です。
そこで今回は、「ドロッポ医(泥医)か、産業医か…」とか迷っている方なら、産業医になるべき5つの理由について書いてみたいと思います。
なお、「ドロッポ(ドロッポ医、泥医)って何よ?」ということでしたら、
といった記事をお読みください。
産業医のQOMLは抜群
以前、「産業医になることのメリットとデメリット、産業医の立場からぶっちゃけます」という記事にも書いたことですが、産業医のQOMLは臨床医と比べて抜群に良いと思います。
というのも、当直、オンコール、深夜呼び出しはありませんし、時間外の電話も本当に数えるほどだからです。残業をしたことも本当に数えるほどで、社員さんとの面談が少々長引いたから、程度です。
ですので、基本的には「時間外勤務はない、土日祝日はフリー」とお考えいただければと思います。就業時間内だけ真面目に働けば文句はない、ということになります。
私は臨床医時代、当直やオンコール、深夜の問い合わせや深夜呼び出し、時間外に始まるカンファレンスが非常にストレスで、それがイヤで「勤務医から一刻も早く逃げ出したい」と思っていました。
ですので、同じ理由でドロッポ生活に至った、という方でしたら、産業医はとても働きやすいと思います。QOML重視でドロッポ医になったということでしたら、産業医はオススメです。
産業医は週3~4日勤務求人がザラにある
産業医の求人は、週3~4日勤務求人が多々あります。実際、私が勤務した3社の産業医求人は、週4日勤務、週4日勤務、そして現在は週3日勤務となっています。
この点、「たとえ残業や当直がなくても、週5日勤務は無理だよ…」という方にとっても働きやすい条件ではないでしょうか。また、「バイトでも稼ぎたい」という場合も、平日や土日のいずれかでバイトを入れれば、十分に稼げると思います。基本的には「バイト兼業OK」という企業が多いので、この点は問題ないと思います。
産業医は基本的に臨床医としての経験・資格不問
上記の通り、私も後期研修を途中でドロップアウトしているため、専門医資格がありません。そのため、もし臨床医を続けていたら、採用面接で「なんで専門医資格とってないの?問題ある人なの?」と思われていたかもしれません。あるいは、入職後も専門医を取得している同僚などから軽く見られる可能性もあります。
その点、産業医であれば基本的には入職時に認定産業医の資格があれば、臨床の専門医資格は不問であり、むしろ臨床以外の「常勤産業医としての経歴」が重視されます。
そのため、私を含めて臨床で挫折している人にとっては「リスタート」する上でとても都合が良いのではないでしょうか。
産業医はまだまだ稀少
産業医はまだまだ稀少であり、特に「常勤産業医の経験がある」ということは他のドクターと差別化を図る上ではとても役立つと思います。
実際、クリニックの常勤医募集で「外来業務と一緒に、産業医の業務もお願いしたい」というような求人もあります。また、健診医+産業医という求人もあったりしますので、今後また転職する際には、応募できる求人の幅が格段に増えると思います。
もちろん、企業の産業医求人でも、未経験か経験者かでは大きな違いがあります。その点、産業医の経験を一度でもしておりますと、「他の応募者と差をつける」ことができる点でもとてもメリットがあると思います。
今までの人生経験が役に立つ
私が産業医として社員さんと面談をする際に、「私も上司と関係が悪くなって退職したんですよ」「私、転職を3回もしちゃいましてね」「人間関係に悩む辛さ、分かります」などと言って、自己開示をして社員さんの話を引き出すことがあります。
産業医の仕事では、こうした仕事や人間関係に悩む社員さんの相談に乗ったりすることはとても多いです。挫折や仕事上の失敗、人間関係での悩み等、人生経験が多い人ほど、社員さんの悩みを理解・共感しやすいのではないかと思っています。
もし私と同様に、やむなく臨床医を辞めて、臨床を続けることができずにドロッポ生活…となった方には、その人生経験をぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。
以上です。
もちろん、産業医は「今日から俺は産業医になる」と言ってなれるものではなく、(一般的には)認定産業医の資格を取得してから、企業の採用面接を受けてようやくなれるものです。
この点の苦労については、
にまとめておりますので、ぜひお読みいただければと思います。ですが、「ドロッポ生活をもうやめたいなぁ…」と思われる方にとっては、産業医になることはとても良い足がかりになると思います。
ぜひ、
をご参考にしていただいて、産業医になることを目指してみてはいかがでしょうか。