最近、開業医のドクターと話をする機会があり、「ああ、これは分かり合えないところだな」と思ったことがありました。
その彼はクリニックで外来診療をする傍ら、嘱託産業医の仕事をしているとのことでしたが、「産業医の仕事の面白さが全く分からない。興味を持てない」と言っていました。
ただ、頼まれてなおかつ報酬もあるわけで、月1回の安全衛生委員会への出席、職場巡視は「義務だからイヤイヤやっている」とのことです。そうしたことでしたので、「あ、これは産業医と臨床医、分かり合えないところなのかもな」と思った次第です。
やはり産業医に転職した結果、「やっぱり臨床がいい」と戻っていくドクターも中にはいます。そこで今回は、産業医に転職して「後悔しやすい」人の特徴について書いてみたいと思います。
そもそも産業医の仕事に「興味が持てない」
上記の開業医のドクターのように、産業医の仕事に「全く興味が持てない」という方はいらっしゃると思います。「医者なのに、診断もせず治療もしない。面談や会議の出席、職場巡視…何が楽しいの?」と思うかもしれません。
ただ、産業医を続けておられるドクターで言えば、そうした仕事に興味関心を持ち、楽しみを見出して仕事ができているわけで(そうじゃなきゃ続けられないはずですから)、そもそも「その仕事に興味を持てるか否か」というところは大事なところだと思います。
臨床医という仕事への強い執着心
医師になるということは、ある程度は臨床への興味・関心があるということであると思います。中には「医学知識や研究だけに興味があるので、臨床にはまるっきり興味はないよ」という方もおられるのかもしれませんが、かなりレアな方ではないでしょうか。
ただ、それも程度問題で、「医師になったからには、何がなんでも臨床をやらねば」という方もおられるでしょうし、一方で、「そんなに臨床をやるかどうかには強いこだわりはないよ」という方もいるかもしれません。
私の場合はそもそもの出発点が「臨床医は向いていない。それ以外の道を模索しよう」ですし、「仕事に選り好みをしない。その代わり、給料分はしっかり働きますよ」というタイプですので、わりと違和感なく産業医として溶け込んでいけたかな、と思っています。
逆に、臨床医であること、もしくは臨床の仕事に強いこだわりがあるというタイプですと、もしかしたら産業医になって後悔するという一因になるかもしれません(なら、なぜ産業医になったんだという話ですが…やはり興味があってなってみたいと思うという方もいるわけです)。
臨床も産業医の仕事も…なタイプ
以前、とある企業の産業医と話をする機会がありましたが、かなり変わっている方で、「ちょっと、この人と一緒に働くのは大変かもなぁ…」と思うことがありました。
そのドクターがいないところで、人事労務担当者の方にコソッと聞いたところ、「大変ですよ…」といろんなエピソードを話してくださったので、私だけが思ったのではないんだな、と「答え合わせ」ができた気持ちでした。
私も人のことは言えませんが、協調性がまるっきり欠如していたり、コミュニケーションに難があったり、変なこだわりがあったり…など、「一緒に働くのが大変そう」と思われるタイプですと、産業医として働く上でも様々なトラブルが起きてきたり、時にはお灸を据えられるなんてこともあるかもしれません。もっと言えば、契約打ち切り=クビとなるかもしれません。
こうしたタイプですと、臨床医としても、産業医としても、もっと言えばどこかで誰かと一緒に働くことが難しいということになるかもしれません。もしかしたらある程度は自分で気づいたり、あるいは親切な誰かに指摘されて改善するということができるまでは「産業医になって苦労する」ということがあるかもしれません。
以上です。
基本的には産業医の仕事は間口が広く、経験を積んでいけばほとんどの方が対応していくことができると思います。なお、私が産業医になった経緯や、苦労した部分などにつきましては、「産業医になろう: コネなし・未経験の勤務医が産業医になるための方法論」という本に記載しておりますので、お読みいただけますと幸いです。
また、上記の3つに当てはまることなく、それで産業医という仕事にご興味があり、転職をご希望ということでしたら、ぜひ リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントに相談をして、まずは求人紹介を受けてみていただければと思います。