日経メディカルの「「この不安ってなくなるんでしょうか」」(5分で勝負!産業メンタルヘルス事件簿)が、非精神科医である産業医の私にとって、とても参考になりました。
「終わらない不安や強迫観念」を抱える不安障害圏の社員さん、今までも何人か面談をしてきましたが、同じ不安などについての話、過去の話をループで延々と聴き続けてしまうといったことがあり、「どのように対処したらいいんだろう…」と悩んでいました。
内容を抜粋しますと…
・うつ病っていうのは、クルマの故障に例えると、ガソリン切れだったり、エンジンが故障しちゃっている感じなんですよ。一方で、不安障害というのは、エンジンにもガソリンにも問題はないけど、突然誰かにアクセルを踏まれたり、ハンドルを取られたりするような感じ。
・不安障害圏の面接は、得てして冗長としたものになりがちである。会話の冗長性はどこに向くかといえば、大抵今更どうしようもない過去の不安であったり、あるいは漠然とした未来への不安に向いていく。面接家はメタファーを活用しながら、「今ここ」の「生活」の話をするように面談をうまくハンドリングしていこう。
・不安障害圏の復職成功において、本人のコミットメントは重要な要素である。極端なハナシ、本人が腹をくくっていれば、それは再帰的に成功へとつながりやすい。
・あえて過度に踏み込まない、立ち入らない勇気を。
・沈黙を与えず、終結はスパッと! だらだらとした傾聴はしばしば侵襲的ですらある。
などなど、実践的なテクニックがいくつも盛り込まれている内容となっていました。
また、「頭の中の不安を、電車内にたとえる」というのも良いテクニックですね(他の乗客が少ないと、1人の乗客[=不安]に自然と目が向いてしまう。満員電車であれば、あまり1人の乗客に目が向かない)。時間を持て余すのではなく、多少忙しくして、「家でじっとするより、動きながら悩もう、人と関わりながら、悩もう」と思ってもらうよう誘導するといったことは非常に勉強になりました。
精神科医のドクターだったらお手のものなんでしょうが、内科出身だったりすると、こうした面談は非常に大変だと思います。もしお困りでしたら、お読みいただいてはいかがでしょうか。