睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とともに、最近では睡眠関連呼吸障害(Sleep Related Breathing Disorder:SRBD)という言葉も目にするようになってきました。
そこで、「さて、これらの違いはなんでしょうか?」と思った次第ですが、このSRBDという広く使われるようになったのは、2014年に睡眠関連疾患の国際分類(International classification of sleep disorders:ICSD)が改訂され、第3版(ICSD-3)となってからのようです。
このICSD-3によりますと、睡眠関連呼吸障害群(SRBD)は以下のようにものを分類・内含しているとのことです。
A.閉塞性睡眠時無呼吸障害群
1.閉塞性睡眠時無呼吸,成人
2.閉塞性睡眠時無呼吸,小児
B.中枢性睡眠時無呼吸症候群
1.チェーンストークス呼吸を伴う中枢性睡眠時無呼吸
2.チェーンストークス呼吸を伴わない身体疾患による中枢性無呼吸
3.高地周期性呼吸による中枢性睡眠時無呼吸
4.薬物または物質による中枢性睡眠時無呼吸
5.原発性中枢性睡眠時無呼吸
6.乳児期の原発性中枢性睡眠時無呼吸
7.未熟性に伴う原発性中枢性睡眠時無呼吸
8.治療時出現中枢性睡眠時無呼吸
C.睡眠関連低換気障害群
1.肥満低換気症候群
2.先天性中枢性肺胞低換気症候群
3.視床下部機能障害を伴う遅発性中枢性低換気
4.特発性中枢性肺胞低換気
5.薬物または物質による睡眠関連低換気
6.身体疾患による睡眠関連低換気
D.睡眠関連低酸素血障害
睡眠関連低酸素血症
孤発症状と正常範囲の異型
1.いびき
2.カタスレニア
要は、「(臨床の現場でよく遭遇する閉塞性)睡眠時無呼吸症候群は、睡眠関連呼吸障害(SRBD)の一病態」とされたわけですね。大雑把に言ってしまえば、「睡眠時無呼吸をきたす疾患」の病態が、より広義にかつ細かく分類され、新たな名称「睡眠関連呼吸障害(SRBD)」となったということかもしれません。
ただ、「SRBD?なにそれ」と言われてしまう可能性もあり、「SAS」といった表記はまだまだ生き残りそうですね。