苦しくて辛くて仕方がなかった勤務医時代、私がなかなか転職に踏み出せなかった3つの理由【医師転職】

ゴールデンウィークや夏季休暇の時期になりますと、勤務医時代のことを思い出します。平日もさることながら、休日も「また病院に行かなければならないのか…」と憂鬱な気持ちになっていました。その時のことが、フラッシュバックのように蘇ります。

決して過酷な労働環境というわけではなかったとは思いますが、私にとっては勤務医として働くことが合わなかったようで、心身ともに追い詰められていました。

苦しくて、辛くて仕方なかったわけですが、なかなか転職に踏み出すことができませんでした。「転職しようかな」と思いつつも、ズルズルと時間だけが過ぎてしまい、結局、産業医としてリスタートを切るまでに、1年以上かかってしまいました。

理由1 大多数の医師が歩むキャリアからの離脱

1つ目の理由としては、大多数の医師が歩むルート、つまりは専門医資格や博士号などをとり、そして臨床経験を積んでいくといった道から外れてしまうことがとても不安だったということが挙げられます。

結局は「産業医になる」という道を選択したわけですが、モデルケースとなる人物が近くにいたわけでもなく、「よく分からない」というのが正直なところでした。靄がかかっていて先が見通せない、しかも人気ひとけが少ない道を歩んでいく。そんな状況がまさに当時の私の心境でした。

不安で心配。新たな道を歩んでいくにしても、できればもう少し見通しや安全が確保されている、その上、同行者がいる道を進みたいものです。少数派のルートを歩むというのは、かなりの思い切りが必要で、私の場合は「もう勤務医として働けない」という追い詰められた状況だからこそ転職できたように思います。

理由2 「転職」そのものの経験・知識不足

2つ目の理由としては、「転職」自体経験したことがないですし、どのようなものかというイメージがなかなか分からない、単純に「知識不足」だったということが挙げられます。

これも上記と通じるところがあるのですが、やはり「知らないものは怖い、不安、心配」なわけです。私の場合、相談できる先輩などもいなかったので、ますます転職に不安を感じていました。さらには、医長から「ここでやめたら使い物にならない医者になるだけだ」といったネガティブな言葉にまんまと感化されてしまったというところもあります。

経験がなかったら、やはりキャリアエージェントに相談するなり、知識を得てどのように進めていくものなのかといったことをしっかりと調べておく必要がありました。しかし、私がやったのは結局、「転職しようか…どうしようか…」と悩み続けるといったことや、闇雲に求人を検索するといったことでした。

理由3 キャリアプランを「捨てる」ことの難しさ

私の場合、専門医資格を取得して、ある程度の年次になったら早めに開業する、ということをキャリアプランとして描いていました。当然、後期研修医時代にドロップアウトしているので頓挫しているわけですが、なかなかそのキャリアプランを捨て去ることができずにいたわけです。

「AがダメならB」と、あっさりと乗り換えられればいいわけですが、やはりなかなかそうも行きません。若手医師の時には特に、「今まで積み上げてきたものを一度捨ててリスタートする」ということは難しいと思います。

もちろん、産業医になるからと言って「今までの臨床経験を一切捨てる」というわけでもなく、経験や知識が活きてくる場面があるわけですが、それでも「キャリアの大転換」を図る時には「捨てる」覚悟が必要になります。

今まで頑張ってきたんだからと、まんまと「サンクコストの罠」にハマっているわけですが、頭では分かっていてもなかなか動くことはできません。そのため、ズルズルと辛く苦しい働き方を続けていたようにも思います。

以上です。
ゴールデンウィークに入り、もしかしたら私と同様に、せっかくに休日にも関わらず「また勤務が始まるのが辛い、苦しい…」と鬱々とした気分の方がおられたら、と思って今回の記事を書いてみました。

「転職しようかな…」と悩んでいるのでしたら、思い悩むのではなく、ぜひ求人などの情報収集をしてみましょう。「やっぱり転職やめた」と結論を出すのでもいいでしょう。しかし、その判断をするためには情報を集め、その上で考える必要があります。

もし悩み続けている、ということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]などのキャリアエージェントに相談して、どのような求人があるのかといったことを問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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