勤務医から産業医への転職-「働き方を変えたい」という目的で産業医への転職を考える人に思うこと

医師の「転職を考え始めたきっかけ」ということでアンケートをとると、基本的に上位3つは

・業務負荷が高い
・給与への不満
・人間関係への不満

となることが多い傾向にあります。

一般的な会社員の場合で言うと、「人間関係」「年収」などに加えて「今の会社の将来性に不安がある」などが入ってきますので、やはり「業務負荷が高い」がトップ3に食い込むのは、医師ならではといった感があります。

また、転職で求人選びをする際に、重視するポイントで言うと、

・年収
・休日
・勤務時間や勤務体系

が上位となる傾向にあります。「人間関係」で悩んで転職ということもありますが、基本的には「しっかりと準備して転職」となると、「年収アップ」や「業務負荷の軽減」というところがメインになるのかな、と思われます。

この点で言うと、「時間外の呼び出しや、当直・オンコールがない」ということで、産業医へ転職を考えるという人もいるかもしれません。

「ラクに働いて、そこそこもらえるんだろ?いいじゃないか。私もそうしたいよ」ということで選ぼうとしているのならば、「ちょっとあなた、お待ちよ…」と思うところが個人的にはあります。

私が産業医になった理由

私自身、なぜ産業医に転職を考えたかと言いますと、「勤務医として働くことが無理だったから」に他なりません。

具体的に言えば、定時を超えてから始まり、延々と続く終わりのないカンファレンスがイヤ、時間外に問い合わせや呼び出しがあるのはもっとイヤ、当直・オンコールが苦手、救急対応は大の苦手。院内の複雑な人間関係にも適応できない…と、ほとんどすべてが苦手な部類であり、おそらくですが勤務医は長らく続けることはできなかったと思います。

逆に言えば、「このレベルだからこそ、勤務医を諦めて他の道を探さざるを得ない」ということであるとも言えます。それほどまでに、私は臨床医に向いていません。

産業医への転職は「解決策」になる?

勤務医として十分働けていて、その働く環境に適応できている…ただ、「今の働き方はしんどい」という方もおられるでしょう。そこで、「じゃあ、産業医に転職だ」とお考えになるのは私としてはあまりおすすめしません。

というのも、勤務医であろうとも「業務負荷を軽減した働き方」はできるはずです。臨床医を継続する形で、なおかつ業務負荷を軽減するための転職活動を考える、ということをまずはお考えいただくべきではないでしょうか。

そもそも私の場合は、上記のように勤務医として働くにはあまりに適応性がなく、早々にギブアップしてしまいました。同様のレベルでしたら、「臨床以外の道」での転職はご検討いただくべきかとは思いますが、適応できていて「しんどいな」ということでしたら、それは臨床をお続けいただく方が「臨床医のキャリアをリセットして、イチから産業医になる」ということよりは、キャリア上メリットは大きいと思います。

「業務負荷軽減を」「年収に納得がいかない」「今の働き方を続けるのはもうしんどい」ということでしたら、まずは勤務医として転職する上で、どのような求人があるのか、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントにご相談いただいてみてはいかがでしょうか。

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