「8月の衛生委員会」で何を話すべきか?(配布資料リンクあり)【2020年更新 産業医・衛生管理者向け】

熱中症に関する統計データ

熱中症で「救急搬送された人が、どこで熱中症になったのか、その屋内・屋外の割合」や、「気温と救急搬送された人の人数の関係」「時間帯別の救急搬送状況」など、どこかにデータはないものかと探していたところ、「東京消防庁」のホームページにありました。

令和元年の熱中症による救急搬送状況の概要」に掲載されていますが、こちらのグラフを使用させていただくだけでも講話ネタにできそうです。

また、東京都医師会では、こちらのデータをともに掲載しながら、熱中症予防・対策のポイントが書かれています(梅雨入り前から熱中症予防対策を!!)。

この2ページを切り貼りするだけでも充実した資料作りができると思います。ご参考にされてはいかがでしょうか。

熱中症対策・予防について

令和元年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱」に記載されていますが、各事業所でどのような対策をしたらいいのか、今一度確認しましょう。

なお、こちらの実施要綱では「WBGT値」を指標として把握すべきと述べられていますので、この際、「WBGT値」の解説についても触れてみてはいかがでしょうか。

暑さ指数(WBGT)とは?

WBGTの実況と予測

また、上記の実施要綱だとプレゼンの時には少々難しいということでしたら、リーフレットも用意されています(視覚的に理解しやすいです)。

STOP!熱中症 クールワークキャンペーン リーフレット

また、「熱中症が発生する原理と有効な対策」も非常によくまとまった資料です。作業環境管理、作業管理、健康管理ごとにしっかりとまとめられているので、とてもポイントを押さえやすいです(労働衛生コンサルタント試験対策にも有効です)。

→(健康管理)持病による熱中症リスクの増加
・糖尿病:血糖値が高い血液を薄めるために水分が必要となり、それを排出するために脱水になりやすい。
・高血圧症:降圧利尿剤を服用していることが多い。塩分制限を受けているため、定期的な塩分摂取が難しい。
・心疾患:降圧利尿剤を服用していることが多い。
・慢性腎不全:水分塩分のコントロール不全により電解質代謝が阻害され、水分塩分不足になりやすい。
・皮膚疾患:汗をかきにくい、自律神経機能に影響がある薬剤の使用、発汗機能や体温調節機能が阻害される可能性。

→(健康管理)体調不良や不摂生のリスク
・風邪、発熱
・下痢、嘔吐
・飲酒、二日酔い
・朝食の未摂取
・睡眠不足

熱中症での救急時の対応

日本救急医学会・熱中症に関する委員会が「熱中症予防に関する緊急提言」としてまとめています。

重症度の分類や、応急措置について視覚的に捉えやすく書かれており、(安全)衛生委員会でのプレゼンにも使いやすい資料であると思われます。

熱中症対策としての水分・塩分摂取について

厚生労働省:職場における熱中症の予防について
「身体作業強度等に応じて必要な摂取量等は異なるが、WBGT基準値を超える場合は、少なくとも、0.1~0.2%の食塩水、ナトリウム40~80mg/100 mlのスポーツドリンク又は経口補水液等を、20~30分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することが望ましい」

全国清涼飲料連合会:「熱中症対策」表示ガイドライン
「ナトリウム濃度として、少なくとも、飲料100ml あたり40~80mg含有する清涼飲料水のみ『熱中症対策』として表示できる」

アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違い

アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の違いは何ですか?
「運動前は、エネルギーを作り出すための糖質や、汗などにより失われてしまうミネラルの補給が事前に必要なため、体液とほぼ同じ浸透圧で糖質やミネラル分を手軽に吸収できるアイソトニック飲料の飲用がおすすめです(糖質の含有量 6~8%)。

運動中や運動後は、汗などにより大量の水分が失われてしまうため、浸透圧が低く、水分を素早く補給できるハイポトニック飲料の飲用がおすすめです(糖質の含有量 2~3%)」

熱中症の予防・治療には 何を飲めばよいか
「通常の水分・電解質補給であれば市販のスポーツドリンクで十分であるが、生来健康な成人でも下痢や嘔吐、発熱、発汗、経口摂取不足でいわゆる夏バテを感じた際に飲むことで熱中症の予防になる。厳密には予防という観点からはスポーツドリンクでの頻回な飲水でも問題ないが、スポーツドリンクは塩分量が少なく、糖分が多いことを認識しておく必要がある」
「水分のみの補給では自由水は補給されるものの Na が希釈され痙攣の閾値を下げ、また補給された水分は血清浸透圧の低下による水利尿によって体外に排泄されてしまう」

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