私は後期研修をしていた病院を辞め、産業医としての転職先がなかなか見つからず、やむなくドロッポ医になった経験があります。
ここで言うドロッポ医とは、「常勤勤務医からドロップアウトして、非常勤・スポットバイトなどで食いつないでいく医師のこと」のことですが、私はそこからまさしく「最下層ドロッポ医」の状況だったと思います。
バイトを入れていない日は朝から飲みに行ったり、日がな一日オンラインゲームをやったりと、本当に好き勝手な生活を送っていました。
ですが、それも2週間を過ぎ、1ヶ月経とうとしていた頃には「これは辛い…」という思いが募ってきていました。どうやら私はドロッポ医には向いていなかったようです。
今回の記事では、ドロッポ医になって後悔する医師と、後悔しない医師の違いについて書いてみたいと思います。
「あり余る時間」問題
FIRE(Financial Independence, Retire Early movement:経済的独立と早期退職)という言葉、よくツイッター界隈でも目にしますが、簡単に言えば「ハードワークと節約した生活を送り、貯蓄・投資での運用益を得られるようにして定年前にさっさと退職する」ということだと認識しています。
このFIREした後、「どのようなことで余生を過ごすのか」というのは、とても大事だと思うのです。仕事をやめた後、あり余る時間をどう使ったらいいのかというのは、実は結構難しい問題ではないでしょうか。
なお、「バイトを入れまくっているし、余暇の時間なんてないよ」という方は、常勤医としても働けるけど、あえて稼ぐために「フリーランス」になっていると思いますので、ここではドロッポ医としては除外して考えます。
ドロッポ医として、「働こうと思えば働きたくない、だから時間はある」という状況になった時、その時間を打ち込める趣味などがあって夢中になれるといった人だったら、ドロッポ医生活も苦ではないと思いますが、私はあいにくそこまで夢中になれるものがなかったので、1ヶ月と経たずしてギブアップしてしまったように思います。
「先行き不安」問題
ドロッポ医のデメリットとしては、やはり「雇用的に不安定」というところが大きいように思います。
コロナ禍による病院・クリニックの収益減少により、非常勤医師たちがクビになった、バイトの求人数が減少したということもあり、よりその不安は大きくなっているように思います。
また、今後は医師の働き方改革の波も押し寄せてきており、バイトの求人数は減少へと転じる可能性を孕んでいます。
こうしたことを「そのリスクも承知の上」としてドロッポ医を続けるのはいいですが、私のような小心者は不安で仕方がありません。「先行きどうなるんだろう…不安だ」というリスクを許容できなかったので、これもドロッポ医を続けることができなかった理由の一つだと思っています。
「年齢」という問題
若い時にドロッポ医生活を送っていたとしても、周囲の人たちも「ああ、若い時はそういうこともあるよね」と気にも留めませんが、これが(特に男性で)40代、50代に差し迫ってきますと、見る目は変わってくるように思います。
周りを見れば、自分より若手ばかり。それなのに横並びで同じバイトを行うということに、やはり違和感を感じてしまう先生もおられるようです。また、クリニックバイトで「年下の院長に使われる」ことに抵抗感を感じるとツイートしておられるドクターもおられました。
また、結婚・子供が生まれるといったライフステージの変化によって、家族が「安定を望む」ということもありえます。
その点、全く気にしないという方はドロッポ医を続けていても大丈夫だと思いますが、私もやはり安っぽいプライドを捨てきれず、気になってしまうのでドロッポ医生活は辛いのではないかと思っています。
以上です。
もし現在、「ドロッポ医になるか…」とお考えでしたら、
こうした記事も書いておりますので、ぜひご参考にしていただければと思います。また、「ゆるい労働条件で勤務医を続ける」という選択もあります。もしそのような転職をお望みということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアなどの転職エージェントに相談し、求人紹介をしてもらってはいかがでしょうか。ドクターは転職サポートを最後まで無料で利用できるため、まずは相談からしてみましょう。