専攻医の勤務を続けながら産業医への転職を成功させるための5つのポイント

私自身、後期研修医の時に「産業医になろう」と思い、そこから常勤産業医に転職して現在も産業医として勤務しています。

ですが、今振り返りますと、「結局、後期研修医を辞めてから転職活動をした」「退職後もダラダラと転職活動を行い、遠回りして転職した」「退職・転職について、準備もせず行き当たりばったりで行動してしまった」という反省点があります。

ですが、しっかりと準備をして動くことによって、専攻医の勤務を続けながら産業医への転職を行うことは十分に可能であると思い、そのポイントについて書いてみたいと思います。

ポイント1 転職までのロードマップを理解

まずは、どのような流れ、そして期間で転職するかのロードマップ(計画表)を考えましょう。そもそも産業医として働くためには、産業医の要件を満たす必要があり(医師免許だけではダメ)、「日本医師会認定産業医になる」ことが最も現実的であると思います。

認定産業医の資格を取得するためには、指定の講座を受講して、

・前期研修:14単位以上
・基礎研修会 実地研修:10単位以上
・後期研修:26単位以上 
 =合計 50単位以上

を取得する必要があります。

そして、この50単位を集める方法として、「集中講座」を受けることが必要になります。詳しくは、

【2024年度版】常勤産業医になるための完全ガイド(認定産業医になる~転職活動まで)
「産業医として働く」ということで言いますと、大まかに言って、一つの企業で常勤の専属産業医として働くのと、非常勤で嘱託産業医として働くという2つの形態があります。 簡単に言ってしまえば、「常勤」ですと雇われている企業に出勤してそこで働くことに...

に記載しておりますが、たとえば「産業医科大学」の集中講座を受けようと思った場合、「4月に応募→抽選の結果、当選→7~8月に6日間の講座を受講」というスケジュールとなっています。ですので、

・認定産業医になるための集中講座に応募・受講

・50単位を取得して、申請を行う。

・申請と同時期、リクルートドクターズキャリア[PR]などに登録して、求人紹介を受ける(無料です)。

・求人へのエントリー、書類選考・採用面接を受ける。

・内定が出た企業へ入職。

という流れになります。

ただ、実際には、「集中講座が受講できるかどうか」という部分が不確定要素になります。抽選の集中講座もありますし、また受講可能になっても、「1週間近くの時間を作って実際に受講できるのか」という問題もあります。

ですので、こうしたロードマップには「延期・軌道修正が必要」となるケースもあるということは理解しておきましょう。

ポイント2 「産業医転職の常識」を理解

認定産業医の資格取得が可能となったとして、そこからは本格的な転職活動に入っていくことになります。ですが、そもそも転職すらしたことがなかった私は、常識的な部分が全くできていませんでした。たとえば、

1) 常勤産業医の求人は、基本的に社員数1000人以上の大企業であり、大都市圏(東京23区内・横浜・名古屋・大阪)に集中している。

2) 「転職シーズン」というものがあり、基本的には4月入職を考える人は多く、その前年11月くらいから求人数は増加していき、2~4月は減少してくる(なお、4月>1月>10月の順で入職する人が多い)。

3) 産業医未経験だと、経験者に比べて採用率は低くなる。そのため、「未経験でも入職が可能」という企業に積極的に応募していく必要がある。

といったことになります。

1)に関しては、関東の片田舎に住んでいた私は地元ではあまり求人がなく、結果、首都圏に近い場所へ引っ越しをすることになりました。そのような、通勤エリア・距離の変更、あるいは引っ越しを検討することも考える必要もあると思います。

2) に関しては、的はずれな時期に転職活動を開始してしまったため、求人数が少ないという状況が続いており、「求人数が増えてくるのを待つ」必要がありました。

3) では、未経験でも受け入れ可能な企業は基本的には「他の産業医が在籍しており、指導が可能」というところが多いと思います。ですので、求人票でそのような企業を中心に検討すべきかと思われます。

ポイント3 情報コントロールの重要性

勤務を続けながら転職活動をする際で、重要なのが「こっそりと転職活動をする」ということになります。「アイツ、転職するつもりらしいよ」という噂が流れますと、それこそ勤務していて不利益を被る可能性もあります。

