産業医として遭遇しやすいケース「忖度して欲しい社員、空気を読まない上司」にどう対応すべきか

女性社員が人間関係を主なストレス要因として適応障害を発症し、休職していました。同じ部署内ですが、異動した上で復職することになったわけですが、そこでちょっとした問題が起きました。

女性社員が部長に「元にいた部署に、ご挨拶した方がよろしいでしょうか…」と言い出したところ、「そうか、そうか。これからも関わりあるわけだし、挨拶しとくか。どうせ置いてある荷物もとりにいくし」という話になったわけです。

結局、その女性社員は復職初日、元いた部署に「お世話になりました」と挨拶をしたわけですが、そこから間もなくして体調不良を理由に数日休んでしまいました。そこでその部長から「女性社員が復職まもなくで体調不良を理由に休んでるんだが、どうしたらいいでしょうか」と相談にきたわけです。

それで私が女性社員と面談を実施したわけで、上記のようなエピソードを説明され、「本当は挨拶をしたくはなかった。元の部署の人とは顔も見たくないし、部長には『ご挨拶した方が…』と言った時には、『それはいいよ、気まずいだろうからね』と言って欲しかった」と本音を聞きました。

まさしく、「忖度して欲しい社員、空気を読まない上司」という構図です。こうした事態にならないように、どうしたらいいかということですが、これはやはり注意事項という形で上司に伝えておくしかないのかな、と思います。

実は女性社員と復職前に面談を行っており、「できる限り元部署の人とは顔を合わせたくないし、挨拶なんかもってのほか、行きたくない」と言っていました。そのことを「さすがに今までの人間関係や流れを知っている部長さんも察して、挨拶しろとは言わないはず」と思ってしまい、伝えておりませんでした。

私を含め、「察しない、空気を読めない」という方は少なからずいると思いますので、そのような傾向のある上司の方には「これはさすがに分かるだろう」ということも注意事項という形で伝える必要があると改めて思ったケースでした。

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