産業医になることのメリットとデメリット、産業医の立場からぶっちゃけます

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私が産業医として働きだして、10年近くになってきています。そもそも臨床医から産業医になろうと思ったのは、

私が臨床医から産業医になるまでに失敗していた理由と成功に至るまでの経緯
私は内科系のとある科で、後期研修医として勤務していました。ですが、体調不良と上司との関係悪化を理由に、後期研修を途中でドロップアウトしています。詳しい経緯につきましては、 をお読み下さい。また、この経験を元に、「臨床医...

に詳しく書いていますが、体調不良と医長との関係悪化で退職したことがきっかけであり、正直なところ「臨床医をもう続けたくない…」という思いからでした。

それからもうすぐ10年になろうとしていることに我ながら驚いてます。そんな私が振り返ってみて、「産業医になることのメリットとデメリット、どんなことがあるの?」ということについて書いてみたいと思います。

「けしからん」と怒られてしまいそうですが、産業医としてぶっちゃけた内容です。

メリット1 QOMLはこの上なく良いです

産業医になりますと、当然のことながら当直、オンコール、深夜呼び出しはありませんし、時間外の電話も本当に数えるほどです(それも昼~夕方のみです)。

臨床医から産業医になった一番の恩恵は「時間外の電話・呼び出し」がなくなったことかもしれない【医師転職】
私が常勤産業医として勤務している企業では、「時間外の電話が頻繁に鳴り、呼び出しも時にある」という社員が一定数います。その方たちに聞くと、「電話が鳴ってないか、家族と過ごしていても気になって頻繁に見てしまう」「電話が鳴るのではと気が気じゃなく...

でも詳しく書きましたが、常勤産業医になって一年目、一番の恩恵は「時間外の電話や呼び出しがない」と感じており、気兼ねなく晩酌もできれば、土日に出かけられることの喜びは格別なものでした。それまで臨床医時代に悩んだ不眠症もピタリとよくなり、体調も安定しています。

最近は、「つながらない権利」などとも言われていますが、時間外に問い合わせや呼び出しがないことはとてもQOMLが上がりました。
産業医になって痛感する「勤務時間外につながらない権利」の尊さ
ドイツ在住のフリーライター・雨宮紫苑さんの記事ですが、「欧米の「つながらない権利」が徹底していてすごかった」の内容で、ドイツのホームドクターに「血液検査結果を送って」と依頼したところ、「現在休暇中なので総合窓口にメールしてください。受信した...

残業をしたことも本当に数えるほどで、社員さんとの面談が長引いたり、あるいは「どうしてもこの時間に面談をしていただきたくて…」と急遽、時間外に予定を入れられたりすることぐらいです。

この点、「とにかく勤務時間内はしっかり働くけど、時間外勤務は絶対にしたくない!」「当直、オンコールが苦痛」「土日は呼び出されることなくしっかり休みたい」といった方にとってはとても大きな恩恵を得られる就労条件だと思います。

なお、年収に関してご不安な方もおられるかもしれませんが、常勤産業医+非常勤バイトで、臨床医並に遜色なく稼ぐことはできます。

専攻医/後期研修医を辞めて「30代で常勤産業医」になったら年収はいくら?
私が専攻医を辞めて産業医になったのは、30歳になって間もなくです。初めて常勤産業医になった会社は、1日8時間勤務、週4日勤務で年収1千万円でした。これは「臨床医時代と据え置きの年収にして欲しい」と希望した交渉の結果でした。 これに、週...

メリット2 仕事を一通り覚えることに時間はかからない

超大手企業と契約しているような、トップ産業医は別ですが、「基本的なことが一通りこなせる産業医」になるためには、半年とかからないと思います。

社員さんとの面談(健康相談、復職判定面談、高ストレス者面談、長時間勤務者面談など)や、安全衛生委員会への出席・講話、職場巡視、健康診断結果の判定業務など、臨床医をしておられた方にとってはそれほど苦もなく覚えられるのではないか、と思います。

昨今、メンタルヘルス疾患を抱えておられる社員さんは増加傾向にあり、もちろん、面談一つをとっても深堀りしていこうと思ったら底なしだとは思いますが、「企業が必要としているレベル」になるには、さほど難しくはないと思います。

