私が後期研修医の時、医長から「君は医者に向いてないよ」と言われたことがあり、そのエピソードをいくつかの記事で書いています。
そのせいか、「医者 向いていない」「医者 向いていなかった」というキーワードで検索し、このサイトにたどり着いて来られた方も結構おられるようです。
なおかつ、いわゆる5月病到来のシーズン、また4月のワクワク感も消えて研修の辛さを感じつつある時期ということもあり、「自分は医者に向いてなかったんじゃないか」と悩んで検索されている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、初期研修医になって「医者に向いてなかった」と悩んでいる方々への3つのアドバイスについて書いてみたいと思います。
ダメ研修医だった私
また私の話で恐縮ですが、初期研修医になり、同期と比較して「なんで自分はこんなダメなんだろう」と思うことはしょっちゅうありました。
採血やルート確保も失敗続きで上手くできませんでした。救急対応で何も動けずにただ突っ立っていて、指導医や看護師さんから嫌味を言われるなんてこともしょっちゅうありました。カンファレンスでのプレゼンも上手くいかず、指摘だらけでボッコボコにされていました。
ついつい同期と比較してしまって落ち込んでしまう気持ちも分かりますが、大丈夫です。私もとてもスロースターターで絶望的な気持ちになっていましたが、初期研修医2年目や専攻医になる頃には人並みにできるようになっていました。
焦る必要はないと思いますし、そもそも医師の経験年数が上がっていくにつれ、採血やルート確保の腕で資質を評価されるなんてこともなくなっていきます。
結論を出すにはまだ早い
初期研修医で言いますと、語弊はあるかもしれませんが「気が利いてフットワークの軽い後輩」「誰とでも気さくに付き合えるコミュニケーション力」的なところが評価されるポイントだと思います。
ですが、それって本当に「医師」としての評価でしょうか。もちろん、先輩医師たちやコメディカルの方々と一緒に働く上では大事な要素ではあると思いますが、「医師としての評価≠初期研修医としての評価」であり、それらは分けて考える必要があるのかな、と私としては思います。
ですので、初期研修医の段階で「ああ、私って医者に向いてないな」と結論づけてしまうのは早計ではないでしょうか。
また、初期研修医の段階でドロップアウトしてしまうのはあまりにデメリットが多く、おすすめできません。まずは初期研修を終えてから身の振り方を考えるべきであると思います。
自己分析のススメ
漠然と「自分は医者に向いていない」と思うのではなく、「どのような点が苦手なのか」と細かく自己分析してみることがオススメです。
「この点が苦手」と認識していれば対策もとれますし、そうしたことをできるだけ避けることで進路を考えやすくなると思います。
私の場合、
・当直や深夜呼び出しなどがとにかく苦手で、体調を崩してしまう。
・救急対応で、自分主体で動いたり指示出しするのはできても、気を利かせてサポートするといったことが苦手。
・カンファレンスで長時間じっとしていることが苦手。
などでした。
これらを避けつつ臨床医を続けるのは大分大変だと思いますが、それでも苦手なことを苦手と認識しているか、していないかという違いはとても大きいと思います。
実際、初期研修を終えて転職するといった段になり、希望条件をリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアなどの転職エージェントに相談しつつ転職活動をする上では、自己分析はとても重要です。
私のように「臨床医に向いていない」と結論づけることになったとしても、自己分析結果をもとに納得して臨床医以外の道へと後悔なく進むことができると思います。
極論、「医師(臨床医)に向いていない」としても、医師免許があって初期研修さえ修了していれば、産業医になったり、あるいはバイトで食いつなぐといったこともできます。「医師に向いていない自分」を受け入れるのは結構たいへんかもしれませんが、私の場合は一度受け入れてしまえば「それでも生きていかなきゃ」と、意外と前向きな気持ちになれました。
悲観や絶望するのではなく、上記の3点を念頭に、「じゃあ、どうするか」とぜひ前向きにご自身のキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。