こちらのサイトに、「研修医 ドロップアウト ブログ」と検索してたどり着いてこられる方が結構いらっしゃるようです。私は「後期研修医」の時にドロップアウトした身ですが、「初期研修医 ドロップアウト」のつもりで検索をしていて、このサイトに来られたようです。
当サイトを閲覧していただけるのは大変ありがたいのですが、そうした「ドロップアウトした初期研修医のブログ」を探す行為はあまりするべきではないと私としては思っています。
実際、私も好き好んで読んでいたので、偉そうに言えた立場ではありませんが、反省を込めてお伝えしたいと思います。
そこで今回の記事では、「ドロップアウトした初期研修医のブログ」を探すべきではない理由について書いてみたいと思います。
初期研修をドロップアウトするのはデメリットが大きすぎる
初期研修医をドロップアウトするのと、後期研修医(専攻医)をドロップアウトするのとでは、デメリットの大きさが格段に異なります。
というのも、医師としての転職やバイトは、「初期研修を修了している」ことが基本的に条件としているわけで、医師として働く上ならばとても大きな足枷となってしまいます。
「私はカフェのオーナーになるからもう医師として働くことはない」「起業するから関係ない」という方もおられるかもしれませんが、それらの事業が万が一上手くいかなかった場合、「医師として働ける」ということは、いざとなった時の保障となりうるわけで、初期研修は何がなんでも修了しておくことが必要だと思います。
初期研修を修了していなくても医師として働けないということではないと思いますが、転職・バイト選びでの選択の幅は明らかに狭まってしまうと思います。
「ブログを読んで回る」より先にやるべきこと
「研修医をドロップアウトする」というような方の思いが綴られているブログは、やはり同じような辛さ、大変さを共有できた気持ちになり、「自分だけじゃないんだ」といった安心感を感じることができます。
実際、私も後期研修医時代にブログや2chのスレッドを巡回するのが習慣になってしまっていました。「辛いのは自分だけではない」「辞めようと思えば自分も辞められる」というふうに自分を慰めるように、ネット検索を続けていたように思います。
ですが、やるべきことは別にあります。ドロップアウトしてしまいそうなほどのストレス、辛さを感じておられるようでしたら、まずは指導医・科長・研修プログラム統括者への相談を行うことをオススメします。
私も初期研修の際、指導医と合わずに大変な思いをしたこともありましたが、そんな時はさらに上の科長、それでもダメなら研修プログラム統括者へと相談するといったことをしてみましょう。
「相談しても意味ない」と…私も思っていました。しかし、何事も報告・連絡・相談をすることは大事です。実際、私も外科研修の時に体調不良で、科長に相談の上、当直を短期間免除してもらうことで無事修了することができました。
不眠症状などのメンタル不調が表れているようでしたら、精神科受診をすることも考えるべきです。まともに眠れないと、それだけでどんどんと体力を削られて、悪化していきます。
休職はしたくないとお思いでしょうけども、いきなり退職してしまうよりは、快復した時点で判断するという余地を 残しておいた方がよろしいかと思います。体調が悪い時に大きな判断をするのはできるだけ避け、先延ばしにすべきです。
なかなか動き出すのは難しいかもしれませんが、ブログを読むより「まずは各方面への相談」から始めてみてはいかがでしょうか。
「自分に都合の良い情報」ばかりを集めてしまう
辛い時には特に、「自分に都合の良い情報」ばかりを集めてしまい、本当は有益な情報なのに「ちょっと耳の痛い話だから、見ないようにする」としてしまいがちです。
特にツイッターのようなSNSですと、自分に同調する意見ばかり、つまりは「初期研修、別にドロップアウトしてもいいんじゃね?」という意見ばかりのように感じてしまうことがあります。これをエコーチャンバー(反響室)現象と言うそうで、閉鎖された空間で声を発すると、その声が返ってくることから名付けられたとのことです。
「研修医 ドロップアウト ブログ」で検索を続けていることもまた、自分に同調する意見を探す行為にほかならないように思います。「ドロップアウトしてもいいんだ」という考えを補強する材料ばかりが目に入ってくる知れませんが、実際は、上記のように「初期研修をドロップアウトすると、デメリットが大きい」というのは確かです。
以上です。
もし現在、研修継続が困難なほど大変な思いをされておられるということでしたら、
・まずは指導医らと相談の上、無理のない研修を続ける道を探る。
・メンタル不調でしんどいなら、無理せず休む。
・あまりにハイパーな病院だったら研修先を変えることも検討し、なんとか修了できることを考えてみる。
ということを検討してみてはいかがでしょうか。