「こじれた上司・部下の人間関係」がきっかけであるトラブルへの対処の難しさ【医師転職】

認定産業医の資格更新のため、とある座学の講習会を受けたことがあります。そこで、「上司の叱責などが続き、部下がメンタル疾患を発症した。この時の産業医としての対処法は?」というケーススタディのようなものが行われました。

実際にこうしたケースはよくあることであり、産業医として対処することも多いと思います。その事例を用いてグループ討論を行ったわけですが、そこで私が「まずはしっかりと休職し、主治医の指示の下に復職を検討していく。また、復職にあたっては人事と連携し、異動も検討していくことが必要と思われます」と発言したわけです。

ですが、その発言を良しとしなかった講師の方が、「まず異動を考えるのはどうだろうか?休職することで考えが改まったり、傷が癒えるかもしれない。元部署復帰の方が本人の負担も少ないと思われるがね」と口を挟んできました(失礼、講師の方がおっしゃったわけです)。

「休職後、元の職場へ復帰」という原則も分かります。ですが、「こじれた上司・部下の人間関係」が原因の場合は、そう単純にはいかないと思うのです。それこそ、異動を検討しないのは安易ではないか、と思うのです。

メンタル疾患を発症しているような段階ですと、とにかく仕事が辛く感じるものです。上手くこなせない、回せていないケースも多く、ミス・トラブルも多かったりします。そうなりますと上司からの叱責が次第に強くなっていくことも予想されます。

こうした叱責の言葉、上司の態度などは忘れようにも忘れられません。実際、「休職中も頭から離れなかった」とおっしゃる社員さんもいますし、私もイヤなことを言われた上司の表情や言葉が今も不意に思い出されることがあります。

たった1~2ヶ月休職したところで、「考えが改まる」「傷が癒える」ということは到底思えません。「同じフロアにいるのもイヤだ」「同じエレベーターに乗るだけでも動悸がする」という社員さんの話を聞いたことがあり、私もそれに強く「分かります、その気持ち」と同意してしまいました。

それだけ、復帰した後もしこりや傷というのは残り続けるものだと思います。もし上司・部下関係で悩まれた末に休職、ということでしたら、安易に元の職場復帰するのではなく、よく考えた末に結論を出されることをおすすめしたいと思います。

大学医局に所属しているのでしたら異動を検討してもらったり、あるいは医局に所属していないということでしたら、転職も選択肢の一つとして検討すべきかな、と私としては思います。

休職後に転職活動を行うのは辛いでしょうが、「復帰してすぐ再休職」ということよりは良いのではないか、と私個人としては思います。もし転職活動にご不安がある、ということでしたら、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアにご登録いただき、転職エージェントにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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