臨床医を諦めて産業医に転職…するだけで上手くはいかなかった私

私は後期研修医の時に、自他ともに認める形で「臨床医が向かない」となり、産業医へと転職することになりました。そこからすでに15年近く経過しており、とうに臨床医の経験年数を超えていますので、「あの時、産業医になってよかったんだろうな」と結果的には思っています。

しかしながら、「産業医に転職するだけ」で万々歳、そこから悩むことなくオールOKだったかと言えば、全くもってそのようなことはありません。そこから私は2回転職することになります。

そもそも私は、環境はできるだけ変化して欲しくないというタイプです。転職もできればしたくありません。と、なりますとその2回の転職は、やむにやまれず行ったということになります。

一社目での失敗

産業医として入職した一社目では、ベテラン保健師はいたものの、産業医は私一人でした。と、なりますと「手探り」で仕事を覚えていくことになります。

保健師に相談をすることはできますが、やはりそこは保健師と産業医という違いもあり、あまり保健師もズケズケとモノを言うことはできなかったようですし、コミュニケーションをしっかりとれず、そこまでの関係性を築くことができなかった私の問題でもあります。

結果、空回り続けて2年目の末に「次の契約更新はしません」と人事部長から告げられました。この経験は本当に苦々しいもので、産業医を続けていくべきかどうか、本当に悩みました。

二社目での学び

二社目は、超大企業に勤務したということもあり、産業医4人、保健師4人体制でした(関西に産業医、保健師1人ずつ)。ここでは厳しい意見を直接言われることもあり、「産業医の仕事は生易しいものではないな」と痛感したところでもあります。

ですが、逆にその時のことが学びとなり、次の転職に活きたということもあります。特に、「あ、私は産業医や保健師が複数名在籍するような超大企業よりは、産業医一人体制のところがいいや」と気付いたことで、三社目の求人を選んだ、というところもあります。

改めて振り返ってみると、一社目、二社目と転んでは立ち上がっての繰り返しで、ようやく三社目に落ち着いているというところがあります(三社目が非常に寛容な企業というところもありますが)。

ですので、産業医になったとしても、「万事、最初から上手くいく」というわけでもありません。一方で、「七転八倒、トライアンドエラーを繰り返しながらやっていく」ということで、私のようになんとか産業医を続けることができる、ということもあったりします。

もし現在、これから産業医になろうということでしたら、「一社目から上手くいくってこともないみたいだし、徐々に慣れていこう」と思っていただければいいでしょうし、一社目で失敗したという方も、「次はこの失敗を活かして転職しよう」と思っていただければと思います。

私の場合、転職が必要になった場合、リクルートドクターズキャリア[PR]のキャリエージェントに電話して事情を説明し、すぐに求人紹介を受けていました。そのぐらいの「次があるさ」的なスタンスで臨むということも必要なことなのでは、とも私としては思ったりもします。

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