私は新専門医制度が開始する前に、後期研修医だったわけですが、5年目を迎える前にドロップアウトしてしまいました。内科認定医の資格を取得し、「専門医の資格をとって開業に向けて準備しよう」と思っていたわけですが、「あ、もう勤務医は…というか、臨床医は向いていない」と思って辞めてしまいました。
その当時は、無計画も良いところですが「限界だ」となってしまい、そのまま何も考えずに退職してしまった形です。「臨床医は無理」と思っていたので、安直にも「じゃあ、産業医でもやってみるか」ぐらいは考えていましたが、結局のところ産業医自体も「よく分からないけど、とりあえず会社で働くんだろ」ぐらいの認識だったと思います。
辞めた後の計画を立てておく
私自身もやってしまって後悔をしていることですが、本当に無計画で辞めてしまったので、産業医としての転職もできてはおらず、「とりあえず辞めてから考えればいいや」というのが大きな失敗の始まりだったと思います。
やはり、将来のことなど大きな決断については、ついつい「先送り」してしまいます。しっかりと計画的に動かず、どんどんと先送りした結果、産業医への転職が大幅に遅れてしまい、結果、ダラダラと過ごし、スポットバイトをたまにやっては日銭を稼いで食いつなぐなんて生活をしていました。
専攻医を辞める、という決定をするのも良いとは思いますが、転職活動を在職中にやっておき、「次の転職先を決めておく」といったことはしておいたり、少なくとも転職活動の道筋は立てておくべきかと思います。
「デメリット」を考えておく
「専攻医からドロップアウトする」ということで言えば、「専門医」資格の取得ができないということになります。私の場合、臨床医ではなくなって産業医になりましたので、「まぁ、関係ないよな」とはなったわけですが、臨床医として働き続けるということになれば、それ相応のデメリットはあると思います。
結局のところ、専攻医であることを辞めて、「次に何をやるか」によってそのデメリットは大きくも小さくもなるのかな、と思っています。
たとえば、私の場合、「一般内科の常勤医で働く」といった場合、それぞれの専門科のドクターたちからどう見られるか、肩身の狭い思いをしないか、といったことも気になると思います(特に、自分より若手のドクターからどう思われるか、といったことで。恐らく、器が小さいので、私が気になるだけかもしれませんが)。
一方で、産業医として働く、「AGA診療や医療脱毛の問診バイトなど、自由診療の分野で働く」といったことであれば、それはデメリットを感じにくいと思います(とは言っても、やはり同期たちの活躍を聞いたりすると、モヤッとすることはありますが)。
少なくとも、「専攻医をやめて何をするのか」を決めた上で、どんなデメリットがあるのか、といったことは考えておいた方が良いと思うわけです。それを受け入れられるかどうか、という心の準備はしておくべきかと思います。
「自分の特性」を知っておくことも重要
私の場合、勤務医として働くことに本当に向いていないのだと思います。院内の人間関係で上手く立ち回ることができなかったり、時間外の電話や呼び出し、救急対応や定時関係なく延々と続くカンファレンス…など、本当に毎日、毎日、辟易としていました。
その結果、ドロップアウトしたということになりますが、そうなりますと「できないこと・向いてないこと」ばかりに目が向いてしまいがちです。ですが、仕事を選ぶ上では、「自分に向いていること・やっていて楽しいこと・得意とすること」を知っておくことも重要です。
「自分の特性」を踏まえた上で、次にやろうと思っている仕事が自分にとって向いているのかどうか考えてみましょう。そこで、最初から「無理だろうな…」と思ってしまうのはやめた方がいいと思います。
私の場合、途中で「産業医って、求人がそもそも少ないし、経験者しか採用されないんじゃないか…」と諦めてしまいそうになりましたが、リクルートドクターズキャリア[PR]のキャリアエージェントに相談したところ、未経験で応募可能な求人を紹介してもらえました。そんなこともありますので、まずは「こういう求人ありますか?」と相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

