内科の臨床医から産業医になった私が戸惑った、「感情労働」としての側面【医師転職】

「感情労働」という言葉に耳馴染みがないという方も多いとは思いますが、「他者の感情を変化または維持させるために、労働者自身の感情を抑圧して労働すること」とのことです。

接客業の研究を行った社会学者A・R・ホックシールドが提唱した言葉で、比較的新しい言葉です。たとえば、クレームを受ける電話オペレーターなどが該当し、相手の怒りや負の感情などに晒されつつ、冷静に礼儀正しく、相手の言い分に耳を傾ける必要があるわけです。

精神科のドクターでありますと、このような場面は外来診療などで多く経験してらっしゃるでしょうが、内科医だった私は慣れるのに結構大変でした。怒っていたり、イライラしていたり、ストレスを多く抱えた方の話に耳を傾け続けるのは、自分自身の感情を引きずられることも少なくなかったと思います。

自分の感情をできるだけ抑制して話を聞く、というのは実は結構なストレスです。この状態が続きますと、やはり自分自身も不眠や、不安状態に陥ることもあるそうです。私は産業医になりたての頃、知らず知らずの内に飲酒量が増えてしまっていたように思います。
もし「これから産業医になり、メンタルヘルス疾患を抱える社員への対応を求められる」ということでしたら、「終業時刻になり、会社の一歩外へと出たら仕事のことは忘れる」ということを心がけた方がよろしいかと思います。実際、私は今も心がけており、ストレスを抱え込まなくて済むようになりました。

「仕事を引きずらない、面談内容に感情を引きずられない」ということは産業医として大事なことだと思います。

ただ、産業医として面談する社員さんの話はとても興味深く、また一労働者として共感する部分も多いです。これは病院で勤務することではなかなか味わえない体験であると思います。

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