産業医面談は「何のための面談か」という目的が分かれば上手くいく【産業医マニュアル】

産業医として、社員さんとの面談を日々行っているわけですが、「面談」と一言に言っても、その目的は結構なバリエーションがあります。

復職や求職前に行う面談もありますし、単純に「この症状は、どこの病院の何科を受診すればいいんでしょうか?」という相談もあったりします。他にも、「このままでは精神的に参ってしまいます。あの人の下ではもう働けません。異動したいんです。人事への口添えをお願いします」といったパターンもあります。

面談に際して、保健師さんがいるところですと、ある程度のアセスメントをしてくれて、「これこれこういうことで、こういう人が相談したいらしいですよ」と教えてくれることが多いです。ただ、保健師さんがいない企業というのもあり、その際には人事側から「面談入りました~」という連絡があるだけというのが大半です。

そこで、まず産業医としては「この社員さん、面談で産業医に何をお望み?」ということを探ることから入ります。

「不眠、抑うつ、食思不振…」などなどの症状をまず説明しだしたら、「クリニックや病院を受診したいけど、迷ってるのかな?どんなところに受診したらいいのか、教えて欲しいということかな?」「ストレスの要因となっている職場から異動したいという希望かな?」…などと思いつつ話を聞いていきます。

その着地として、「…というわけで、上司の態度や言動に悩んでいます。どうしたらいいでしょうか?」と言われれば、「まずは症状について心配であり、まずは精神科や心療内科を受診するところから始めましょう」また次に、「上司の態度や言動に問題はないか、人事側に相談することにしましょう」といった対応をしていくことになると思われます。

こうした面談であれば、「精神症状で悩んでいることでの相談」「上司がストレス要因になっていて、どうにかして欲しい」といった訴えで面談に来ているという目的があると思われます。

ただ、「上司に言われて、仕方なく面談にきている」というケースもあり、その際には本人に話を聞いた上で、上司にもどうした意図で面談を勧めたのか、理由を把握しておく必要があります。こうした場合、「目的」を探るには本人だけの話だけでは不十分なことが多いです。

このように、産業医面談を行う上では、来られた社員さんの「意図・目的」を探ることで面談を行うことで、上手くいくことが多いと私個人としては思っている次第です。

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