産業医の採用面接で聞かれやすい質問と回答のポイントまとめ

産業医の採用面接は、臨床医の採用面接と比べて厳しいものとなることは覚悟しておいた方がよろしいと思います。その理由としては、

・臨床医の場合は一回で面接終了になることが多いのに比べて、産業医の場合は2~3次面接がある。

・面接を担当するのは、数多くの応募者を面接してきた社員であり、付け焼き刃な回答も見抜かれやすい。定型的な質問についてはしっかり準備をして臨む必要がある。

・臨床医の採用面接よりも、社会人としてのマナー、発言内容などにも厳しい目を向けられやすい。

・基本的に人事部門の担当者が面接を担当するため、産業医の業務についての知識や経験、具体的な業務遂行能力などに関する質問が飛んでくる可能性がある。

といったことです。そのため、聞かれやすい質問については、しっかりと対策を整えて面接に臨みましょう。

なぜ産業医になろうと思ったのですか?

「なぜ臨床医ではなく、産業医なのですか?」という質問は、やはり頻出の質問です。


にも書きましたが、抽象的なものよりはエピソードを語るように、

・外来診療を日頃していて、生活習慣が元で、本来は予防できて、ならなくていい病気に苦しめられる患者さんを多く見てきて、そこを変えたいと思ったから。

・外来で仕事や人間関係に悩む社員さんが受診することがあり、主治医としてではなく、産業医として働きやすい環境を整えることに興味をもったから。

などといったものを挙げると理解してもらえやすいと思います。

なぜ弊社を希望されましたか?

志望動機の部分については、一般社員の採用面接ほど企業分析などは求められてはおらず、「ウチの会社、ご存知でしたか?」程度に聞かれることもあります。

ただ、「知りませんでした」などと答えていいわけでもないので、ホームページなどを十分に調べた上で、自分とその企業の接点について話せるようにしておいた方がいいと思います。

「御社の商品の大ファンで…」「実は、御社とこのような関わりがありまして、個人的に親しみを感じています」などの説明もよろしいのではないでしょうか。

産業医として、あなたは企業・社員にどう関わっていますか?

産業医の経験がある程度ある人ならば、「企業・社員にどう関わっていますか?」といった質問ですし、未経験ならば「今後、企業・社員にどう関わっていきたいと思いますか?」という質問になると思います。

この質問の意図としては、「企業・社員に、どの立ち位置で産業医として関わっていきますか?」ということを聞きたいと思っているのだと思います。この質問は、実は産業医の中でも割れます。「9:1で企業につく」という人もいれば、「5:5で中立の立場で関わります」という人もいます。

私としては、


にも書きましたが、「御社、そして社員さん双方に中立的な立場でありたいと思います。社員さんに寄り添いつつ、かつ御社の意向にもしっかりと耳を傾けた上で、医療者であくまでも中立的な立場から対応して参りたいと思っております」という回答が採用面接では答えやすいのではないかと思っております。

また、「あなたの産業医としての理想像はどのようなものですか?」と質問されることもありますが、この場合も上記のようなスタンスについて述べることで回答することができるのではないでしょうか。

臨床への未練はありませんか?

「臨床への未練はありませんか?」という質問は、特に産業医未経験もしくは経験が浅い方にされやすいですが、「産業医がイヤで、すぐに臨床に戻りたいとか言い出さないか?」といったところを聞きたいという意図があると思います。

この質問に対しては、「現在は産業医という新たな分野で経験を積むことのみを考えておりますので、臨床医に戻るということは考えておりません」という、産業医になることに前向きな姿勢であることを示すのがよろしいのではないかと思っております。

また、企業によってはダイレクトに「ご入職いただけた場合、長らく勤務していただくことは可能ですか?」と聞いてくるところもあります。

「○○は対応できますか?」系質問

より業務に踏み込んだ質問で、「○○は対応できますか?」と聞かれることがあります。「弊社はメンタルヘルス不調者が多くおります。ご対応は可能ですか?」といった質問がなされた時、どう回答しますか?

産業医として経験がある程度あれば、「前職でもメンタル不調の社員さんの相談や復職、ストレスチェックに関わる高ストレス者面談に携わってきました。そのため、十分対応できると思われます」といった説明ができると思います。

また、産業医未経験であっても、精神科の臨床医であった場合は対応もできると言いやすいと思います。問題は非精神科医の場合ですが、「内科の外来においても、メンタル不調を抱える患者さんに寄り添い、相談に乗ることもございました。今後、産業医としての経験を積む中で、十分に対応できるものと思っております」など、今までの経験の中で接点があることを示すことで回答とすることもできると思います。

入職後、産業医としてどのような仕事をしたいと思いますか?

「入職後、産業医としてどのような仕事をしたいのですか?」という質問、実は結構意地悪な質問だと思っています。というのも、面接という短時間でその企業のニーズをつかみ、「それをこう対応できますよ」と示すなんて芸当はなかなかできるものじゃないと思っているからです。

また、丸っきりニーズとはかけ離れた仕事をしたいと言ったところで、「別にそんなこと望んでないけどな」と思われてしまうのがオチですし、下手をすると「勝手な仕事しそうだな」と独善的で独りよがりなイメージを抱かれてしまう可能性もあります。

ですので、「今後、御社にどんなご希望があるのかをしっかりとお話を聞いた上で、社員の皆様方のため、問題解決を図って参りたいと思っております」といった回答もいいのではないかと思っております。

この回答であれば、「協調性」や「定型的な仕事だけではなく、問題解決のために動く産業医」というメッセージを伝えることができると思います。

以上です。
まずはこのような聞かれやすい質問から回答を準備してみてはいかがでしょうか。その後、できることならばリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントに、個別の企業ごとの対策について相談しておくことをオススメしたいと思います。

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