私も内科医でしたので、メンタル疾患の社員さんとの面談に不安を感じていましたが、経験を重ねることによって対応できるようになっています。

ただ、「なんだ、産業医って楽(ラク)なのか」と思っては欲しくはなく、実際は産業医なりの苦労や大変さはあります。その点、

「産業医は楽(ラク)」と考える研修医の認識が間違っている3つの理由
大学で週1、外来担当という「奉公」をしている産業医が、「大学の医局で、こんなことがあって…」と怒っていましたので、よくよく話を聞いてみると、3人ほどの研修医が「産業医は楽」という話をしており、その言葉にカチンときたようです。 もちろ...

にも記載しておりますので、ご一読いただけますと幸いです。

メリット3 スケジュールに自由がきく

社員さんとの面談や、安全衛生委員会、子会社や関連会社訪問などのスケジュールはありますが、それ以外の時間はある程度、自由がききます。

そのため、「忙しくてランチもとれない」「トイレに自由に行けない…」といったことは避けられると思います。

少なくとも「忙しくて目が回りそうだ…」ということはほとんどありません(ごくたまに、長時間勤務者面談や高ストレス者面談がパンパンにスケジュールに入れられることもあったりしますが)。この点も、臨床医に比べてQOLMは高くなる要因だと思います。

デメリット1 臨床医時代よりも不安定な雇用形態

産業医の雇用形態は、1年ごとに契約更新が必要な「嘱託契約」であることがほとんどです。よって、常勤産業医と言っても安定しているかと言うと、そうではありません。

実際、私も一社目の時に2年勤務した後に「3年目は契約更新しません」と言い渡されております。なお、一社目の契約打ち切り話につきましては、

産業医になる上で覚悟しておいた方がいいリスクとは【産業医転職】
私は、臨床医から産業医になって、3社での常勤産業医となりました。その中で、一社目の産業医は知識や経験不足、そして人事労務担当者とのコミュニケーションがおろそかになっていたということもあり、3年目の契約更新ができませんでした。 この内容...

に詳しく書いておりますので、ご興味ありましたらお読みいただければと思います。

当時の反省点を挙げるとするならば、契約更新をしてもらうためには、しっかりと(生殺与奪を握る)人事部を中心とした社員さんたちとコミュニケーションをとり、存在感を示す仕事をしなければならないということだと思います。

なお、「契約更新」を乗り越えるためには、次の記事

産業医として勤務する企業で「契約更新」してもらえるために心がけるべき3つのポイント
私が臨床医から常勤産業医に転職した際、「1年ごとに契約更新はあるけど、当然問題なく更新されていくんだろうな」と思っていました。しかしながら現実はそうは甘くなく、2年目の年度末に「来年度は更新しません」と通達されました。 「え?どういう...

のように、

・「仕事をしているアピール」も大事(面談数の集計を行う、共有スケジュールにどのような仕事をしているかしっかり書き込む)

・「仕事を頼みやすい、相談しやすい」産業医になる。

・相談や問題をたらい回しにしない、「問題解決型」の産業医を目指す。

ということを心がけましょう。

ただ、一社目で契約打ち切りの憂き目にあったとしても、産業医を続けることを諦めるのは早いです。ぜひ

産業医として勤務した「一社目で上手くいかなかった」時にどう考えるべきか【医師転職】
私は後期研修医の時に、体調不良や医長との関係悪化が元で、勤務していた病院を退職しました。数ヶ月、バイトで食いつなぐ日々と転職活動期間を経て、常勤産業医に転職しました。 当時を振り返ってみますと、一社目ということで力が入ってしまっていた...

