産業医として、若手社員の面談をしておりますと、中には「退職しようと考えています」と打ち明ける方もおられます。
私自身、後期研修医の時に退職したことがきっかけである産業医としてのキャリアですので、「うん、自分の思う通りにやって、悔いのないようにしてね」と内心思っているわけですが、その社員の先輩や上司の中には「あんなすぐ辞めて、どうせ次も上手くいくはずがない」というようなことを言う人もいます。
愛想笑いをしながら聞き流していますが、「そんなの分からないじゃないか」と心の中では思っていたりもします。
呪縛言葉に騙される
転職に対して、否定的な意見をお持ちの方は一定数いて、困ったことに上司や先輩の中にもそういった人はいます。
そして、あまり勧められたことではありませんが、上司や先輩に相談をしたり、あるいは退職の報告をすると、「ここですぐ辞めるようじゃ、他でも上手くいくはずがない」なんてことを言われることがあります。
実際、私自身も後期研修医時代に医長に退職の報告をしたところ、「今、ここを辞めたらろくでもない医者になるだけだ。その内定だって、ここのネームバリューがあるからだ」なんてことを言われて、一度、その退職を翻したことがあります。

周囲の言葉に対するスタンス
高名な占い師だろうが当たるも八卦、当たらぬも八卦。「千里眼」を持つと言われるトレーダーだろうが、負けることもあるのが相場。当たり続ける占い師も、勝ち続ける相場師も存在しません。
結局のところ、その転職が上手くいくかどうかは、やってみなきゃわかりません。そして、その人のキャリアの正解は一つでありませんし、途中で思い切り方向転換をする可能性だってあります。
だからこそ、あまり周りの意見に流されてしまう必要はないと思います。特に若手ですと、上司や先輩の言葉を真に受けてしまいます。産業医という仕事に興味を持ったらやってみたらいいし、逆に臨床の道で興味のある方向に向かってみてもいいと思います。
やってみて、面白かったら続けてみればいいでしょう。「思ってたのと違った…」と落胆したのなら、また新たな道を探してみればいいでしょう。転職をするという若手社員のことを思い出して、ふとそんなことを思いました。
ただ、現在の求人や転職市場がどのような状況なのか、そしてその職場の人間関係はどうか、ドクターの入れ替わりは激しくないかといったことは、なかなか求人票だけでは分からないものです。そのような時には、ぜひリクルートドクターズキャリア[PR]などに求人紹介を受けつつ、キャリエージェントにざっくばらんに相談してみることをおすすめします。
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