後期研修医をやめるまでにかかった「1年」という時間と「最後の一押し」

私は現在、産業医をメインとして働いていますが、最初から産業医であったというわけではなく、初期研修後に後期研修医(今でいう専攻医)になりました。

当時から、「勤務医として働き続けるのは無理だろうな」と思っておりましたので、専門医資格を取得後、「よきところで開業しよう」と思っていました。そのための後期研修、「修行期間、耐える時だ」と考えていたわけです。

そこから3年後、辞めてしまうわけですが、退職するまでに1年という時間がかかりました。自分にとっては大きな決断でした。

悩み続けた1年

そもそもは開業医になることを考えていたわけなので、臨床を続けるつもりではありました。というより、それ以外の選択肢がなく、「後期研修医をやめて…他に何ができるっていうの?」という状態でした。

それが変わったのが、同じ科の先輩の一言で、「産業医の資格はとっておくと後々役に立つと思う。だから、今の内にとっておいたらどう?」と言われたことがきっかけでした。先輩にとっては本当に何気ない一言だったと思いますが、私の眼の前にはぼんやりとではありますが、「臨床以外の選択肢」が出現したわけです。

それまでは「後期研修をやめたい、やめたい…」とだけ思い続けていた中、「別の選択もあるよ」と提示された状態です。ただ、その時点では産業医については何も分からず、「産業医にはどうやったらなれるんだろうか?」と調べ始めるようになりました。

すんなりとドロップアウトできなかった私

ただ、そこからすんなりと退職して、産業医になったかと言えば決してそのようなことはありませんでした。「臨床を続けるべきか、それとも臨床か…」と悩み続けました。

やはり、「大多数の医師が歩む道」から外れるという選択はおいそれとはやはりできません。そもそも私自身、上手く勤務医として、そして後期研修医として立ち回れていなくて「医者、向いてないよな…かといって、他の仕事もできそうにないし…」と思っていたため、非常に自己肯定感が低い状態でした。そのこともあって、「今までと全く異なるキャリアを選ぶ」ということは心配や不安でしかありませんでした。

「後期研修をドロップアウトして、産業医になった」と書いてしまえば非常に簡単な略歴ですが、その実、悩んで悩んで、それでも結論を出すことはできず、ダラダラと時間ばかりが過ぎていきました。

最後の一押し

では、どのようにして産業医になろうと決意したかと言いますと、きっかけは患者さんとのトラブルです。その時点で既に医長と折り合いが悪くなっており、私は避けるようになっていました。そんな中、医長に呼び出され、患者さんとのトラブルについてお叱りを受けることになったわけです。

当時を振り返ると、100%私が悪く、弁明の余地すらなかったわけですが、もしかしたらふてくされたような態度をとっていたのかもしれません。医長もお怒りになって、その流れで「君は臨床医に向いていない」と言われました。

元々、自分自身でも思っていたことを、改めて医長から言われて「そうか、やはり向いていないのか」と、腑に落ちたのかもしれません。そこから退職を決意し、産業医になろうと思い切り舵を切ったように思います。

どうして私は産業医になったのか、ということを改めて振り返りますと、やはり長く悩んだ期間があり、そんな中で「新たな選択肢」について考えるようになり、そして決定的な出来事があったから、という流れになると思います。

現在、専攻医をやめようかどうか悩んでおられる若手ドクターもおられると思います。その悩みは、すんなりと結論が出せるものでは決してないと思います。しかしながら、いつかやめるにせよ、続けるにせよ、結論が出る「きっかけ」が訪れるのではないでしょうか。悩みながらも、焦らずにその時を待ってみる、というのも一つの選択かな、と思います。

結論が出たならば、そこからはすんなりと行くのではないでしょうか。私の場合、リクルートドクターズキャリア[PR]のキャリアエージェントに求人紹介を受けてからは、すぐに転職できています。ただ、その悩んで結論が出るまでの時間もまた、大事なことなのかなとも思っています。

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