産業医の資格の「有効期限」に関する誤解-産業医の要件についておさらい

医師向けサイトで、「法令上、産業医の資格を得るには5つの方法があり、いずれも有効期限が決まっていて更新研修が必要だ。〇か×か?」というクイズが出題されていました。

産業医なら即答でしょうけども、そうでないとなかなか難しいかもしれません。正解は「×」です。今回はこの問題について少し解説をしたいと思います。

産業医の要件

産業医の要件を満たすには、上記のように「5つの方法」があります。それは次のようなものです。

1.労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者

2.産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修め、卒業した者であり、その大学が行う実習を履修した者

3.労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの

4.学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る)の職にあり、又はあった者

5.その他厚生労働大臣が定める者

となっています(労働安全衛生規則第14条2項)。

ちなみに私もそうでしたが、多くの産業医資格をお持ちのドクターが満たす要件が「1番」の方法で、いわゆる必要単位を取得して、「日本医師会認定産業医」になって産業医の要件を満たしていると思います。
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産業医資格の「有効期限」ってあるの?

では、上記の問題に再び戻りますが、産業医資格に「有効期限」はあるのでしょうか?こちらについては、「ない」というのが答えになると思います。

ちなみに上記のクイズの解説では「法律で期限が定められてはいない。有効期限が決まっているのは日医認定の産業医のみ」とありましたが、「これですと認定産業医の有効期限が切れる→産業医資格を喪失する」とも読めてしまいますが、そうではありません。

たとえ認定資格を喪失しようとも、産業医の要件はなくなりません。「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者」であり、あくまで一度は「修了」していれば要件を満たすわけで、認定産業医か否かは要件ではありません。もちろん、認定産業医でなくなったあとも、産業医として働くことはできるわけです。

ただ実務上、産業医として働く場合に、企業から「認定産業医の認定証を提出してください」と言われます。この際、「あれ?先生、期限切れてますよ」と指摘されると、たとえ問題なくても説明が面倒というのがあります。

では、他の要件に有効期限はあるのかという問題ですが、それも「ない」というのが答えとなります。労働衛生コンサルタントの資格取得で要件を満たすこともできますが、この資格も一度取得してしまえば更新不要です。

以上が産業医の「要件」と、有効期限があるのかどうかということについての解説になります。もしこれから産業医になろうとお考えということでしたら、「認定産業医」になるのが一番現実的であると思います。

集中講座の予約が非常に難しいという問題はありますが…産業医大が主催の集中講座は比較的予約がとりやすいと思いますので、そこでなんとか単位取得をしましょう。

晴れて産業医の要件を満たした、ということでありましたら、私自身も転職のたびにお世話になっているリクルートドクターズキャリア[PR]から転職エージェントにご相談いただければと思います。

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