「臨床医が向いていない医師」というのは実は一定数存在し、「産業医などの臨床医以外の別の道を歩む」以外にも、実は「自覚しつつも臨床医を続けている」という方が結構多いのではないかと思っています。
やはり医師になった方は真面目な方が多く、「医師たるもの、臨床医であってこそ」的な考えにより、結果として臨床医を続けておられるのではないでしょうか。
ですが、私を含め「臨床医に向いていない」方々は、恐らく初期研修医時代、もしくは早い人ですと学生時代に「向いていない」ということを薄々ですが自覚しておられると思います。
たとえば学生時代、座学の授業・ペーパー試験ではそうしたことは自覚しませんでしょうが、臨床実習があります。そこで、
・他の学生はすんなりと指導医と実習を行っているのに、一人だけコミュニケーションが上手くとれず、浮いてしまっている。
・指導医が「お手伝い」して欲しいと思っているようなことを、先回りしてサポートするようなことが極端に苦手。
・患者さんと何を話していいか分からず、患者さんに気をつかわせてしまっている。
・ボーッとしていることが多く、時間がただ過ぎるのを待っているような様子。
・とりあえず出席とレポート提出のみは行い、単位を取得しようと考えている。
などです。特に指導医や患者さんとの関係性を上手く構築するのが苦手だったり、指導医の考えを先読みしてお手伝いが上手くできないといったことが挙げられるかな、と思っています。
私としては、「こういうのは、部活を中高でやってきたやつは上手くできて当たり前だよな。私はやってこなかったし、そりゃできないよな」と、後天的な経験値の差だと思っておりましたが、そもそもの先天的な適性があって、その適性がなくて私は部活をやってこなかったと後になって気づきました。
こうした同期との差は歴然とあったまま、「その内、なんとかなるだろ」と思いつつ初期研修に突入しましたが、結局2年経っても何も変わりませんでした。特に、「先輩や上司を立ててフットワーク軽く働く」といったことがとにかく苦手でした。
恐らくこうした私の欠点のせいで、患者さんやコメディカルとの関係性構築の部分でも上手くいかなかったのではないか、と思います。さらには、「とにかく病棟、外来、医局のどこにいるのも苦痛」「救急対応、時間外呼び出し、オンコール、当直が苦痛」などなど、様々なことに苦痛やストレスを抱え、結局は臨床医を辞めています。
学生時代、初期研修医時代を振り返ってみて、上記のような傾向があってストレスを抱えておられるようでしたら、「臨床医、向いてないかも」と思って別の道を考えてみるのも手ではないでしょうか。
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