専攻医から転職するとなると、それは様々な不安が入り混じった状態ではないかと思います。現に、私が後期研修医をドロップアウトし、そこから産業医になろうと考えていた時、渦巻いていたのは「こんな臨床医として、専門医資格もない中途半端なキャリアな人間が産業医としてやっていけるのだろうか?」ということでした。
ですが、こんな私ですがなんとか産業医として10年近くやってこれています。3社を転々としておりますが、ようやく3社目で「ようやく落ち着けたな」と思えるようになりました。
そこで今回は、「産業医として長く勤務する上で注意したい3つの処世術」と題して、どのようにして長く勤務できるようになるのか、ということにスポットを当てて書いてみたいと思います。
バランス感覚の大切さ
産業医はともすると、面談を行った社員さんの話を鵜呑みにしがちです。ですが、その上司である管理職にも「言い分」があるわけで、どちらかに肩入れをしてしまうと、一方の不満を招くことになってしまいがちです。
その点、やはり「両者の話をしっかり聞き、その上でどうするかを考える」ということを産業医としては行うことも必要だと思います。
現に、とある社員さんの話を面談で聞き、鵜呑みにしてその上司に伝えたところ、上司の見方は全く異なり、その面談を行った社員は同僚が皆口をそろえて批判するような、「実はとんでもない不良社員だった」なんてこともあったりします。
ここらへんのバランス感覚は産業医として数年やっていれば身につくところだと思いますが、生き残るためには大事にした方がいいと思っています。
「味方」を増やすことの重要性
社内で孤立無援の産業医ですと、できることは本当に限られてしまいます。というのも、産業医として「勧告」を出したとしても、聞く耳を持たないような人ばかりであればなんら効力を持ってくれなくなってしまいます。
その点、物わかりの良い上司や人事労務担当者と良好な関係を築いていれば、「話が早い」ということを経験すると思います。これは普段、人間関係を大切にしているかどうかというところが大きく影響します。
勤務している会社の「業務」への理解を深める
産業医の立場なやはり社員さんからすると基本的には「部外者」と感じるところがあるようで、その点、産業医として認められるには、面談や上司への報告・連絡・相談の中で、「あ、この産業医は仕事のことをよく分かっているな」と思わせる必要があります。
これはやはり普段の面接の中で社員さんから仕事のことについてよく話を聞き、内容を熟知しておく必要があります。
これは些細なことですが非常に大切なところですので、ぜひ日頃から意識しておきたいところです。
以上です。
こうした3つのポイントを踏まえているか否かで、会社での居心地の良さは段違いであるように思います。もしこれから産業医を目指すということでしたら、ぜひ心に留め置いていただけますと幸いです。
なお、転職活動を行う上では、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアなどの転職エージェントが力になってくれますし、実際、私も非常に助けてもらえましたので、ご相談いただいてはいかがでしょうか。