産業医の重要な業務の一つとして、「メンタル不調者への対応」があります。特に異動シーズンであったり、中途入社の社員が増える時期ですと、不慣れな環境でメンタル不調となるという方も結構多くなります。
そんな中、「地方で勤務していた社員が、都内へ転勤」することでメンタル不調となるということが起きることがあります。
さらには、業務内容・量・スピードも地方とは異なっており、そうしたことに戸惑いを感じることもあるようです。
産業医の対応
では、こうしたことでメンタル不調に陥ってしまった方にどう対応するかと言いますと、日頃のメンタル不調者対応(精神科/心療内科への受診勧奨、休職や業務負担軽減のための勧告など)に加えて、「あること」が必要になっているように思います。
その「あること」とは、ズバリ「自信を失ってしまっていることへのケア」です。地元ではある程度、経験も積んで「できる社員」である人が多く、そうした社員だからこそ都内転勤のお声がかかることになります。
都内転勤でメンタル不調になった場合
病状的によろしくない場合は、やはり自信喪失の傷も深いもので、「自分はもうダメだ…」といったことを言う社員も少なくありません。
そのような時は、「今はメンタル不調の状態だからですよ、一時的に自信を失ってしまっているだけです。病状が快復してくれば、今回のことを踏まえて、上手く仕事に対処できるようになると思いますよ。」と、まずは休むことを優先するようお伝えしています。
その場合、人事側との相談ということになりますが、地元に戻るという選択がとれるならばそうすることもありますし、「人が足りていて無理」ということであれば、「東京以外」で地元近郊に戻るという選択をとることもあります。
「都内で勤務したい!」と希望する方もいますが、中には「他に希望者がいないし、声をかけてもらって断るわけにはいかないから…」と消極的な理由で都内勤務となる方もいます。
メンタル不調になった社員さんと話をしていますと、上記のケースではやはり「嫌々ながら転勤している」という方の方が多いように感じます。