若手医師の転職にとって実は「最大の敵」となると思うものとは

産業医という立場で仕事をしておりますと、若手社員の悩みについて話を聞く機会は結構あります。「上司や先輩との関係が上手く行かない」「仕事を徐々に任せられるようになったのはいいのですが、次第にいっぱいいっぱいになってしまって」といった悩みは多いですが、それ以外にも「キャリアの悩み」というのもよく聞きます。

「自分はどうやらこの仕事に合っていない気がする」「同期はどんどん仕事を覚えていくのに、自分だけ取り残されてしまっている気がする」など、別の道を歩むべきなのかということを悩み出すわけです。

もしあなたが産業医だとして、こうした若手社員にどのような声をかけますか?

仕事には「悩み」はつきもの

「仕事が楽しくて楽しくて、まるっきり悩みなんかない」という例外も存在しますが、そのような人を除けばほとんどの人が仕事に少なからず「悩み」を抱えているわけです。

そうした悩みや壁にぶち当たると「仕事、合ってないのかな」と思うこともあるわけですが、そのたびに転職や異動願いを出していてはきりがないわけです。特に若手社員であるほどそうした悩みや壁の存在を感じやすいのではないでしょうか。

こうした経験が過去にあれば、悩みや壁の「乗り越え方」をある程度知っているわけですが、若手社員ですとそのような経験があまりなく、困ってしまうわけですね。

どうするか悩んだら「とりあえず続けてみる」

キャリアの方針転換を図るか、あるいはそのまま続けてみるべきなのかを考えているのであれば、「続けてみる」ということは大事なことであると思います。

「今の若者は堪え性がない」などと上から目線で言うつもりはさらさらないですし、そもそも私自身があっさりと後期研修医をドロップアウトしてしまったので言える立場にはありません。ですが、「続けてみる」ということは大事なことだと思います。

若手であると悩みやすく、そして挫折しやすいです。そうなりますと、「なんとかこの状況を打開しなくては」と焦ってしまうわけです。この「焦り」こそが最大の敵であるように思います。

「焦らず、迷ったらもう少し続けてみよう」と思うことこそが、若手の頃に大事なことであると思います。

実際、私自身も「もう少し臨床医を続けてみてもよかったんじゃないか」と思うこともあります。結果的には向いていないと分かるとは思いますが、そこでの経験は決して無駄にならず、新たなキャリアで活きていくものと思います。

新たなキャリアを踏み出すタイミング

もし新たなキャリアにチャレンジしようということでも、たとえそのタイミングが1~2年遅くなったとしても、長い人生の中では対して大きな違いにはならないのではないでしょうか。

続けたことによって、壁を乗り越えて今までの仕事を「やっぱりこちらが正解だ」と思えるかもしれません。「動かないこと」が機会損失と考え、「同期にどんどんと置いていかれてしまう」と焦りを感じるかもしれませんが、むしろ「焦ってジタバタしない」ことで、結果的に良い結果になることもあります。

だからこそ、「焦った時、迷った時は今のまま続けてみる」という選択肢も大事だと思うわけです。

ただ、本当に合わない、向いていないという仕事はあります。悲しいかな、「適性」は個々人でどうしてもあるものなので、それは否定できません。その時は新たな第一歩を踏み出すべきですが、「もう迷いはない」というタイミングでぜひ踏み出して欲しいと思います。

ただ、なかなかそこまで納得づくでは難しいものです。そのような時、実際に「求人」を見て判断するということも大事なことです。私も産業医の求人を見ることで「これならやってみよう」と思える状態になったという部分もあります。

もし「最後の背中の一押しが欲しい」ということであれば、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、医師転職ドットコム[PR]などのキャリアエージェントに相談してみて、そこから考えてみるというのもよろしいのではないかと思います。

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