精神科の主治医の一言に「傷ついてしまった」社員の話

30代女性のAさんは、メンタル不調で2ヶ月お休みになっていて、つい2週間前に復職となりました。フォローアップのための面談を予定しており、Aさんが面談室へとやってきたわけですが、そこで「主治医を変えようと思います」と言い始めたので驚きました。

「どうしたんですか?」と質問したところ、事の経緯を話してくれました。

1週間後の受診で「覚えられていない」

Aさんは復職許可について相談をするため、主治医と1週間前にも話をしましたが、また受診することとなりました。

そこで主治医に「ああ、会社辞めようとしてらっしゃるんでしたっけ?」と言われたそうです。Aさんはそのようなことは言ってはおらず、むしろ「復職する」ことを目標に通院を行っていました。

おそらくですが、主治医は何人も患者さんの診療を行っており、Aさんを「退職しようか」と相談していた別の女性と間違えてしまったようです。

多数の患者、一人の主治医

Aさんは、1週間前にも「体調も改善していて、夜も眠れるようになりました。そろそろ復職したいと思っています」と相談していたばかりでした。

そのため、「今まで時間をかけて自分のことも説明して、経過についても話してきた。復職するために今まで治療を続けてきたというのに、それをいきなり『会社辞めようとしているんでしたっけ?』と言われて…」と、怒りとも悲しみともつかない複雑な表情でAさんはおっしゃっていました。

私自身も1日に何人となく面談し、外来での診療を行っていますから、「そんな一人一人の名前と顔、覚えてられないよ…」というお気持ちも分かりますが、患者さんにとっては「一人の主治医」であるわけです。

カルテ・相談記録をチラ見しましょう

たった一週間しか間が空いていないのに、認識されておらず、今まで話をしたことが丸っきり覚えられていないことは相当ショックだったようです(もちろん、カルテを見たり、話をしている最中に思い出すということはあるでしょうけども)。

ドクターの皆さん、「覚えられていない」というのは患者さんにとっては辛い思いをさせてしまうこともあるかもしれない、というのは認識しておいた方がよろしいかと思いますよ。

対策としては、診療や面談前、カルテや相談記録をチラ見して「ああ、あの人ね」というのを思い出しておくことは意外と重要なことかもしれませんね。

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