臨床実習の時には既に薄々気づいており、初期研修の時にはさらにはっきりと気づいていたことがありました。医師、とくに臨床医として自分はさほど働きたいと思えない、ということに。
私はおそらく同期と比べてやる気のない、その上、どうしようもなく使えない研修医だったと思います。指導医の先生方には大変申し訳ないと、今更になって思うわけですが、その根底にはやはり「この仕事、やりたくない…」という思いがありました。
ただ、大多数の医師が歩む道から自分から外れる、ということをする勇気もなく、自分の気持ちにそっと蓋をするようにして後期研修医になりました。
後期研修医になってから
イヤイヤながらもなった後期研修医でしたが、それでもその全てが無駄だったというわけではありません。そこで学んだ知識や経験が、今なお活用できる場面もあります。

後期研修医となり、少しずつ責任ある仕事をすることができるようになっていくプロセスの中で、ほんの少し自信や充実感を得られていた部分もあり、「イヤでイヤで仕方がない」という気持ちだけではありませんでした。
しかしながら、ある程度仕事にも慣れ、ストレスを感じる仕事が増えていくにつれて、再び「この仕事はしたくない」という気持ちは膨らんでいったように思います。
膨らみ続ける負の感情
後期研修医として働いている中で、負の感情が次第に強くなっていったわけですが、そこから膨らんだ風船が爆発するように「もう無理だ、辞めよう」と決意することになります。
「臨床医、とくに勤務医として働きたくない」ということが出発点となり、そこから「じゃあ、どんな仕事を次にしようか」と考えて、結局は産業医になるという道を選びました。
当時、電子掲示板やブログ(SNSはさほどメジャーではない時代です)で同じような医師、初期研修医がいることに安心感を覚えていました。特に、「臨床医を積極的に選んでるわけではないけど、別の選択肢を選ぶのも難しいし、初期・後期研修医になることにした」という人も結構いて、「ああ、自分だけじゃないんだ」と思えた気がしました。

産業医になるまでのドタバタ
そこから、「別の道」をどう選ぶのかと言えば、私の場合は本当に「やむを得ない状況」に追い込まれたからです。ストレスを抱え、不眠症状に悩まされ、職場で人間関係的な問題をいくつも起こしてしまった末に「あ、限界だ」と思ったというわけです。
きっと、もっと思慮深く、将来のことを真剣に考えられる人でしたら、もっと前の段階で結論づけられたのでしょうが、私の場合はそうはいきませんでした。心身ともに「あ、無理だ」という限界がきてしまいました(もともと、メンタルは豆腐のように脆いですが)。

だからこそ、今、悩みながら、苦しみながら専攻医として勤務されている若手ドクターの方々も、決して一人ではないのだ、とお伝えできればと思った次第です。少なくとも、ここにいる私はそんなふうにして、七転八倒しつつなんとか産業医をやっています。
勤務医からいきなり産業医に、ということでなくても、勤務医から勤務医への転職であろうと、それは悩むと思います。ただ、グルグルと同じところを回る悩み方では不毛ですので(実際、私もやり続けました)、まずは求人情報を見てみる、といったことが必要だと思います。
もし今現在、転職について悩まれている、ということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]などのキャリアエージェントに相談して、どのような求人があるのかといったことを問い合わせてみてはいかがでしょうか。

