「産業医って楽でしょ?」という不躾な質問を、同期に近い臨床医から投げかけられることもあります。
「臨床医はこんな大変な思いをしてるのに、産業医ときたら…」という意味合いがこももっている、半ば皮肉のような発言かと思われますので、そこは微妙に笑って受け流せばいいところかと思いますが、今回は「どんな点で楽って思うの?」と質問返しをしてみました。
そこで、「だってさ、9時5時で時間外勤務や電話もなければ、外来もない、当直もない、オンコールもないんだろ?」と、「ないないづくし」であることを指摘されました。たしかにその点は、産業医として甘受している部分ではあります。
「時間的拘束っていう面での話?」とさらに質問返しをしたところ、どうやらそのようで、「じゃあ、産業医の仕事って、どういうイメージ?」と次に質問をしたところ、「う~ん、よく分からない」という回答でした。
実際のところ、「産業医は時間的拘束が少ない」という漠然としたイメージであり、どんな業務内容なのかといったことで語られることはないんだなぁ、と改め思った次第です。私も臨床医時代は同様で、「産業医って何?」というレベルでした。
そこで、どのような業務なのかといった細かい説明をしたところで、そこまでの興味が相手方にはないだろうと判断をしたため、説明はしませんでしたが、結局のところ「産業医って楽なんだろ?」という臨床医の指摘は「よく仕事のことを分からずに言っている」とと思って、腹を立てないようにしようと思った次第です。
実際、「「産業医は楽(ラク)」と考える研修医の認識が間違っている3つの理由」にも書いていましたが、産業医の業務が「よく知られていない」といったところに、歪められた認識を持たれている元凶があるようにも思います。
ただ、上記のように時間的拘束という面では臨床医に比べて産業医の方が優遇されていると思われますので、そうした生活をお望みでしたら、産業医を目指してみてはよろしいのではないでしょうか。
ただ、「未経験」で産業医になるというのはなかなかハードルが高いものがあります。その点、私が臨床医→産業医になった際にお世話になった「リクルートドクターズキャリア[PR]」や、その後の転職で並行してお世話になった「エムスリーキャリア」といった人材紹介会社の転職エージェントにご相談いただくことをオススメしたいと思います。