若手医師に「産業医への転職」を提案することへの批判に対して思うこと

私が当サイト「産業医になろう」をスタートしたのが2013年9月です。当時は産業医になりたてで、「産業医の仕事にまつわることを勉強して、それをまとめて公開して備忘録的なサイトを作ろう」というのがサイトを作ったきっかけです。

それ以降、私自身が後期研修医の時にドロップアウトをして産業医になるまでの経緯であったり、「産業医になろうかどうか迷っている産業医の後押しをしたい」という内容の記事をよく書くようになっていきました。

そのような中、「若手の時は臨床の場で自己研鑽をするべきだ。それを産業医の道に引きずり込もうとするなんて言語道断(意訳)」という臨床サイドからのお叱りであったり、「やる気のない若手医師の連中を産業医に誘うなんてどうなの?社員の健康や安全を守っている私たちの仕事を冒涜する気か?(意訳)」という産業医サイドからのお叱りを受けることもありました。

こうしたご意見に対して、今回は私がどのように考えているのかということについて書いてみたいと思います。

私の意図と若手のキャリア

上記の批判についてですが、まずは臨床サイドからのお叱りですが、「臨床をやりたい」というタイプの若手ドクターは、私のサイトなどに興味がそもそもないでしょうし、「産業医、やりませんか?」という誘いに対しても「はぁ?こっちは臨床やるために医者になったんですよ」と、相手にすらしないのではないでしょうか。

辛く厳しい労働環境で日々働いている勤務医と専業産業医の数に大きな開きがあり、それが全くもって埋まっていないのが良い証拠でしょう。だから「そもそも興味のない人はこちらの話を聞いてませんし、興味関心があり、臨床に上手く適応できず辛い思いをしている人に話を聞いてもらいたい」ということがこちらの意図であったりします。

また、産業医サイドからの「やる気のない若手医師を産業医に誘うなんて」ということに関しても、やはり産業医としての適性であったり、産業医を続けるモチベーションがなければ、「淘汰」されていくのではないでしょうか。

企業側もその辺はシビアですので、「企業のメリットにならない、あるいはむしろ害になる」と判断するような産業医はすぐに契約打ち切りとなると思います。

背中を「ポンッと一押し」

だからこそ、私としては過去の自分のようにキャリアに悩み、「臨床を続けるかどうか…」と悩んでいたり、「臨床とは別の道を歩みたいけど、どうしようか…」と悩んでいる若手医師に対して、背中を「ポンッと一押し」できればな、と考えている次第です。

もちろん、まるっきり興味がなければその一押しをされたところで何ら変化はないでしょうし、押した結果「あ、やっぱり向きませんでした」と言われることもあるでしょう。

ただ、そのような中で、少ないながら「産業医をやってみて、面白い仕事だと思いました」迷っていたけど、やってみてよかった」と思ってもらえる方がいれば、と私としては思っています。

「遠回り」の経験から

私が産業医になった頃、当時はSNSと言えばミクシィぐらいのものでネット情報も乏しく、また周りに産業医もいませんでした。その結果、かなり「遠回り」して産業医になったと思っています。

だからこそ、そのようなコスパの悪い方法ではなく、産業医になるための方法論についてもお伝えできればと思っています。その点、以下のような記事が参考になると思います。

産業医になるには-要件、かかる時間・費用について
私が「産業医になろう」と思い始めた頃、今ほどネット情報もなく、周りに産業医の先生がいたわけではないので、「どうやったら産業医になれるの?」ということを調べるのに非常に苦労した覚えがあります。お恥ずかしながら、「産業医になるには、医師免許だけ...
【2024年度版】認定産業医になるための研修会・講習会・集中講座の探し方
認定産業医の資格を取得したいのに、「なかなか参加できる研修会が見つけられない」「集中講座で一気に単位をとりたいのに、なかなか予約できない」という先生方も多いのではないでしょうか。「産業医になろう」と思っても、この「認定産業医になる」というと...
【2024年度版】常勤産業医になるための完全ガイド(認定産業医になる~転職活動まで)
「産業医として働く」ということで言いますと、大まかに言って、一つの企業で常勤の専属産業医として働くのと、非常勤で嘱託産業医として働くという2つの形態があります。簡単に言ってしまえば、「常勤」ですと雇われている企業に出勤してそこで働くことにな...
専攻医(後期研修医)が産業医へ転職する上で躊躇しがちなポイントまとめ
私も後期研修医から転職をする際、大変迷いました。そもそも初めての転職である上に、今までの内科医としてのキャリアから大きく方向転換をするわけで、そのような変化に「不安になるな、躊躇するな」という方が無理だと思います。まさしく今、専攻医のドクタ...

また、一人で求人を探し、エントリーして採用面接を受けて…というのは忙しい勤務の合間に行うのはかなり難しいです。

そこでぜひ、産業医への転職をご希望ということであれば、リクルートドクターズキャリア[PR]や、医師転職ドットコム[PR]などの転職エージェントにご相談をしてサポートをしていただくことをおすすめしたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました