産業医への転職を考えておられるドクターから相談や質問を受けることがあるのですが、共通して「あ、産業医のことを誤解してるな」と思うことがあります。
もちろん、なってみれば「あ、なんだそういうことか」とすぐに分かることなのですが、やはり経験していないとなかなか感覚で分かりづらい部分というのはあるようです。
そこで今回の記事では、タイトル通り「産業医未経験のドクターがよく誤解している3つのポイント」について書いてみたいと思います。
産業医になるための研修や産業医科大学卒じゃないとなれない?
産業医はやはり臨床医と異なり、ある意味「特殊」な存在と感じておられる方はいらっしゃるようです。
そのためか、臨床医が初期・後期研修というトレーニングを積んで一人前となるように、産業医もなんらかの研修を経ていたり、あるいは産業医科大学出身でないとなれない、あるいはなってもやっていけないのではないかと思われている方もおられるようです。
産業医になるためには、「労働安全衛生規則第14条の2で定める要件を備えた者でなければならない」と定められており、その要件を満たすために日本医師会認定産業医などの資格が必要ではあります。
しかしながら、それ以外の研修などは必須ではありませんし、産業医科大学出身でなければならないなんてことはありません。実際、私は産業医科大学出身ではありませんし、認定産業医になるための単位集めをするため、自治医科大学の集中講座を受けた以外のことはしていません。
では、実際の仕事はどう覚えたかと言いますと、働きながら次第に覚えていきました。幸い、ベテランの保健師が常駐していたので、分からないことがあれば相談し、社員さんとの面談や安全衛生委員会への出席、健診判定・受診勧奨などのやり方を身につけていったという感じです。
半年ほど産業医をしていれば、一通りの仕事は覚えられると思います。ですが、それまでは「分からない、どうしよう…」と困ることも想定されますので、未経験の時には、やはり複数の産業医が在籍していて、先輩産業医に相談できす企業が望ましいと思われます。
産業医としてやっていけるか不安です…
私自身も、研修会・講習会で産業医をやっている講師の方々の講義を聞いていますと、「やっぱりこういうスペシャリストが産業医になるのか…自分は果たして産業医としてやっていけるのか?」と不安に思っていました。
もちろん、企業によっては「健康経営のため、積極的にわが社への提言を行ってください」「専門家の立場から、社全体を動かすプロジェクトの旗振り役になってください」など、過大とも思われるような期待を(形式上)かけられるようなところもあったりします。
一方で、「こちらの求める形式的な仕事だけしていただければ結構です」といったところもあります(裏を返せば、「法律で決められている最低限のことはやって欲しいけど、会社に余計な口出しはしないでね」といった感じでしょうか)。
基本的には、後者のタイプで、産業医に対する期待値としてはさほど高くないことが多いように思います。これも企業ごとに期待値は異なるため、不安ということであれば、未経験ないし経験が浅い場合には、過大な期待をしてくる企業は避けるということで対処は可能だと思います。
「積極的に提言を」「業務改革のための旗振り役を」などのワードが求人票や採用面接で出てくるようですと、期待値が高いのかな、と予想されます。
コネがないとなれない?
これは私も誤解していたところでした。初めての転職活動で行き詰まり、「やっぱりコネでもないと産業医にはなれないのかな」と思い込んでいました。
しかしながら、「誰しも最初は未経験」でありますし、コネは一切ありませんでしたが産業医になれました。
ただ、希少な産業医の求人情報、なおかつ「未経験でも受け入れ可能」という求人か否かの部分の判断は、なかなか自力では困難です。
私も転職活動では、毎回リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントを頼っています。無料で求人紹介や転職活動のサポートも行ってもらえますので、ぜひ最初から相談しておくことをおすすめします。