誰しも「未経験」の時はあるわけで、特に私の場合も勤務医から産業医へ転職する際には、右も左も分からず、さらには身近に産業医をやっていた知人もいませんでしたので、本当に心細かったのを覚えています。
そんな頃の私に対し、「アドバイスするならこんなこと」ということについて今回の記事では書いてみたいと思います。
産業医として働く上で、意外と「え?そんな基本的なこと?」ということが大事だったりします。どれも私ができず、失敗して苦い経験をしたことですので、ぜひビギナー産業医の皆さんには同じ轍を踏まないようお心がけいただければと思います。
「産業医」って、よく分からない存在と思われています
産業医として入職し、その初日。人事労務担当者たちや保健師たちと顔合わせをし、「これからよろしくお願いします」となったとします。
社員さんたちにとって「医者が会社にいる」とは分かっていますが、その医者がどんな人なのか、どんな仕事をする人なのか「実際のところよく分かっていない」というのが実情です。
だからこそ、自分から自己紹介を積極的に行ったり、コミュニケーションをとるといった姿勢が大事だったりします。「知らない人」ですと、やはり相談もしづらかったりします。だからこそ、「あ、この人は気軽に相談できそうだな」という雰囲気を醸し出すことは重要だと思っています。
最初の印象で冷たかったり、にべもない返答だったりしますと、「あ、この人は相談しても無駄だわ」と思われてしまう可能性があります。だからこそ、「自分からコミュニケーションをとる」「柔和な笑顔で快く相談・頼まれ事に応じる」ことを心がけましょう。
「報告・連絡・相談」はとにかく大事
嫌われる産業医の特徴として、メンタル不調などの社員さんと面談をした後、「残業なしじゃないと厳しいみたいよ。就業制限の意見書出しとくから。あとよろしくー」「時短勤務がいいって。あとよろしくー」「異動した上で復職したいって。あとよろしくー」と、勝手に決めてしまうことが挙げられます。
それで困るのは現場の上司や人事です。「こっちの事情も聞かないで、勝手に決めないでよ…」と思われてしまう可能性もあったりします。
この点、面談に至った背景を聴取したり、現場の事情を考慮した上で今後の方針についてのすり合わせをするなど、「報告・連絡・相談」をしっかりと行うことは産業医にとってもとても大事なことだと思われます。
「医師だから」と特別扱いを求めない、溶け込む努力を
医師だからと、「面談もないし、定時より早めに帰ってしまおうが構わないだろう」「サボっても多目に見てもらえるだろう」と、特別扱いを求めてしまったりするのはNGです。
そうしたことが積み重なり、「もう目に余る」となった場合、お叱りを受けたり、それだけで留まればいいですが、「来年から契約更新はないですよ」とクビにされてしまう可能性だってあります。
また、スタンスとして「医者だから別に周りに合わせなくてもいい」「社員たちと仲良くしなくたっていいわ」「自分から挨拶しなくてもいいや」と、浮いていることをさも当たり前のように感じているのもNGです。
そうしたところを社員さんたちは敏感に感じており、「なに、あの人…」と思われていることもあったりします。自分から「会社に溶け込もう」と思っていることは大事なことだと思います。
以上です。
「そんなの当たり前じゃないか。なにそんな当然のことを…」と思われるかもしれませんが、意外と私はできずに「ちゃんとしなきゃな」と、産業医になりたての時は思ったものです。
逆に言えば、こうしたことが当たり前にできるようであれば、産業医になっても苦労しないと思います。もし産業医という仕事にご興味があれば、前向きに転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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