主治医の意見に疑いを持ち、「セカンドオピニオンを受けたい」という方は少なからずいらっしゃいます。患者さんご自身や、ご家族の健康、命が懸かっているともなれば、それは無理もないことだと思われます。
しかし、産業医の場合、企業によっては複数人いることもありますが、大抵は産業医一人のところが多いです。となりますと、「セカンドオピニオンを」という訳にもいきません。
一度、「この産業医、信用できない」と思ったら、その疑いというのはなかなか拭えませんし、そこでこの記事では、社員さんが面談を受けて、「産業医が信用できないと感じた時にやってもらいたい3つのこと」と題し、そんな時にどう対処すべきかについて書いてみたいと思います。
産業医の意見がコロコロと変わる場合
特に休職をしていた社員さんが、いざ復職をとなった際、産業医がなかなかGOサインを出さずに「なかなか復職させてもらえない」ということが起こり得ます。
以前、
こちらの記事でも触れておりますが、「面談するたびにコロコロと意見を変えて、なかなか復職をさせてもらえない」というようなことでしたら、産業医に
・「なぜ復職できないのか?」という理由を明示してもらう。
・復職するための「条件」を具体的に明示してもらう。
ということを求めてはいかがでしょうか。たとえばですが、私の場合は主治医の復職許可が出た上で、
1) 基本的な生活リズムが整っている(始業時刻に間に合う時間に毎朝起きることができる、睡眠時間も十分とれているなど)
2) 日中の活動量が十分(定時勤務が可能な体力が回復している、試し通勤も実施できている)
3) 休職前のパフォーマンス80%程度は出せる(デスクワークのような作業を実際にやってもらい、パフォーマンスを自己評価してもらう)
がクリアできていればOKというような条件の提示を行っています。1)、2)に関しては2週間ほど生活記録表などをつけてもらい、面談時に確認させてもらっています。
このように、「何をクリアできれば復職とするのか」という条件・目標をはっきりとさせることで、意見がコロコロ変わるということを防ぐことはできると思います。
復職の時だけでなく、面談の際に自分でもメモをとり、「前回の面談では、このような話になっていたと思いますが」と伝えることも有効だと思います。
面談の報告内容を共有・確認させてもらう
産業医が上司や人事側へ面談の報告を行うこともありますが、「その内容がどうやら曲がって伝わっている」「自分の発言内容と異なることが伝わっている」と感じることもあるかもしれません。
その際には、産業医が内容を共有する際、メールや文書で報告するならば、「私にもその内容を確認させてもらえませんか?」と産業医に依頼することも手です。
私なら「では、○○さんのメールアドレスもCCに入れておきますね」と承諾しますが、産業医の先生の中には、「それはできない」と断られるかもしれません。
その際には、人事側へ問い合わせ、「面談でこれこれこういう内容で話をさせてもらったのですが、その旨、産業医の先生はご報告されていますか?」と言い、確認をするのも手だと思います。産業医による報告内容がまるっきり異なる場合、自ら人事側に報告することで、いわば「弁解」することができると思います。
産業医が、そもそも人事側への報告を失念している場合もあったりします。そのような時にも自ら報告するのは有効だと思います。
産業医を上手く利用する
一度「この産業医、信用ならない」と思ってしまいますと、ついつい喧嘩腰になってしまったり、「この人に相談しても無駄だな」と思って諦めてしまうということもあるかもしれません。
ですが、それは社員さん、産業医側の両方ともに不幸な状態にしかならないと思いますので、言い方は悪いかもしれませんが、「産業医を上手く利用する」ことを心がけていただければと思います。
敵対、あるいは関係断絶されてしまいますと、産業医としても動きづらくなってしまいます…ぜひ、「上手に利用」してください。
「休職したい」「復職したい」「今の職場でメンタル不調になってしまった、異動したい」といったことで面談に臨んでいる場合、「休職を要するという意見書を書いて欲しい」「産業医としての復職許可を出して欲しい」「人事側に要望を伝えて、人事面談に繋げて欲しい」といった要望があるのではないでしょうか。そうした要望を叶えるべく、ぜひ喧嘩腰ではなく交渉のテーブルにつく心境でお越しいただけますと、産業医としても助かります。
一方で、
このようなタイプの産業医の先生も中にはいらっしゃいますので、その時には人事側に「実は、産業医の先生に相談したのですが、こうしたことを言われてしまっていて…」と相談することで介入してくれることもありますので、ご相談いただくのもよろしいのではないでしょうか。