専攻医の時にこそ「辛さ、大変さ」などを指導医に伝えておくべきだと思う理由

某医師掲示板で、まだ経験の浅いという医師の立てたスレッドがプチバズりしていました。「もう息切れして、苦しい、眠れない…」という悲痛なコメントとともに、「それでも頑張って仕事をしている」とのことです。

「私は社会不適合者なんだと思います」などという内容もあり、後期研修医時代にドロップアウトした私としては、とても共感できました。

このコメントに対して先輩医師たちは、「いつも精一杯やる必要なんてないし、そんなことをしていたら長続きはしない」「自分のできることをやって、一歩ずつ進んでいく」といったことが書かれていました。

その中で、「その心情を吐露できることが素晴らしい」というコメントもあり、はたと私も「その通りだな」と思った次第です。

「辛さ、大変さ」はなかなか口にできない

私が不眠症状で苦しんでいたり、ストレスで身の置き場のなさを感じながらも勤務を続けていた時、なかなかそれを上司に相談するということはできませんでした。

「なにをそんなことで」「私の若い頃は…」などと一蹴される可能性を考えてしまうのがオチだろうと思い込んでいました。また、上司の期待に答えられない=ダメな奴という烙印を押されるような気がして、その意味でも話をすることはできませんでした。

結果、「まだまだコイツはできるだろう」と思われ、苦手な救急対応の担当コマ数も増え、重症患者の割り振りも増えていきました。その悪循環の中で、「我慢する、耐える」ということしかできなかったわけです。

「自分の状態」を上司は分かってはいない

至極、当たり前のことですが、自分自身がどのような体調の状態なのか、上司は思った以上に把握していません。だからこそ、言語化して伝える、キャパはもう残ってないと伝えることは重要なのだと思います。

そもそも医長などの管理職は「部下である医師たちの状態・能力を把握し、業務の割り振りを行う」というマネジメントを行う必要があります。その「医師たちの状態や能力」を把握するのに、「言わないで全て把握している」などと思っているのはとんでもありません。

実際、産業医として管理職の方、部下の方の双方から話を聞くこともありますが、上司に対して部下との面談のフィードバックを行うと、「え?そんな状態だったんですか?」「ああ、そんなことにストレスを感じていたんですね」と驚かれることも少なくありません。つまりは、部下の側からも「伝える」ことも大切なのだと思います。

「弱音を吐いて配慮してもらう=サボり」ではありません

弱音を吐いて、上司に業務上の配慮をしてもらったとして、それは決して「サボり」なんかではありません。人間、常に一定の状態ではありませんし、コンディションが悪い時もあります。

たとえ一時的に配慮をしてもらったとしても、その後、また状態が改善した上で業務量を増やせばいいだけの話なので、決してサボりなどと考える必要はありません。必要な措置だと思っておきましょう。

だからこそ、悩んでいたり、あるいは不眠症状など体調不良の兆候が現れている場合は、まず上司に「辛さ、大変さを伝え、相談する」ことをしてみましょう。

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