X上で、「自分は医者には向いていない。むしろなってはいけない人間だと今更ながら気づきました」とポストしている研修医の方がおられました。同期のように上手く立ち回れずに悩み、それでもなんとか初期研修を続けておられるようです。
また、「医者になんかならなきゃよかった」と後悔の念を綴られていたり、「今すぐ消えたい。涙が止まらなく。同期にも友達にも親にも恥ずかしくて話せない」といったことを吐露されていて、いつしかの私自身のようだと思いました。
医師になったことでの後悔
私の場合、ペーパーテストだけは得意な方で「なんとなく医師に」と進路を考えていたということもあり、同期との温度差を感じていました(BSLや初期研修でのやる気の差、とでも言いましょうか)。
また、体育会系で如才なく立ち回る同期を尻目に、私は「指導医やコメディカルの人たちとどう接していいのか分からない」「仕事をする上でどう動けばいいのか全く分からない」状態で、ただ立ちすくんでいました。
1分1秒でも病院を離れたくて仕方がなく、毎朝、最悪な気分で目が覚めるというような日々が続いていました。なんどとなく、「こんなことなら、医師になるなんて思うんじゃなかった…」と思っていました。
初期研修の2年間が終わった後も、「こんな日々が後、数十年も続くのか…」と絶望的な気持ちになりつつ後期研修に突入しました。
後期研修をドロップアウト
当時、考えていたことは「早く開業して、勤務医から早く抜け出そう」というようなことだったと思います。臨床医以外の進路については、そもそもあまりよく知らず、頭にありませんでした。
その結果、早く専門医資格を取得して資金を貯めて開業を、というふうに考えていたのだと思います。ですが、そこまで耐えることすらできず、早々に後期研修をドロップアウトしてしまいました。
ドロップアウトした後、どんな転落人生が待ち受けているのだろうか…なんて思っていましたが、そんな中、「試しに産業医をやってみようかな」と思い、実際に働いてみました。そこからなんとか10年以上続けられています。面白いと思える仕事、性に合う働き方ができて今のところ満足しています。
「勤務医以外」の働き方
産業医をしていて思いますが、会社員も人事異動で業務内容や働き方とのミスマッチ、あるいは「上司や同僚とウマが合わない」といった理由で問題が生じることはあります。
本人の特性の問題もありますが、業務内容や環境との「相性の良し悪し」というのはどうしてもあります。医師となったものの、勤務医として働くことが合わない、ということも起こり得ることだと思います。実際、私もその内の一人です。
上述の研修医の先生にお伝えできるとすれば、
・医師の仕事も結構、間口は広くて勤務医以外も様々な働き方ができます。
・勤務医として働くことが合わず、別の働き方を探ることの方が幸せなこともあります。
・少しでも興味があるのだったら、試しにその仕事をしてみて、自分に合うようだったらそれを続けてみたら良い。
・ただ、興味もなく「ラクだから」という理由だけだと続けるのは難しい。
ということでしょうか。
私の場合、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントに相談をして、そこから別の進路の存在や、転職という選択肢があることにも気づけたということもありますので、まずは一人で悶々と悩み続けるよりも、相談をしてみる、といったことも大事なことかな、とも思ったりします。