私が後期研修医(専攻医)の時にドロップアウトして、「産業医」への転職を選んでよかったと思う理由

私は後期研修医(現在の専攻医)の時にドロップアウトしていますが、その時の理由としては大きく分けて以下の3つが原因だったかな、と思っています。

1) 今までお世話になっていた先輩医師が続々と辞めてしまい、業務負担が一気に重くなってしまった。

2) 当直やオンコール、深夜の問い合わせや呼び出しが重なり、不眠症状が悪化して体調を崩した。

3) 医長との関係悪化

まだまだひよっこである後期研修医の時に、業務負担が増えるとやはりストレスを強く感じますし、睡眠リズムが乱れて体力を削られていくことも重なっていました。

結果、イライラとして言動も荒くなってしまったり、スタッフや患者さんへの配慮が欠けて医長から度重なる注意や叱責を受ける…という流れであったと思われます。

そんな私ですが、臨床医ではなく「産業医」を職業として選び、転職しています。その産業医を選んでよかったな、と思う理由について今回の記事では書いてみたいと思います。

引け目や劣等感をあまり感じずにいられる

専門医資格を取得せずに勤務医を続けていたとして、やはり専門医資格をもつ後輩医師に対して引け目や劣等感を感じてしまっていたのではないかな、と思います。

「そんなこと、もうどうでもいいじゃないか」と自分で自分を慰めるとは思いますが、それでもふつふつとそのような思いは沸き起こるのではないか、と思っています。ましてや同じ病院に勤務していて、まざまざとその違いを近距離で感じているとなると、その思いはより強くなるのではないでしょうか。

その点、病院から離れた「会社勤務」となりますと、そうした引け目や劣等感を強く感じることはありません。

週1の非常勤外来バイトなんかでは感じることもありますので、これが常勤の病院だったりすると、結構辛いものがあるのではないでしょうか。

地元を離れることができた

私は産業医として転職をする上で、片田舎の地元から離れ、都心部へと移り住んでいます。これもまた、「地元で勤務医を続ける」という選択よりはよかったな、と思っています。

地元で生活を続けていたとなりますと、否が応でも同級生たち、同窓生たちの話が耳に入ってくるでしょうし、同じ医局に所属していた人たち、同じ病院で勤務していた人たちと顔を合わせることもあるかもしれません。

この点も、産業医に転職する上で、求人数の多い都心部への引っ越しを選んだことは良い選択だったかもな、と思っています。

「病院ならではのストレス」からの解放

病院にいますと、「話の通じない」クレーマーめいた患者さんやご家族、あるいは理不尽にキレたりゴネたりして仕事を押し付けてくるドクターやスタッフにストレスを感じることもあるのではないでしょうか。

その点、産業医ですと基本的に相手にするのは社員さんですので、そうした強いストレスに晒されてしまうということはあまりありません(言うことを聞いてくれない社員さんも中にはいたりします)。

「病院」という複雑な人間関係の中に身を置くということから避けられたというのは、やはり産業医を選んでよかったな、と思った次第です。

そもそも「臨床医に向いていない」

臨床を行うのにそもそも強い憧れや希望があったというわけでもありませんでしたので、仕事に対する姿勢も「文句を言われないようにしよう」といった様子だったと思います。
そういった感じですと、ある程度の業務量ではなんとかやっていけますが、「そんなに頑張ってもな…」とそれ以上頑張ることはできませんでした。その結果として、「あ、臨床向いていないな」と自分でも思いましたし、医長も叱責の中で「君は臨床に向いていないね」と言ったのだと思います。

「臨床医に向いていない」という思いをもったまま、それで臨床医を続けていたら苦痛を強く感じていたでしょうし、「食うためだ、働かなければ仕方がない」という思いだけでは勤務を継続することはできなかったのではないかと思います。

自分の希望条件で「病院で働く」ことはなかなか困難

「当直やオンコールなし、時間外の呼び出しがない」といったいくつかの条件であれば、病院での勤務もできるかもしれませんが、そうした条件での求人を探していくと、希望条件が揃った求人は結構レアだと思います。

もちろん、あるにはあるでしょうが、かなり数が限られてくるでしょうし、もしそれで入職したとして、採用側はそうした勤務形態を認めていたとしても、「当直やオンコールあり」でバリバリと働いている他の医師は「なんでお前だけそんな楽ができるの?」と思うかもしれません。

QOML高く働くということを選ぶなら、病院よりは産業医としての勤務の方が働きやすいのではないか、と私としては思います。「なら、ドロッポ医としてバイトだけでいいじゃない」という意見もあるかもしれませんが、心配性な性格としてはそのようなフリーな生き方は選べないということもあり、結果として産業医の方がいいなぁと思っています。

以上です。
もちろん、産業医は産業医ならではの面倒くささや大変さはあったりしますが、トータルの差し引きで考えると、メリットの方が多いと、10年ほど産業医を経験して思っております。

もし専攻医をドロップアウトしようか、どうしようか。あるいは産業医になろうか、どうしようかとお悩みというドクターにとって少しでも参考になれば幸いです。

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