産業医が面談した社員に「役立たず」と思われないための3つのポイント

ネット上にあふれる本音の中で、産業医と面談をした社員さんたちの「産業医なんて役立たずじゃん」「面談するだけ無駄」といった意見を目にすることがあります。

私自身も産業医をしている身として、このようなことは真摯に受け止め、他山の石にしないとな、と思っている次第です。以前にも、

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このような記事で、産業医としてどのよう点に注意をすべきかということを書いておりますが、今回は「役立たず」と思わないためにどうすべきかについて3つのポイントに分けて解説してみたいと思います。

話をするだけではなく「行動」する

社員さんと面談をしたとして、記録を書いておしまい…ということですと、社員さんにとっては「無駄な時間だったな」と思われてしまう可能性があります。

社員さんがどのようにすれば働きやすい環境を作り出せるかを考え、面談を通じて話し合うことができたら、それを上司や人事側へフィードバックするといったことをやはりすべきだと思います。

また、こうしたフィードバックを行うことで、上司、人事側も「この先生、働いてるじゃん」と思ってもらえるという効果もあります。実際、産業医というのは予想している以上に「この先生、何をやってんの?」と思われているため、報告・連絡・相談を欠かさずにしておくことは大事です。

「来年度は契約更新しないよ」と急に言われないためにも、「お仕事してますよ」アピールは大事なことです。

ウソをつかない、約束は守る

「人事側に伝えておきます」といった約束をしたとして、それを実行しない、あるいは忘れてしまうというようなことがありますと、やはり社員さんとしては裏切られた気持ちになってしまうと思います。

ウソをつかないことは当然なこととして、面談の中で約束をしたことはしっかりと守る必要があると思います。

また、人間どうしてもミスはあると思いますが、そんな時に誤魔化さずに謝ることも大事なことです。そうした点を社員さんは見ていますし、「この先生、誤魔化そうとしているな」というのは自分で思っている以上に分かってしまうものです。

たとえ見抜いていても、社員さんは指摘しませんし、「もう面談は結構です」と言われてしまうだけです。信頼は得るのはとても大変で、失うのは一瞬というのはまさにその通りだと思います。

「確認」を忘れない

社員さんとの面談内容を、上司や人事側へフィードバックしたからといって、改善案全てが実現されるとは限りません。だからこそ、「どの程度、現場レベルで取り入れられているのか」ということを確認する必要があります。

つまりは、社員さんとまた面談をする機会に「前回の話の内容を上司の方にフィードバックさせていただきましたが、その後どうですか?」と質問をするということです。

「いや、全然変わってないですね」ということでしたら、やはり面談している社員さんの満足度も低いと思いますので、改めて上司や人事側へ相談を行う必要があります(また、改善されない理由自体を質問することも大事なことだと思います)。

また「確認」をすることで、社員さんも「あ、この先生動いてくれたんだ」と思ってもらえるという効果もあります。

以上です。
こうしたことの積み重ねが、産業医としての信頼に繋がっていくと思っております。つい面談が立て込んでいたりしますと忘れがちなことですが、私としては心がけていきたいことです。

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