産業医になって久しいのですが、最近、システムエンジニアの社員さんから、「システムエラーで深夜に電話を受けたり、呼び出しを受けてしまって安眠できない」という悩みを相談されました。
現在では、深夜の「急変を告げる電話」や、「当直医からのコンサル依頼の電話」が鳴ることもなく、「いつ呼び出されるか分からない」という、そのような生活からは無縁であるため、そのありがたみをすっかりと忘れてしまっていました。
勤務医時代を振り返ってみると、眠りの質は今と比べ物にならないほど悪かったな、と思います。特に、急変の可能性のある患者さんがいようものなら、入眠困難。あわよくば寝られても、電話がかかってきた後に、そんなにすんなりと安眠できるわけがありません。また、3次救急病院にいたので、当直となれば、まとまって数時間寝れるなんて奇跡に近かったです。
いつしか「不眠症」になった私は、同僚にこっそりと睡眠導入剤を処方してもらって飲んでいました。私自身も、その同僚や、他のドクターにも処方しておりましたので(バイト先でも頼まれます)、結構、ドクターでも不眠症に悩んでいらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
今、あの生活に再び戻れと言われれば、とてもじゃないですが「無理、無理」と言ってしまいそうです。勤務医を続けていらっしゃる諸先生方には申し訳ありませんが、体力面だけでなく、「睡眠」の面でも私は音を上げてしまうと思います。
もし不眠症にお悩みの先生がいらっしゃるようでしたら、「生活の質」ならぬ、「睡眠の質」を上げるための転職をしてみることも、検討されてはいかがでしょうか。産業医になるのも一つの手ですが、勤務医を続けながらも「夜間の電話、呼び出しはしない(当直医に全て委任)」「オンコール免除」といった条件で病院と交渉することも可能だと思います。求人段階で、そうした条件を出しているところもあります。
薬に頼らず、こうした求人先を探して転職をすることも、不眠症改善には有効であると思います。まずは、「リクルートドクターズキャリア[PR]」などのエージェントさんとご相談していただき、条件に見合った求人先を探していただくのはいかがでしょうか。