転職や進路変更を考える若手医師の「不安をあおりまくる」厄介な人たちの存在に思うこと

若手医師が転職や進路変更を考えていると言うと、「その年齢で職場や仕事の文句を言うもんじゃない」「若い時の苦労は買ってでもしろ」「石の上にも三年。今の内に苦労しておかないと、将来使い物にならないぞ」と、言い方はソフトでも同じような内容のことを言ってくる人たちがいます。

私自身、転職しようとして医長に相談したところ、「辞めたら将来、使い物にならなくなるのは目に見えている」「他の病院に内定が決まったのも、この病院にいるという実績があるからだ」などと言われ、結局は内定を辞退してしまいました。

転職を考える若手医師もそのようなことは分かっているはずなのですが、改めて言われると「やっぱりそうなのかな…転職すべきではないのかな」と不安をあおられる形になってしまいます。

もちろん、アドバイスをする側も悪気があるのではなく、心配して言っているというのは分かるのですが、言われる方はやはり動揺してしまうわけです。特に、転職経験もない状態ですと、そうした悩みや不安というのは募りやすいと思います。

上司や先輩とは異なる自分

私自身、後期研修医のときにドロップアウトして産業医になったわけで、一般的な医師とは異なった進路を歩んできていると思います。

その立場からすると、周りの医師、特に上司や先輩たちと自分は異なるわけで、その上司や先輩たちと同じ道を歩んで正解であるとは限らないのではないでしょうか。医師の場合、やはりそうした上司や先輩たちのキャリアを真似てキャリアモデルとするケースは多いと思いますが、果たしてそれが正解なのでしょうか。

我慢に我慢を重ねて同じ職場で働き続けるよりも、むしろ早めに他のやりたいことを探すという選択もあっていいのではないか、と私としては思うわけです。

実際、私の場合は臨床医をやめて産業医が現在は本業になっているわけです。その点、自分自身が納得、満足していれば「それが正解」になるように思います。

占いのごとき「将来」

特に不安をあおる意見の一つとして、「将来、専門性がない医師は食いっぱぐれる」「専門医資格のない医師は低賃金で働かされる運命にある」「◯◯科はAIにとって代わられる」なんてことをまことしやかに言ってくる人もいます。

ですが、将来のことはそれこそ誰にもわからないわけで、色んな言説が飛び交う中で「当たるも八卦当たらぬも八卦」と占い程度に聞き流しておけばいいのではないでしょうか。

「どんな将来になろうとも盤石」なんてものはないわけで、結局は誰しも環境の変化に自分自身を合わせていく必要があります。だからこそ、「当たるかどうかもわからない未来予想図」を信じてやりたいことを諦めるなどというのは馬鹿げた話で、興味のあるもの、やってみたい仕事を積極的にやってみてはどうかと思います。

やりたくないこと、やってみたいこと

上記のようなことを書いてみたいと思ったのは、若手社員と今日面談したことがきっかけです。面談の中で、その若手社員は「◯◯の部署に異動したい」と希望してきました。

「◯◯の仕事、興味あるんですか?どうしてその部署なんですか?」と質問をしたところ、「やりたくないこと」を避けた結果、その部署になったとの回答がありました。実際のところ、その部署の仕事もあまりよく分かっていない様子でした。

この話で、まるで「当直やオンコールがないから」と興味もない仕事の求人に応募していた自分が重なりました。ただ、そのような動機ですと、少し「そんな転職ではダメだ」といった批判を受けると転職を諦めるなんてことになりやすいです。

結局は「この仕事をやってみたい」という興味関心がある方が強い動機となり得ます。だからこそ、消去法ではなく「どんな仕事をしたいのか」という興味の方を優先させて欲しいと思っています。

もし産業医の仕事に興味があり、やってみたいと思うようであれば、ぜひチャレンジしてみて欲しいと思います。リクルートドクターズキャリア[PR]や、医師転職ドットコム[PR]には新着の産業医求人が比較的多く掲載されていますので、お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。ドクターは無料で利用できますので、求人の問い合わせだけでもしてみてもいいと思います。

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