産業医的には、「仕事のしわ寄せ」も実はチャンスになるという話

常勤産業医として企業で働いていますと、「地方の面談をオンラインでお願いできませんか?」という相談が人事経由で来ることがあります。

その地方の事業場にも産業医が選任されているわけですが、基本的には「開業医の片手間」で行うもので、「安全衛生委員会の出席と巡視」はかろうじてやってくれてはいますが、面談となると「できることならばやりたくない(本音)」という方が大半ですので、なんやかんやと理由をつけて断られてしまいます。

結果、その事業場の社員が困ってしまい、本社の人事に相談して結果的に「先生、面談をお願いできませんか?」と本社に常勤の産業医(私)へ面談依頼がくることになるわけです。

こうした時、あなたが常勤産業医の立場でしたらどうしますか?

断る?受け入れる?

基本的には契約書にも、「社員の面談」業務も入っているわけで、地方の事業場で選任された産業医が面談を行うのが筋となっています(そもそも、面談一件あたり別料金が発生します。それでも断られるわけです)。

ところが、「面談の時間は作れない、忙しい(できることなら面談したくない)」ということでお断りされてしまい、その面談をして欲しいという社員や上司が困ってしまっている状況があります。

ここはやはり常勤産業医として「快く受け入れる」ことが企業内における評価アップに繋がると思います。損得勘定だけではありませんが、やはり快く了承した方が「得」であるように思います。また、産業医同士で仕事を押し付けあった結果、割りを食うのはやはり企業であったり、社員です。「どちらが悪い」という話ではなく、「困っている社員がいたら助ける」精神で対処するのがやはり正しいのではないでしょうか。

注意点として

ただ、長時間勤務者を対象としているような法定の面談(第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項)においては、リモートで対応して良い産業医の要件も決められており、それに該当しているか否かについては企業側と確認をしておく必要があります(対象労働者が所属する事業場の産業医でもなければ、一度も巡視したことがないような場合はNG)。

また、その地方の事業場の産業医の先生が「なんだ、常勤産業医が面談するならそれでいいじゃないか。今後は面談を断って押し付けてやろう」なんて思ってしまう可能性もあります。

実際、そのような対応をされてしまったことが過去にありました。それだとよろしくないので、以下のようなことを対策として行っています。

「先生がお忙しいということで、今回は特別な事情で代わりに対応させていただきました」ということを示すためにも、面談内容をその地方の事業場の産業医にも伝えて、「人事側とも協議し、今後の対応の方針はこのようになりました。つきましてはフォローアップのための面談を2週間後によろしくお願い申し上げます」といった内容をお伝えしております。

こうした社内での「人付き合い」「処世術」も産業医という仕事の一環で、私としては面白いと思えるようになりました。もしご興味がありましたら、リクルートドクターズキャリア[PR]や、医師転職ドットコム[PR]などに相談しますと求人紹介をしてもらえますので、ご相談していただいてはいかがでしょうか。

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