物事は「比較してみて」ようやく分かるということもあったりします。A病院に勤務していた医師が転職してB病院へ転職したとしましょう。その時にようやく、A病院のやり方が全てではないということも分かりますし、またA病院の良かった点、悪かった点もB病院と比較することで分かってくることもあるでしょう。
このような「並列評価」によって分かってくることもあるのですが、医局に所属しておらず、かつ転職経験に乏しい若手ドクターの場合、ついつい「A病院でダメだったら、他でもダメだ」と思い込みがちです。
勤務医か産業医かの分岐点
若手医師が産業医になろうか、どうしようかと考える際、「勤務医か、産業医か」という二者択一になるわけですが、そこでついつい「(今の病院で)勤務医か、産業医か」と考えてしまいがちです。
ですが世の中、それだけでなく自宅近くの近所にも数多く病院はあるはずです。今の勤務先に不満やストレスを感じていて、それで「産業医か」と考えてしまうのは早計ではないでしょうか。
そこでは、「他の病院に転職すべきか」という選択肢も考えるべきであり、異なる病院、そして異なる働き方を経験して「並列評価」をしてみることも重要だと思います。
求人を見るだけでも有効
他の病院の転職をしてみて、それから産業医になることを検討するのも遅くはないと思います。それだけでなく、「求人」を見るだけでも実は「今の病院の条件、悪くないじゃないか」と思えるきっかけになります。逆に、「うわ、これは転職した方がいいかも…」と気づくこともあるはずです。
もう一歩先に進めて、病院見学をすることや、同期を中心とした他の病院に勤務するドクターに話を聞くのもいいでしょう。
これは実は、産業医になってからも同じで、A企業が合わなかったからと言って、「産業医に向いていない」とは言い切れません。B企業、場合によってはC企業まで転職してみて、結果「やっぱり産業医が性に合うな」と思えることもあるはずです。
「悩み・迷い」から前へ
臨床医から産業医への転職の際に、臨床医としての自分の評価が「現在勤務している病院での単独評価」であるならば、転職してみて「並列評価」にしてみることも手であると思います。
転職してから2~3年勤務したとしても、長い人生の中で見ればそうロスにはなりませんし、そこでの経験もまた産業医になってからも思わぬ形で活きてくるかもしれません。
私もキャリア上のこうした「迷い」が生じている状態で、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントに相談をして求人紹介を受けた一人です。ただ迷っているだけでは、なかなか前に進むことはできません。
まずは相談をしてみて、求人紹介などで「並列評価」をしてみることも大事なことであると思います。