勤務医から勤務医への転職と、勤務医から産業医への転職とでは、やはり大きく異なります。
勤務医から勤務医への転職、特に転科を伴わない転職であれば、キャリアとしては地続きとなります。一方、勤務医から産業医への転職となりますと、「リスタート」となりますので、キャリアとしては「積み直し」という側面が強くなるわけです。
もちろん、臨床医としてのキャリアがゼロになるわけではありません。実際、臨床医としてのキャリアを採用時で評価する企業もあります。ただ、一般的には「産業医としては未経験」として判断されることが多いです。
当然、「リスタート」をするなら早めの段階であった方がいいわけですが、かと言って初期研修医を修了してすぐに産業医に転職するのは私としてはあまりお勧めできないと考えております。
その理由としては、専攻医としてある程度臨床経験を積んでおかないと、臨床バイトを行う上で選択肢が非常に狭まってしまう(内科医であれば、外来バイトができないなど)可能性が高いことなどが挙げられます。
臨床医か、産業医かの選択
ただ、これも最初から「産業医として働きたい」と考えているドクターならば話は別でしょうが、なかなかそのような方もいらっしゃらないでしょう。
つまりは、「臨床医をやろうか、それとも産業医になろうか…」と悩んでいる方が大半であろうと思われます。その点、「悩むぐらいならまずは専攻医になって経験を積む」方が将来的にメリットは大きいと思います。
ただ、かと言って専門医資格を取得して、臨床医として40代の脂の乗り切った時期で産業医になることを検討するのはあまりにももったいないように思います。そこで「もう臨床はやりきった」もしくは「勤務医として続けるのが難しくなった」ということであれば、産業医になるという選択肢もありでしょうけども、そうでなければ、「そこで今更、産業医になることを検討するの?」と、キャリア的にはロスが大きすぎるように思います。
私のように、自他ともに認める状態で「臨床医は向かない」となれば話は早いのですが
(笑)なかなかそうはいかないので、専攻医として研修を行う上での判断、ということになるわけですね。
専攻医になった上での検討
となりますと、専攻医としてひとまず勤務をしてみて、専門医資格を取得する前までに産業医になるかどうかの判断を一度してみる、というのがキャリア的にはロスが少ないように思います。
実際、私は専門医資格取得前に「臨床医は向かない」と結論が出たわけで、そこで産業医への転職をすることになりました。偶然の結果ではありますが、これは私にとってよかったように思います。もしこれが専門医資格取得のあとであれば、なかなか踏ん切りがつかなかったかもしれません。
このように、やはり若手医師の産業医への転職は「タイミング」というのはかなり大事であると思います。特に、臨床医としてキャリアを積んでいると「いざ産業医に」となった時に身動きが取りづらくなるでしょうし、結婚や子供がいるといったプライベートでの変化についての問題もあります。
もし、なかなかご自身で判断がつかない、結論が出せないということでしたら、やはりどなたかに話を聞いてもらうことも重要だと思います。まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、マイナビDOCTOR[PR]などの転職エージェントに相談してみて、そこから考えていくことでもよろしいのではないでしょうか。