をお読みいただき、二社目への産業医としての転職をトライしていただければと思います。

デメリット2 仕事が「合わない」可能性

特に臨床医としての未練が強く残るようなタイプの方に多いと思いますが、産業医の仕事が「合わない」という方はたしかに一定数いらっしゃると思います。

産業医をやってみたものの、合わずに臨床に戻られたという方もやはりいらっしゃいます。

社員さんとの面談や、書類作成、健康診断の判定業務など、「退屈で合わない…臨床医の方がよかった」と思われる可能性はどうしてもあります。この点、やはりやってみなければ分からないというところですね。

デメリット3 「協調性・コミュニケーション」を重視される

私も、「協調性・コミュニケーション能力に乏しい人間」であると自覚しておりますが、企業はやはり「協調性を持って働けて、コミュニケーションがしっかりとれる」ことを重視しています。

一緒に働く保健師や産業医はもとより、人事労務担当者の社員ともしっかりコミュニケーションをとりつつ協調性をもって働くことが求められています。

たとえば、社員さんとの面談後、どのような点に留意すべきか関係各所にアドバイスをしたり、就業制限について現場や人事とすり合わせをしたりと、この辺のコミュニケーションをしっかりととれるかどうかというのは、産業医にとって重要な仕事となっております。

苦もなくできるという方にとってはデメリットではないでしょうが、人見知りな上にコミュ障な私は結構慣れるまで大変なことでした。

それも40代のオッサンになって、やや抵抗感は薄れてきました(笑)

あとは、

「産業医のQOLは?」「楽な仕事なの?」という質問に産業医として回答してみる
産業医で検索すると、関連キーワードに「QOL」や「楽(らく)」というワードが並びます。やはり、「産業医は当直もなければ、オンコールもない。土日出勤もなければ、残業もない」…と、ないないづくしで楽であるとお考えのようです。 たしかに、残...

にも書いておりますが、「社会人として、会社の一員として」の姿勢などは求められることや、「ちょっと医局で休憩」といったことがしづらいことなど、やや細かいこともありますので、産業医のリアルな部分をお知りいただければと思います。

以上です。
もし「産業医、向いてるかも」と思っていただけるようでしたら、ぜひ

産業医になる(常勤産業医として働く)ために必要な流れと押さえておきたいポイント
臨床医から「そうだ、産業医になろう」と思っても、すぐになれるものではありません。そこにはいくつかのステップがあり、ある程度の「壁」を超えていかねばなりません。 この記事では、産業医未経験の方を対象に、「常勤産業医として働く」ために必要...

をお読みの上、認定産業医の資格を取得後にリクルートドクターズキャリアや、エムスリーキャリアにご登録の上、転職エージェントに相談して求人を紹介していただいてはいかがでしょうか。

なお、ドロッポ医目線から書いた「産業医になるメリット」については、

「ドロッポ医(泥医)か、産業医か…」とか迷っているなら、産業医になるべき5つの理由
こちらのサイトに、「ドロッポ 産業医」という検索ワードで来られる方がいらっしゃいます。この検索キーワードから推察するに、「ドロッポ医になるか、産業医になるか…」ということで迷っておられるドクターがおられるのかな、と思われます。 この二...

に書いておりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。

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産業医の人材紹介会社選びで迷ったら

産業医の人材紹介会社を「どこにすればいいと思う?」と聞かれたら、私は迷わず「リクルートドクターズキャリア、エムスリーキャリアにしておけば間違いないと思うよ」と答えると思います。

リクルートドクターズキャリア

エムスリーキャリア

というのも、臨床医に比べてハードルの高い常勤産業医の内定を勝ち取れたのが、この2社にサポートしてもらった時だけだからです。他の人材紹介会社にも登録して採用面接を受けたのですが、ことごとく落とされました。

求人数も多く、なおかつ「大手だから」という安心感は求人を出している企業側にもあると思います。「あまりよく知らない」紹介会社を利用して転職活動を行うよりは、その点、大手の会社を利用する方がメリットがあるのではないでしょうか。現に、私が勤務していた企業も、やはり大手の人材紹介会社しか使わないという方針でした。

もちろん大手だからというだけでなく、転職エージェントのサポートも手厚く、問い合わせのレスポンスもこの2社はピカイチだからこそオススメです。

おそらく今後、また私が転職することがあるならば、間違いなくまたこの2社にサポートを依頼すると思います。もし産業医への転職を考えていて、人材紹介会社の利用を考えておられるなら、リクルートドクターズキャリアと、エムスリーキャリアにしておけば間違いないと思います。

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産業医になろう
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