産業医の業務がメインで「クリニックに勤務」する働き方の3つの特徴-そのメリットとデメリット

私は3回の転職をしておりますが、いずれも一つの企業の常勤産業医として勤務する、という形態で働いております。こうした働き方以外に、嘱託で自らいくつもの企業と提携して働くという独立型の形態で働いてらっしゃるドクターもおられます。

一方で、クリニックに勤務し、そのクリニックが提携した企業の産業医になって働くという形態もあります。今回、そうしたクリニックで勤務していた方にお話が聞けましたので、その働き方の特徴について書いてみたいと思います。

特徴1 業務量について

提携する企業の、複数の事業所を訪問するというのがメインの業務となっています。1日あたり10ヶ所を回ることもあり、かなり移動は大変と伺いました。クリニックには、このドクターの移動手段の手配をするスタッフがおり、7~8人のドクターのためにハイヤーやタクシーを呼んでいたそうです。

事業所を訪問したら、お決まりの巡視と安全衛生委員会への出席を行い、面談が入ったら対応する、ということをしていたとのことです。このあたり、独立型で複数の企業と契約を結んで働く産業医に近いですね。

では、クリニックでの業務はあるのかと言えば、「外来での勤務もあるにはあるけど、ほとんど産業医業務」であり、健診業務も入ることがあったそうです。

私の場合、一つの企業で落ち着いて勤務する方が好きですので、移動の多いこの働き方はデメリットに感じてしまいますが、逆にあちこちと移動する方が楽しいという方には向いているのかな、という印象です。

特徴2 安定性

独立型で自ら契約をとる働き方ですと、やはり「契約が切られる」ことで提携数が減少するという憂き目に遭うことがあります。

企業側から「他の産業医はもっと安いんですよ。契約料金をもう少し減らしてもらえませんか?」と持ちかけられて、交渉決裂、結果として契約終了となるケースはあるようです。

この点、クリニック側から一定のギャラをもらえるという点、独立型よりは安定しているとも言えるのではないでしょうか。その点、「独立するのは不安」という方にとっては、クリニックに所属して勤務するという方が勧められるかもしれません。

常勤産業医で働きたくはないけれども、かといって独立はしたくない、という中間的な働き方ができるという点では、メリットと感じる方はおられるのではないでしょうか。

特徴3 クリニック内の人間関係

複数の産業医が常勤でいる企業ですと、やはりそれなりに「人間関係」というものがあり、統括産業医と他の産業医、といった関係性もそこにはあったりします。

その点、クリニックに所属している産業医の先生方はそれぞれ干渉するといったことはなく、ある意味、気楽に勤務できていた、とのことです。この点もまた、「メリット」と感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

入れ替わりもやはりそれなりにあり、入職されるドクターも様々なバックボーンをお持ちの方、ということのようです。この点、学閥や「厄介な人間関係」に巻き込まれる可能性は低いのではないか、と思われます。

以上です。
年収も、平均的な常勤産業医よりは上なのかなという印象であり、「この働き方が合う人にはおすすめできるのかな」と思った次第です。また、独立前にこの働き方を試したい、という方にも勧められるかもしれません。

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