後期研修医(専攻医)の時にドロップアウトした経験が産業医として意外と活きている件

「人生に無駄な経験なんてない」なんてことを真顔で言っている人がいたら、軽く小バカにして笑ってしまうようなタイプの私ですが、最近では「あながち間違いでもないよな」と思うこともあります。

私は後期研修医(現在の専攻医)時代にドロップアウトし、産業医に転職しています。そのドロップアウトする時も、ゴタゴタと揉め事を起こし、「若気の至り」なんて言葉では許されないぐらいの申し訳ない辞め方をしています。

具体的には、どんなことが現在の産業医としての仕事に役立っているのか、以下のようなことが挙げられると思います。

若手社員の悩みと共通する点

若手社員が「メンタル不調で…」ということで面談をすることもありますが、その時に話を聞いていると、「ああ、昔の私を見ているようだわ」と思うこともあります。

上司との関係構築が苦手で、報告・連絡・相談や事前の根回しが大の苦手。自分本位に仕事を行い、問題が起こるとその場しのぎの言い訳を行い、周囲の不興を買う。結果、上司の自分への評価はだだ下がりで、叱責されるのを恐れてさらに関係が希薄になるという悪循環…なんてパターンが話を聞いていて展開されます。

そんな時、いきなり説教じみたことを言うのではなく、「うん、うん。その気持ち分かるよ」と言いつつ話を聞けるのはドロップアウトした経験があったからではないか、と思っています。

メンタル不調状態に陥った経験

私もドロップアウトする直前、不眠症状や抑うつ症状に悩みました。自分自身もメンタル不調状態に陥った経験があるというのも、面談の際には役立っています。

「朝になってまた職場に行くのがイヤだし、眠れないから夜通しオンラインゲームをやって朝に起きれず遅刻する」なんてことは、経験していないとその気持ちは分からないと思います。

ストレスから痛飲してしまったり、過食してしまうなんてことも一通り経験しているので、そのころのことも今になっては活きていると思います。

「傷ついた経験」をしているからこそ言葉を選ぶ

ドロップアウト寸前に投げかけられた言葉などは、非常に傷つきましたし、今でも覚えています。そうした経験をしているからこそ、上から目線で社員さんたちを傷つけてしまう言葉は言わずに済んでいるのではないかと思っています。

やはり同じような経験をしているからこそ、自分も傷つけられたような言葉は安易に口にしないよう気をつけられているのではないでしょうか。

以上です。
こうした点は、産業医をやっていて「経験が活きているなぁ」と思う点です。専攻医をやめるかどうか悩んでいて、今は非常に大変な思いをされているかもしれませんが、それでも「後々、こんなふうに役に立つこともあるのか」と少しでも思ってもらえれば幸いです。

そしてもし実際にドロップアウトしてしまい、「次の選択肢として産業医」を選ぼうとしているということでしたら、実際にやってみてはいかがでしょうか。

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