ですので、同僚や先輩などに、たとえ飲み会であろうと転職のことは口にしない、仄めかさない方がよろしいかと思います。

実際、私が「内定が出た病院に転職しようと考えています」と打ち明けた後、医長の態度は明らかに以前と異なっていました(内定を辞退し、その後しばらく勤務していましたが、明らかに冷たかったです)。

ポイント4 悩んだ時にどうすべきか

専攻医を辞めて産業医になるのか、それともこのまま勤務医として働くことを選ぶのか。その選択はやはり非常に人生において非常に大きな決断を伴う選択になることは間違いないでしょう。

ですので、迷わないというほうがおかしくて、転職活動の最中であったり、内定が出てからも悩み続けるということはあると思います。

では、悩んだ時にどうすべきなのか。その時は、「自分がやりたい仕事は何なのだろうか?」という部分に立ち戻って考えるべきであると思います。ともすると、「今の仕事をやりたくない」ということで転職をしてしまいがちです。そもそも私自身も、「当直や救急対応をしたくない」という理由が大きい転職でした。

ですが、最後の最後で「産業医の仕事にチャレンジしてみたい、興味がある」ということが最も大きな動機となりました。「何をやりたくないか」ではなく、「何をしたいのか」ということを考えるのは重要なポイントであると思います。

私の場合、産業医になって良かったと思えている点は、「仕事に悩む社員さんに寄り添うことができる」ことです。私自身、仕事、そして職場での人間関係などで非常に悩むことが多かったので、その経験もあって親身に寄り添うことはできているのではないか、と思っています。そうした苦しかった経験も活かせる、というのが私にとって産業医をやっていて良かった点です。

ポイント5 転職活動の最大の敵

転職活動の最大の敵、それは「焦り」であると思います。なかなか良い求人がない、あるいは求人にエントリーしても内定をもらえない。そんな時に焦りや不安は増幅していきます。

特に私の場合、退職をした後での転職活動でしたので、「このまま転職できなかったらどうしよう…」という焦りや不安がとても大きかったです。その点からも、内定をもらってから退職することをぜひ勧めたいと思います。

焦っている時は、「希望条件に合わない求人にもエントリーしまくろう」「求人紹介会社に登録しまくれば、良い求人が出てくるんじゃないか」などと思ってしまいがちです。ですが、そうした行動は裏目に出ることが多いです。

転職活動が上手くいかない場合は、その焦りや不安などをぜひ、登録した求人紹介会社であるリクルートドクターズキャリア[PR]などの転職エージェントに相談してみましょう。

意外と希望条件についての認識のズレがあったり、「今は求人数が少ない時期で…あと1ヶ月もすれば増えてくると思います」と教えてもらえたり、採用面接での問題点などの反省が突破口となって上手くいく、ということもあります。

メールだけでなく、電話で話をしてみる、実際に会って話をしてみる。そんなところが解決の糸口にもなったりしますので、まずは腹を割って相談をしてみましょう。話すこと自体でも、焦りや不安というのは軽減したりしますよ。

以上です。
現在、専攻医であるということであれば「まず退職」というのではなく、無理のないペースで転職活動を進めて、内定をもらってから退職することをお考えいただければと思います。

【2024年度版】常勤産業医になるための完全ガイド(認定産業医になる~転職活動まで)
「産業医として働く」ということで言いますと、大まかに言って、一つの企業で常勤の専属産業医として働くのと、非常勤で嘱託産業医として働くという2つの形態があります。 簡単に言ってしまえば、「常勤」ですと雇われている企業に出勤してそこで働くことに...
【2024年版】「専攻医/後期研修医をやめて産業医」になろうと考えている若手医師へのアドバイス
私自身、最初から産業医を目指していたわけではありません。そもそもは内科の後期研修医になり、「まずは専門医資格を取得して開業しよう」と考えていました。ですが、その途中でドロップアウトし、そこからは産業医として働いております。 だからこそ、同じ...
タイトルとURLをコピーしました