医師であろうと「自分のメンタル不調」には気づきづらい理由

私は後期研修医時代、毎日のように鬱々とした気分が続き、イライラしてしまう、寝つけない、途中で起きてしまう…ということが続いていました。

客観的に当時のことを振り返りますと、明らかにメンタル不調の状態で、「なんで医長に相談しなかったんだろうか?」と思います。ですが、自分のこととなると、紺屋の白袴、医者の不養生なんて言葉もある通り、なかなか気づかないものだったりもします。

共通する症状、経過

産業医としてメンタル不調の社員さんと話をしますと、同じような症状、同じような経過を訴える方が多いです。

「最近、夜間に目を覚ましてしまうことが多くなって…」「食欲もなくなってきて…」「土日、何もやる気が起きなくて…」「めまい、頭痛がして…」といったことはよく聞くワードだったりします。また、途中で目が覚める、早朝に目を覚ます、睡眠の質が低下するといった症状が現れると、途端に体調をガタガタと崩すきっかけになったりします。

こうしたことを面談の場で聴取すると、「ああ、それはストレス、メンタル不調からきているのだな」といったことが分かるわけですが、なかなか自分の身に起きたりしますと、そのような思考に至らないといったことにもなります。

自分の体調は「自覚」はしているものの、言語化されておらず「なんか体調悪い」ということでそのままにされている可能性があります。そのため、「気づいて対処する」ということになかなかならないということもあります。

茹でガエル状態でメンタル不調に

人間、色んな状況や環境に慣れてしまうもので、ストレスフルな環境や状況が日常的に続いても、ある程度は慣れてしまうわけです。

また、ストレス解消のために過食に走ってしまったり、あるいは毎日のようにお酒を飲むようになってしまう、中には犯罪まがいの行動をとってしまうなんて人もいたりするわけです。

私の場合、ゲームだったように思います。深夜までゲームをしていて、意識を失うように寝落ちして翌朝、遅刻する…なんてことがたびたびありました。

急に体調が悪くなれば「あ、これはおかしいぞ」と思えるわけですが、「徐々に体調がすぐれなくなっていく」ということですと、「水に入れられたカエルが、徐々に水温を上げられて茹でガエルになってしまう」かのように、なかなかメンタル不調に気づけなかったり、対処しようとは思えなくなってしまいます。

「逃げ場はない」という思い込み

冷静に考えれば、働く場所は他にたくさんあるわけですが、なぜか「ここをやめたらもうおしまいだ」「転落して、あとは転がり落ちてしまうだけだ」なんて思い込んでしまったりします。

その結果、ストレスを溜め込んだ末に病気で休職するか、あるいは退職をするということになるかもしれません。私の場合、退職を申し入れた後にそれを撤回し、さらに休職して退職…という、最悪な流れとなりました。

その後、リクルートドクターズキャリア[PR]に紹介してもらった求人で産業医に転職するわけですが、「もう少し早くメンタル不調と気づき、対処していたら展開は変わったのではないか」とも思います。

もし現在、体調不良を自覚しながら働いているということでしたら、一度はストレス、メンタル不調による影響ではないかと疑ってみて、まずは上司・先輩に相談してみるのはいかがでしょうか。それでも解決しないということでしたら、転職を検討してみるのもいいと思います。求人紹介や相談などは無料でしてもらえますので、リクルートドクターズキャリア[PR]エムスリーキャリアなどにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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