勤務医が産業医に転職する上で意外と大事な「ネガティブな情報」との付き合い方

私が後期研修をドロップアウトする形で産業医になったのは、30代前半でした。当時はSNSと言えばミクシィぐらいなもので、産業医のドクターが情報発信を行っているなんてこともありませんでした。

そうなりますと、匿名掲示板や本当に医師か疑わしい個人のブログなど、「これって本当?」と疑いたくなるような情報を頼りにするしかありませんでした。その「産業医」にまつわる情報と言えばヒドイもので、ショックを受けてしまったものです。

現在も、産業医にまつわるネガティブな情報はネット上に散見されており、そうした情報とどう付き合うのか、ということについて書いてみたいと思います。

発信者はどんな人?

産業医に関する書き込みを行っている人で、ネガティブなことを書いている人は私が見る限りは少ないと思っています。そもそも「そんなイヤだったら産業医やってないよ」ということでしょうし、「興味なかったらわざわざ産業医になんかなってない」ということだとは思います。

となりますと、産業医を経験してもいない、産業医ってどんな仕事なのかも分かっていない人がとやかく書いているというケースが多いのではないでしょうか。

実際私も、「産業医なんて仕事は、年とってから臨床が続けられなくなったらやればいいじゃない」「産業医なんてすぐ職がなくなるぞ。その時に、専門医資格がなくて困ったって知らないぞ」と言われたものです。

ちなみにこれは、ネット上ではなく直接周りから言われました(笑)要は、「なんで臨床をやらないんだ」と結構な頻度で言われました。

「転職」に反対意見はつきもの

そもそも、勤務医が勤務医として転職する上でもネガティブなことを言われることはあります。内定が得られて、「さて、医長にそのことを伝えるか」と思って話をすると、「今、この病院を辞めるなんて将来どうするんだ。今、歯を食いしばって頑張らなくてどうする」などと言われて引き止められる可能性もあります。

実際、私も上記のようなことを言われましたし、その医長に先輩のドクターが「ここを辞めて雇われ院長になる?そんなの上手くいくはずない」なんてことを言われていました(笑)

ですが、今振り返ってみますと、その医長は転職経験がほとんどなく、また、医師のキャリア形成のプロでもなんでもありません。結局のところ、その「アドバイス」を真に受ける必要はなかったな、と改めて思います。

結局は「やってみる」しかない

産業医の経験がない人に、いくら「産業医ってこんな魅力があるよ」「ここが臨床に比べてイマイチな点かな」と説明したところで、はっきり理解してもらうのは難しいと思います。まさに百聞は一見にしかず、といったところでしょうか。

だからこそ、「興味がある。産業医をやってみたい」ということでしたら、一度経験をしてみるのはどうか、と思っています。「でも、今の仕事をやめて転職するのは…」というお気持ちもわかりますが、そんな時は嘱託産業医で「事業所に月1訪問をする」といったバイトをしてみるというのも手だとは思います。

私のように、「臨床を続けたくない…次の道として、産業医を選んでみたい」という方もおられるでしょう。そんな時、悩み続けていたり、ネガティブな情報に左右されるよりは「まずは飛び込んでみる、そこからまた考えてみる」ということも一つの手だとは思っています。

もし産業医への転職に興味がある、気になっているということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアなどの転職エージェントに相談して、求人紹介を受けてみるといったことをしてみてはいかがでしょうか。よりイメージが具体的になって、ネットの情報だけよりも選択をしやすくなると思います。

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